COLORS



「どうです?良かったら合流しませんか?」



すかさず乱菊が誘いの言葉をかけた。







第2話*白い月-後編-









「いや、実は清音から伝言を頼まれてね。仕事が詰まってるから、今日の会合には欠席するそうだ」



「あらやだ。そんなに忙しいんですか?十三番隊って」



「私は明日までに仕上げてくれればいいと言ったんだが、なるべく早めに終わらせたいってきかなくてね」



「どうぜまた小椿三席と張り合ってるんでしょう?はい、了解しました☆」




「じゃ、伝えたから。…おい、京楽。ふざけてないで帰るぞ。君たちもほどほどにな」



「はぁ〜〜いvvv私たち、明日は非番か休みとってる連中ばっかりですから大丈夫ですよ〜〜vv」



七緒に未練たっぷりの京楽を引きずりながら、浮竹がその場を退場してからもなんだかんだで会は店の閉店まで盛り上がり、お開きになった後、勇音は家が同じ方向の七緒と連れ立って帰宅の途についた。


別れ際まで七緒は乱菊も京楽もデリカシーがないとかなんとか、プリプリ怒っていたが、七緒が京楽に対して好意を抱いているのは、色恋沙汰に関してニブイ勇音の目にも明らかで。


妹の清音は浮竹隊長に夢中なのは周知の事実だし、そういえば、十二番隊のネムも十一番隊の斑目一角と噂があると聞く。


もちろん、勇音も恋をしたことがないわけではない。


告白されて、"お付き合い"をしたこともある。


でも、自分から誰かを好きになったことはない……ような気がする。


それに、四番隊に入隊したときから、目標であり憧れの卯ノ花隊長に一歩でも近づくために自分を磨くことがまず第一で、恋愛なんて二の次だった。



でも。



あれやこれやと文句を言いながらも、七緒は京楽隊長の世話を焼いているし、清音は十三番隊に入隊した日から、何かといえば浮竹隊長のことばかり話していて、なんだか二人ともとても楽しそうだ。


ネムはもともと物静かな美少女だったが、一角との噂が囁かれるようになってから、さらにキレイになったというか、艶が出てきたというか……


「好きな人、かぁ……」


ゆるやかに吹く風が、さわさわと木の葉を揺らす。

冷たい空気が勇音の火照った頬を撫で、なんだか気分がいい。


「あれ……?」


雲に隠れていた月が顔を出し、ゆっくりと辺りを照らしたそのとき、勇音は木の下に黒い塊のようなものがあるのに気づいた。


「なにかしら?」


犬?…それにしては、ちょっと大きいような……



それは、ちょっとした好奇心。勇音がおそるおそる、近づいてみると。



「射場さん?!」


木にもたれかかるように座っていたのは射場鉄左衛門だった。


射場は七番隊、勇音は四番隊で同じ副隊長なのだが、たまに会合で顔を合わすことはあっても、話したことはほとんどない。


短髪に黒のサングラス、がっしりとした長身に野太い声。

元・十一番隊で、見るからに"硬派"な雰囲気をかもしている射場は、勇音にとっては何となく近寄りがたい存在だ。

やちるや乱菊と軽口を言い合っている様子から、多分悪い人ではないのだろうけど、なんとなく話し掛けにくい(というか、何を話していいのかわからない)し、それに怖そう…というのが勇音の印象である。


でも、今はそんなことを言っていられない。


倒れている人を放って置けないのが勇音の性分。


慌てて彼に駆けより様子を見ると、射場はどうやら眠っているようだったが、体中は生傷だらけでしかも、酒くさい。



「射場さん!…ちょっと、どうしたんですか?!しっかりしてください、射場さん!!」


「んあ……?」


黒のサングラスをしているので、表情は全くわからないが、射場が気がついたので、勇音はほっと胸をなでおろす。


「よかったぁ……もう、こんなところで寝てちゃダメです。風邪ひいちゃいますよ?!」


「あー…あんたは……」



「立てますか?」


差し出された勇音の手をとって、射場がゆっくりと起き上がる。


「あ、すまん。悪いのぅ」



「かまいませんよ。射場さんのおうち、どのあたりですか?…きゃあッ??!」



ぐらりと射場の身体が傾ぎ、勇音は慌てて支えようとする。



お…重いッ!!!




ともすれば、一緒に倒れてしまいそうなところを勇音は必死に足を踏ん張り、漸くすんでのところで踏みとどまる。



ほう、と息をつきながら、



「ごめんなさい!…あの、射場さん……???」



んご〜〜……と、射場の口からかすかに寝息が漏れている。



「……寝てる………」



どうしよう。



勇音は当然のことながら射場の家を知らない。



七番隊の隊舎に連れて行くにしても、ここから酔った射場を抱えていくには結構な距離である。




「……仕方ないなぁ、もう」



勇音ははぁ、と大きく溜息をついたが、再び足を踏ん張って、射場の身体を抱えあげ直した。



相手が誰であれ、困った人を助けるのは勇音にとっては、当たり前のこと。




だから、この出来事が自分の先行きを大きく変えていくことになるとは、勇音は夢にも思うはずもなく。



そのことを知ってか知らずか、ただ白い月だけがよたよたと歩く二人の姿を優しく照らしていた。






凪:まぁ多少強引ではありますが、メインの二人が出会いました!
乱:ホント強引……(呆)
凪:続きをお楽しみにvv


20070219up

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