エロ東方

 

二〇〇九年 九月二十五日
(風神録・東風谷早苗)

 


『みこ ☆ 巫女 ★ すくらんぶるっ!』

 

 

 湯飲み茶碗の底に感じる、煎茶の微熱が笑みを誘う。
 縁側に敷いた座布団は太陽の恵みを存分に受け入れ、我らがご主人たる霊夢のお尻を懸命に暖めている。ぬくぬくとした感触に包まれて、軒下に投げ出した足も自然と揺れる。目を細め、かすかに頬を緩ませて、頭をぽんと叩いたら「ほう」と気の抜けた息を口から吐き出しそうなくらいだ。
 焼けつく夏の暑さは過ぎ去り、彼岸を過ぎた今が最も過ごしやすい季節だ。これから徐々に気温は下がり、空気も冷たくなっていくのだが、今はこの麗らかな日差しの下で安穏と息をついていたい。夏服をしまい、冬服を準備する手間隙を憂う暇があるのなら、物干し竿に掛けてあるサラシのように、天上から降り注ぐ日の光を浴びて出来もしない光合成でも試みてみるのが人類の心意気というものだろう。
 などと、意味のないことを考えてしまうのも日向ぼっこマジックである。
「ほ……」
 誰に頭を叩かれたわけでもないが、霊夢は自動的に間の抜けた声を出した。
 するとそこへ。
「お寛ぎのところ、失礼致します」
 いつになく神妙な足取りで、東風谷早苗が割って入る。
 何者かの気配は感じていたが、これほど真剣な空気を醸し出した客が来るのも珍しい。お互いに知らない仲ではなく、遊びに来ることも厄介事を持ち込んでくることも一度や二度ではないが、流石に直立不動の佇まいで襟を正しているのは初めに会って以来のことだ。
 尋常ではない早苗の気配に、魂が抜け切っていた霊夢の表情に緊張が走る。
「どうしたのよ。改まって」
「実は、折り入ってご相談が御座いまして」
「……ふうん」
 こちらを凝視する早苗に、不審なものを抱かないではない。だが、帰ってもらうのは用件を聞いてからでも構わないだろう。自分にはそれだけの権利と実力があるし、何より、この平和な気分を怒りや苛立ちで掻き乱したくはなかった。
 霊夢は、陽だまりに温もる縁側に立つ。
「いいわ。上がりなさい」
「ありがとうございます」
 早苗は素直に感謝の意を述べ、丁寧に頭を下げた。
 やはり、彼女の態度が常より慇懃であることに違和感を覚えたが、こんなものだろうと気に留めることはなかった。

 

 障子を閉め、襖を閉め、そのわずかな空気の通り道にお札を貼る。
 術式もへったくれもない、ベタベタ貼りつけるだけの手抜き結界だが、霊夢のお手製ともなれば並の妖怪は触れただけで一日は動けなくなる。早苗の本気を受け、霊夢も少なからず本気を見せた。ごくり、と静かに唾を飲む早苗の声を聞いた。
「さて」
 向かい合い、ふかふかの座布団に正座し、ふたりの少女が密談を開始する。
 霊夢の言葉を受け、早苗は慎重に話を切り出した。
「と、とりあえず、お、お、おちついてくださいね」
「あんたが落ち着け」
「は、はい」
 真剣な表情の裏に、隠し切れない動揺があると見える。すーはーと深呼吸を繰り返し、みずからの胸に手を置いて、再びきりっとした目つきで霊夢に向き直る。
「まず、こちらをお納めください」
 懐に手を伸ばし、そこから何か小さなものを取り出す。
 手のひらに覆い隠し、忍ばせたそれを畳に置き、ゆっくりと霊夢の方に滑らせる。
 それはあたかも町奉行に黄金色の菓子折りを差し出す越後屋のようで、普段の早苗にはおおよそ似つかわしくない所作であった。
 だが、畳に置かれた現物を見れば、早苗の行動も頷ける。
 あまり頷きたくはなかったが、そうもいかない。現実は非情であり、真実は過酷である。目を逸らしたくないものばかり、目の前に突きつけられる。自分が何をしたというのか。日向ぼっこに一所懸命だったことが罪になるならば、今すぐ世界の植物を燃やし尽くしてみせよ。さあ!
 霊夢は視線を下げる。
 そこにはローターがあった。
 ヴヴヴヴヴって鳴動してる。
「では、私は用事が」
「おい」
 おもむろに立ち上がる早苗の腕を取り、それでもなお強靭な意志で立ち去ろうとする早苗の足を払い、巧みに受け身を取る彼女を問い詰める。
「なにあれ」
「おもちゃ……です」
「上に『大人の』が付く類でしょ」
 早苗は答えなかった。ただ、受け身のときに痛めたらしい肘を入念に擦っている。
 ふたりして畳に這いつくばっているわけにもいかないので、ひとまず体勢を立て直す。座布団はやはり温かくふかふかしており、間に挟まれてもヴヴヴヴと己の存在を主張しているローターとは住む世界が違う。
「なんで」
「なんで、と仰いますと」
 いちいち敬語なのが癪に障る。
「なんで、私のところにこれを持ってきたの」
「日頃、お世話になっているお礼と申しましょうか」
「しれっと言うんじゃないわよ。これが謝礼だってんなら私はどんだけ色情狂だってのよ」
「え……ちがうんですか」
「ちがうわ! 意外そうに言うな!」
 いやー、意外だなー、と無意味に口笛を吹こうとして失敗している早苗の座布団を思い切り引っ張っると、早苗はすってんころりんと畳に転げ落ちた。
 その間も、水力仕様のローターは絶えず動き続けている。
「あいたたた……」
「道理で、アホみたいに真面目な顔してると思ったわ……なんでこう、私の周りには頭が春なのしかいないなのかしら……」
「ち、ちがいます! これは私じゃなくて、なんというか、こう、成り行きなんですよ! 河童が、河童がいけないんです!
 ぺい、と早苗は桃色のローターを霊夢の方に押しやる。
 ぺい、と早苗にそれを跳ね返し、しばらく不毛なピンポンが繰り返される。
「本当に成り行きなら、さっさと捨てればいいじゃない」
「うちは神社なんです、神の社なんです! そこからこんなの見つかったら、世間の風当たりが大変なことに!」
「私なら大丈夫っていう判断が気に入らない」
「え、だって霊夢さんだし……」
「だってもダッチワイフもないわ! 帰れ! それ持って大人しく撤収しろ!」
「や、やだ、ティッシュだなんて……」
 だめだこいつ。早くなんとかしないと。
 いっそローターを口に突っ込めば少しは静かになるんじゃないかと思ったが、それはフラグ成立の予感がするのでなるべく回避したい。
 何度か畳に転がされた早苗も、いい加減に慣れてきたのか何事もなかったように座布団に復帰する。だが乱された髪の毛を直さないところを見ると、動揺しているのは相変わらずといったところか。
「……取り乱しました」
「見ればわかる」
 この期に及んで停止することを知らないローターの機能性にも驚かされるが、夢想封印程度の威力ならあっさりと弾いてしまいそうな雰囲気すら感じる。嫌な性具だ。
 早苗は言う。いけしゃあしゃあと。
「正直に申し上げますと、私は清純なものですから、こういった玩具の使用法というものがわからないのですよ。えぇ全く」
「どの口が言うか」
「いやほんとにわかんないんですって。いやーこればっかりはもう仕方ないですよね、どうしようもないといっても過言ではないです。やばいです。宝の持ち腐れ、勿体ないお化けが出ること請け合いです。付喪神にでもなっちゃったら一大事です、きっと倒すにはかなりの女の子の、その……もにょもにょ」
 ごまかした。
 いい子ちゃんぶっているのか素直に恥ずかしいのか、だが進展しない議論をいつまでも継続するわけにもいかない。ここは、早苗にも覚悟を決めてもらわねばなるまい。
「――よし」
「もにょに……にょあ!?」
 顔を赤らめ、人差し指をもじもじと突き合わせている早苗に近付き、霊夢はすかさずローターを掴んで早苗の鼻っ柱に突きつけた。
 ヴヴヴヴという震動音が、ふたりの耳に重たく響き渡る。
「早苗」
「は、はい」
「あんた、使い方がわからないって言ったわよね」
「そ、そうかもしれませんわね」
「じゃ」
 心臓がばくばく鳴っているのは、おそらく霊夢も早苗も同じことだろう。ローターの震動はわずかにその強さを減じ、霊夢の声を遮るものは何もなくなった。
 こういうとき、どんな顔をすればいいんだろうと霊夢は悩んだが、結局、適当に笑っておけばいいやと結論付けた。早苗は「ひゃっ!」と怯えていたが、細かいことは考えないようにする。
「これの使い方、あんたに教えてあげるわ」
 覚悟しなさい、と凄む霊夢の笑みは壮絶極まりなく、けれども慣れないためか不自然に声が上ずっていて、更に不気味さを助長させていた。

 

 密着状態、というほど身体は近くないが、この空間は霊夢が重点的に張り巡らした結界の内側である。侵入も脱出も困難、早苗にも結界の心得はあるが、霊夢の結界を突破するのは相当の時間と労力を要する。
 まして、鼻先に例のものを突きつけられているとあらば。
「う、うぅ……」
「ちょっと、泣かないでよ……まだ何もしてないじゃない」
「まさか、霊夢さんにこんな趣味があるなんて……」
「ないわよ! これっぽっちも!」
 いやいやと首を振る早苗は弱々しく霊夢の頭をばしばし叩き、そこはかとなく鬱陶しいので両手を掴んだら余計に酷い状態になった。
「……あれ、なんかすごい悪者になってる気が」
「犯されるぅ……」
「犯さないし」
「そんなこと言って、それを私の口に押し込んで酷いことするに決まってます……」
「……まあ、それくらいはやるかな」
「ほら! ほらー!」
「ああもううるさいわねえ」
 段々と投げやりになってきた霊夢は、早苗の希望通りに震動の収まったローターを彼女の口に押し込む。わんわん喚いていたためか、口内に放り込むのは比較的簡単だった。
「むぐぅっ!?」
 さほど大きな物体ではないから、息が詰まることはない。今は動きも止まっているし、と安心していたら、早苗の咥内からいきなりヴヴヴヴと震動音が響いてきた。驚いて早苗を見ると、早苗は目に涙を浮かべながらもごもごと舌を動かしている。閉じた唇の隙間から垂れる、一本の紐が釣り糸を彷彿とさせる。
「んぅー! むぅー!」
「……あぁ、もしかして、水分が動力なのかしら。河童だから」
「むぐぐぅ……ぐむぅ」
 片手が空いたのをいいことに、再び霊夢の頭をばしばし叩き始める早苗。今度はわりと容赦が無く、早苗もかなりいっぱいいっぱいであると推測された。
「ううぅ……ぐずっ」
「ああもう、わかった、わかったから、泣くのはやめなさい」
「ふえぇ……、ん、にゅぅ!」
 霊夢が紐を引っ張ると、ちゅるぽん、と景気のいい音を立ててローターが引っこ抜かれた。その際、ローターが前歯の裏に激突したらしく、早苗は口を押さえて前屈みになっていた。
 ローターは、早苗の唾液によってぬめり気を帯び、淡い光沢を放って銀の雫を真下に伸ばしている。
「ううぅ……霊夢さんひどいです……」
「ごめんごめん」
「全然悪気ないでしょう! これはこういうふうに使うもんじゃないですよ!」
「あれ、あんた使い方知らないんじゃなかったの」
「え、なんですか! 全然聞こえません!」
 チョップ。
 からんころんとローターが畳に落ちて、さっきよりも元気よくヴヴヴヴと鳴動している。早苗は頭頂部を押さえて蹲っている。
「……あんた、もういいから股開きなさい」
 埒が明かない。事態を打開するべく、霊夢は早苗に詰め寄る。
「ひゃっ!? あ、あの、ごめんなさい、もう悪ふざけはやめますから、その」
「ふうん。悪ふざけだったんだ」
「え、あ、いえそうではなくて」
 す、と霊夢の顔から色が消える。早苗の顔から血の気が引く。
「いいわよ」
 それが赦しではなく脅しであることを、早苗は魂で理解した。
「脱がないんなら、脱がしてあげてもいいけど」
 選択肢が突きつけられる。かといって、どちらを選んでも奈落の底に落ちるのは明白だった。が、逃げることも許されない。八方ふさがり。
 ごくり、と早苗は唾を飲み込んだ。
「隙あり!」
「せい」
 押し倒そうとしたら逆に引っ繰り返された。プチ空中浮遊。
「ぐみゃ!」
 肺から妙な喘ぎ声が漏れ、ちょうどよく仰向けに転がされてしまった早苗は、身の危険を感じてすぐさま起き上がろうとしたが時既に遅し。
「はいそこまで」
 無重力の巫女、博麗霊夢の手に掛かれば、早苗の上着を肌蹴させることなど造作もないことであった。
 すぱーん! と気前よく剥かれた早苗は、あっという間に上半身サラシ一丁。袖はオプション。
「え、……あ、ああぁー!」
 別に胸が完全に露出したわけでもないのだが、そこは乙女の心意気、咄嗟に胸を隠して悲鳴を上げる。だが霊夢は自分より若干大きめに膨らんでいる胸部になど目もくれず、本懐を遂げるべく早苗の下袴に指を引っ掛けていた。
「ひぃぃ! だめです、そこは絶対にだめー!」
「よいではないかよいではないか」
「よくわかんない雰囲気作りしないでください!」
「脱げばわかる」
「そんな庭師みたいなこと言われてもー!」
 早苗も必死に抵抗するが、やはり先手を取られたのが大きく、ずるずると引きずられるままに脱がされていく。腰が細いことが仇となった。
「ひゃぅん……!」
「泣いても喚いても誰も助けに来ないわよー」
「やですよぉ……」
 最後まで食い下がっていた早苗も、袴が足首を越えたあたりでついにその指を離した。
 陥落である。
「あ、ぱんつ」
「指差さないでください……」
「だって珍しいんだもん。ぱんつ」
 純白である。
 既に若干湿っているというありがちな展開を期待するのは愚かである。
「ふえぇ……」
「さて……どうしよう」
 霊夢は袴を放り投げ、かわりに震動を続けているローターを手に取る。どうにも震動の強弱を操作する機能は見当たらないから、最初から最後まで問答無用に震えっぱなしのようだ。
「……というか、私も使ったことないからよくわかんないんだけど」
「ですよね! わからないのはしょうがないです、うん、では私は帰りま」
「いろいろ試してみましょう」
 四つんばいで逃走を試みる早苗を軽く畳に転がし、高々とローターを構える霊夢。
 胸を隠すべきか、ぱんつを隠すべきか、二兎を追うものは一兎も得ずという諺が脳裏をよぎり、逡巡しているうちにサラシを引き剥がされた。速攻である。
 ぷるん、とそれなりに音が鳴りそうな程度の弾力でもって、早苗のおっぱいが上から下まで完膚なきまでに露になる。わかりやすい茶碗型である。
「きゃあぁ!? なんで上まで剥ぐんですか!」
「いや……なんか大きいから」
「そんなに大きくないですよ!」
 なんとなくカチンときた。
 泣くまで揉んでやろうかと思ったが、さすがにそこまで大きくなかったから今回は視姦するに留める。温泉などそれらしい機会に裸の付き合いをすることは少なくないが、この状況下で同性の裸を凝視していると、陵辱しているのか観察しているのか判然としない心持ちになってくる。
 霊夢でさえ漠然としているのだから、早苗にすれば情緒不安定もいいところである。全てをご破算にしようとグレイソーマタージを無差別放射しないのが奇跡的なくらいだ。
「やっぱり、霊夢さんにはそういう趣味が……」
「ないわよ」
「そんなじろじろ見ながら言われても……」
 いくら胸を隠そうと手を伸ばしても、手の長さには限界があり、霊夢の無軌道ぶりには際限がない。辛うじて、先っぽを覆うのが関の山だ。
「ピンク」
「なんで口に出すんですか……」
「あんたんとこの神様に代わって、ふしだらな巫女かどうかの確認」
「そんな余計なこと……」
「じゃ、さっさとやりましょうか」
 早苗の言うように、余計なことをする暇があったら目的を達するべきだ。
 うっすら後悔の念が滲み出ている早苗をよそに、霊夢は震えるローターを早苗の股間に近付ける。魔理沙のバイヴほど直接的ではないが、少しの想像力があるのなら、それが一体どういう影響を及ぼすのか、答えを導き出すのは決して難しいことではない。
 じりじりと後退する早苗、にじり寄る霊夢。早苗の背中が襖に到達し、万事休すと目を瞑った次の瞬間、ローターの先端が早苗のぱんつに触れる。
 ――ヴヴヴヴヴ。
「んひゃあぁぁ!?」
 びくん! と想像を超える痙攣に、霊夢もびっくりしてローターを離す。無論、声を裏返して叫んだ早苗自身も驚きを隠せない様子で、触れられた部分を押さえながらはーはーと肩で息をしていた。
「は、く……、んはぁ、ん……」
「え、と……ご、ごめんね、痛かった?」
「あ……えと、あの……」
 ふるふると首を振り、どう答えたものかと口をもごもごさせる早苗。霊夢がローターを押しつけたのはちょうど割れ目に当たる部分であり、布越しだから多少は問題ないだろうと思ってはいた。
 が、ふたりの予想以上に、道は細く狭いものであるらしい。
「……指、入れたりしたことないの?」
 尋ねると、躊躇いがちにこくりと頷く。が、羞恥に歪み、紅潮して涙ぐむ姿を見ていると、それ以上の経験はしていないと考えられる。
 神に仕えているのなら、確かに指で弄くるだけでも反則ぎりぎりの行為だろう。なまじっか身近に神が実体化しているものだから、そのへんの発散には気を遣っているに違いない。
「……痛くはなかったです。ただ、ちょっとびっくりして」
 申し訳なさそうに呟き、おのずから手を退ける。再び開かれた門を前に、霊夢は攻略法を考える。あまり、早苗に苦痛を味わわせるのも本意ではない。あくまで使い方を伝授するだけで構わない、戻れない深みにまで潜る必要はないのだ。
「よし」
 まず、神妙な手つきでぱんつを下ろす。早苗もかすかに手を伸ばすが、抗うまでには至らない。諦観か、妥協か、催促かはわからないけれど。
 袴と同様、ぱんつは早苗の手の届かないところに放り投げる案もあったが、ひとまず逃走する心配はなさそうなので、早苗の足首に引っ掛けておくことにする。
「……」
「……あの、だから、じっくり見られると……」
「いや、他人のをじっくり見れる機会なんて、そうそう無いから」
「はずかしいぃ……」
 消え入りそうな声で、早苗は俯きがちに囁く。
 早苗の蕾は、完全に閉じてはいないが比較的それに近い状態ではある。水滴のひとつもなければ、こちらに肉襞を晒していることもない。
 でも、この潤いに満ちたローターなら。
「痛かったら言って」
 言うが早いか、霊夢は早苗のスジに性具を這わせる。
 ――くちゅ。
「んんうっ……!」
 唇を噛む。細い肩に掛かる髪が震え、硬く閉じたまぶたの隙間に涙が溜まる。
 先程よりも抵抗は弱い。受け入れてくれる、と霊夢は早苗を信じ、おのずから水滴を放出し始めたローターを更に前進させる。触ってみると、かなりの粘り気があり、それでいて何の臭気もない。舐めてみる勇気はなかったが、味もないような気がした。潤滑油の役割をしてくれるのならば、これ以上の武器はない。
 思わぬところから援護を受け、霊夢はここぞとばかりに早苗を攻める。
「きゃぅ!? あ、ちょぉ、まだ――ふぁあぁっ!?」
 流石に間隔が短すぎたらしく、動揺を隠し切れない早苗。身じろぎをして悶えるものの、逆らう体力も尽きたのか霊夢の肩を弱々しく押し返すばかり。その強張った手のひらを、霊夢は空いた手のひらで優しく包む。
 そのかわり、秘部をローターで撫でる手は止めない。
「ぁ、あの! そんな、急がなくて、もぉ、ん、いいんじゃ、ぁうぅ!」
「うわ……すごいぬるぬる……」
 聞いちゃなかった。
 わずかに開いている早苗の女陰にローターを沿わせて、震えるまま、溢れ出るままに上下させる。滑りのよさも相まって、迂闊に力を込めれば簡単に侵入を許してしまいそうなほどだ。無論、いきなり突っ込んだら早苗が失神しそうな勢いであるため、霊夢も下手は打てないが。
 愛液か、潤滑液か知れない水分が、くちゅ、ぬぷ、と卑猥な音を響かせ続ける。
 次第に、激しく身悶えていた早苗の動きも穏やかになり、時折甲高い喘ぎ声を放つ程度には鎮まっていた。だが、興奮はむしろ最高潮に達しようとしており、唇の端から涎が垂れ落ちていることにも気付いていない。
「……あ、見つけた」
「んくぅ……な、なんですか、もぉ……」
 表面をなぞっているだけでは特定し辛かったが、ようやく、早苗の淫核が露になる。敏感なところをねちっこく刺激されたせいか、小さな中にもぴくぴくと震えるほどの硬さが見て取れる。
 早苗は、霊夢がどこを凝視しているか悟ったようで、反射的に立ち上がろうとしても足腰が立たず、ぺたんと座りこむ。
 ふふ、とやたら淫靡に笑む霊夢をばしばし叩くものの、あまり効果はないようだった。観念しろ、ということらしいが。
 無理。
「……つん」
 ――びくん!
 声を失う。
 全身がバネにでもなったかのように、早苗の身体がびくんと跳ねた。これにはクリトリスを突っついた方の霊夢も驚いていたが、他人事なので中断はしない。
 蠢くローターの深度をわずかに深め、更なる潜行を試みる。
 たまらないのは早苗である。
「ま、まってぇ! おねがい、あくッ、だめ、はぁ、んんんんっ!」
 肉の壁を掻き分け、ほじくるように挿しこむ。霊夢の指先は既にびしょびしょで、その袖までも濡れそぼっている有り様だ。それでも脱ぎ捨てないのは、早苗の反応、早苗の嬌声、早苗の抵抗を見るのが愉しくて仕方ないからであった。
 なかなかの悪者である。
「やめぇ……んぁ、やめて、ください……」
「本当に?」
「んぎゅ、うぅ……なんで、そんなこと聞くんですか……」
「だって、すごく感じてたじゃないの。早苗」
 真っ赤な顔が更に紅潮し、そろそろ爆発して宇宙に飛んでいきそうな様相を呈している。
「……そういうの、よく、わかりません……」
 誤魔化しているのかと思いきや、単純にそうとも言えないようだ。
「ふうん。じゃ」
 わからないのなら、教えてあげなければ。
 霊夢の中に黒い虫が湧き、そして。
「えい」
 ――ぷちゅる。
 境界線上を彷徨っていた桃色の弾丸を、ついに早苗の膣の中に押し込める。
「っ!?」
 ヴヴヴヴと震えるローターは今や過去最大の揺れ幅に達し、霊夢の指から離れたそれは縦横無尽に早苗の膣を犯し始めていた。霊夢はローターに繋がっている紐を摘まみ、ローターが深みに行き過ぎないよう、早苗の感じやすいところを探しながら調整を行っている。
「……ぁ、うぅ、ひゃぅ……なんか、中に入ってるよぉ……」
 喘ぎ声の合間、涙を溜めながらしきりに違和感を口にする。下手に自分から引き抜こうとすれば、余計なところに触れて頭が真っ白になるかもしれない。早苗にはもう、霊夢が悪ふざけをしないよう祈ることしか出来ないのだが、それを期待するのはあまりにも愚かであると早苗も思う。
 実際、霊夢は空いた指を早苗の恥部に伸ばし始めていて、ある種の終焉が近いことを予感させた。
「ひぅ……! うごいて、はぁ、すごく、ふるえてる……」
 むずがゆく、もどかしく、くらくらする。
 半ば、どうにでもなれと諦めてかけていた早苗の眼前に、ふと、霊夢の意地悪な笑みが現れる。
「早苗」
「は、はぁい……」
「もしかして、いったことない?」
「なぁ、なんのことやら……」
 この期に及んで、目を逸らして強がることに意味はないと知っていても、それをなさねばならぬときが確かにあるのだと。
「ないんだ」
「あ、いや、あります、んんっ! ちゃ、ちゃんとありますから、あ、はぁ、いいです、そんなに、してくれなくても、ひゃうん!」
 翻弄される。
 にぱ、と屈託のない笑みを浮かべる霊夢に呪いを掛けても、ここは神の住まう社で、その巫女に呪詛が通じるはずもなく。
「じゃあ」
 その言葉が出て、無事に済んだ試しはない。
 溜めていた涙がぽろぽろ零れ、思い切り噛んだ唇を離し、我慢の限界を越えて早苗は叩き付けるように声を張り上げた。
「れいむさんのばかー!!」
「上等」
 ――きゅっ。
 霊夢は躊躇なく、早苗のクリトリスを摘まみ上げ。
「――んんんっ!」
 なおもしつこく小粒な豆を弄くり、徐々に昂っていく早苗を見て悦びの表情を晒していた。
「あ、はぁッ、だ、だめぇ! もう、もう……!」
「ぐりぐりぃ」
「だから、いいかげんにぃ……!」
 咄嗟に、早苗は霊夢の後頭部を掴み、だからといって何がしたかったわけでもないのだが――。
 ちょうど、絶頂に達したのもその瞬間だったから、つい手にも力が入って、霊夢の頭を股間に引き寄せる形となってしまったのだった。
「ちょ」
 うつ伏せに体勢を崩され、立て直そうとしてもとうに限界は達していた。

「いやぁ、あ、ぁ、ん、ん、んぅぅぅ……!」

 ――びくん、びくん。
 足の指、手の指を全て伸ばして、全身から指の先に至るまで、ぴくぴくと身体の全てを震わせる。
 同時に、力んだ拍子にローターが飛び出して、少なからぬ量の愛液も早苗の膣から噴き出て、そこに顔を近付けていた霊夢の顔にもぴしゃぴしゃと降りかかった。
「きゃッ!」
 まさかの不意打ちに、霊夢は甘い香りのする早苗の恥部から離れようとするが、思いのほか早苗の力は強く、体勢が低いままでは振りほどくのも難しい。幸い、顔に付着した愛液を拭うことは出来たが、袖は既にびしょ濡れだったからむしろ悪化したようなものだった。
 踏んだり蹴ったりである。
「……はッ、はぁ……ん、んぅ、あぁ……」
 対する早苗は、絶頂の余韻から抜け切れていない様子で、とろんとした目を虚空に向けて、涙の雫を零しながら不自然ににやついている。ちょっと怖い。
 今なら行けるかも、と早苗の手を掴むも、何故か抗する力は増すばかり。
 あれ、おかしいな、と思い始めたのも束の間。
「……うふふ」
 先程、霊夢が呟いたのと全く同質の笑い声が、緩み切っていた早苗の唇から溺れ落ちる。もはや、そこにだらしなく垂れる涎の雫を見ることはない。
 嫌な予感にも程がある。
「さ、さなえ?」
「霊夢さん」
 握力は緩めないまま、早苗は心の底から偽りのない真意を告げる。
「わたし、気持ちよかったです」
「そう、それはよかったわ。私も教えた甲斐があるというものね。だからその、手を離してくれると助かる」
「だから」
 聞いちゃなかった。
「あなたにも味わってもらわないと、不公平ですよね」
 やばい。
 霊夢は直感の導くままに懐から御札を引き抜こうとするが、タッチの差で早苗の足が霊夢の背中に絡みつき、緊急回避は不可能と相成った。
 形勢逆転である。
「ところで、なんだか大事なところが濡れちゃって……もう、びしょびしょ」
 困ったなあ、と冗談めかして小首を傾げ、首を上げることもできない霊夢に命令する。
「舐めてくれませんか。霊夢さん」
 ぞくり、とする声音だった。ついさっきまで、されるがままに乱れていた本人とは到底思えない。が、蓋を開けてしまったのであれば得心がいく。
「……わかった、わかったわよ。舐めればいいんでしょ」
「違いますよ」
 後頭部に掛かっていた早苗の指が、霊夢の頬を撫で、無理やり顎を持ち上げる。その親指が、中途半端に空いた霊夢の歯を押さえ、行き場を見失った舌に触れる。
 とんでもないものを呼び起こしてしまった、と後悔の念に苛まれるのは、しばらく後になりそうである。霊夢の勘は、残念ながらそう告げていた。
 日はまだ高い。
 あれが沈みきるまでに、一体何回、こんなやり取りが繰り広げられるのだろう。
 淫靡に微笑む、邪気に満ちた早苗の表情を見、霊夢は心の中で大きな溜息をついた。

 

「『舐めさせてください』、でしょう?」

 

 

 

 



秋静葉  秋穣子  鍵山雛  河城にとり  犬走椛  八坂神奈子  洩矢諏訪子

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2009年9月25日 藤村流

 



 

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