於大の兄、水野信元が織田方につくとみるや、今川家をはばかって、広忠は於大を即刻離縁。
生後間もない竹千代に、生木を割れる思を残して岡崎を去る於大。
嫁するも政略、離別もこれまた政略。
神も仏もない疑心と暗鬼の渦巻く中に、ただ竹千代の成長のみが岡崎衆の希望の星として光芒を放つ。
その竹千代の運命もまた……ドラマはいよいよ竹千代を中心に展開する。
於大を離別した広忠の心中は、火炎となって燃え盛る。
於大を思う広忠の恋情は妄想となり、ついに端女のお春に狂う。
刈谷へ帰った於大に、織田方の随身久松俊勝との再婚の噂が流れる頃、広忠は田原の城主戸田康光の娘眞喜姫を正室に迎えるが、二の丸に移したまま、一指も触れない。
俊勝への憎しみは安祥城攻めとなるが大敗し、竹千代(家康)の今川家への人質という惨事がもちあがる。
六歳の竹千代(家康)は今川家への人質として護送される途中、織田方の手中に落ちる。
父広忠が非業の死を遂げると、岡崎の城は即刻、今川家に明け渡される。
竹千代は今川に捕えられている信長の兄、織田信広との人質交換で、ようやく駿府へ送り返される。
自分の意思では一日の安穏もない弱小国岡崎の主従の悲しい運命……その中で竹千代のみがただ一つの救いの星であった。
人質交換の話もまとまり、今川家の人質となった竹千代は、「三河の宿なし、性度なし」とさげすまれ、忍従と屈辱の生活が強いられる。
仕組まれた義元の姪鶴姫との結婚話にも、じっと忍の一字。
主なき岡崎の家臣達は、流民のような苦しみに耐えて竹千代の帰還を待つ。
斎藤道三の娘を娶った信長は、暗愚をよそおい、大うつけ者と呼ばれ、四面楚歌の中で、ひとり時機の到来を待つ。
十四歳になった竹千代は元服して次郎三郎元信と名のり、翌年義元の姪鶴姫と結婚。
母親代りの祖母華陽院に続いて、生涯の師雪斎禅師が世を去る。
猿に似た風来坊、人呼んで針売りの猿、後の秀吉が朝市で信長と出会い仕官。
斎藤道三は息子義龍に寝首を掻かれ、信長は清洲に居を移して尾張を統一、いま旭日昇天の勢いにある。
群雄すべて京を目指す時、義元は上洛を前にして元信に十年振りの岡崎帰国を許す。
名を元康と改める。
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