ギリシア神話と中国神話

北欧神話は北ゲルマン民族によって共有されていた信仰や物語の集約である。神話は詩の形で口承により伝えられ、現在人々が持つ神話についての知識は主にスノッリ・ストゥルルソンにより書かれた『エッダ』や、キリスト教化中またはその後に書き下ろされた、中世における他の版本に基づいている。北欧神話は基本的に古ノルド語で著わされているが、『デンマーク人の事績』などラテン語で書かれたものもある。北欧神話の中にはスカンディナヴィアの伝承の一部となったものもあり、現在まで残存してきた。その他は近年、ゲルマン・ネオペイガニズムとして再考案・構築されている。ステージでの上演劇や映画に同じく、神話は現在も様々な文学での着想として残されている。北欧神話について現存する記録の大多数は13世紀にまで遡ることができ、少なくとも正式にキリスト教社会となった世界に、2世紀以上も口承の形で保存されていた。13世紀に学者達はこの口伝えに残る神話の記録を始め、特にキリスト教以前の神々が実際の歴史上の人物にまで辿ることができると信じていた学者、スノッリ・ストゥルルソンにより、『エッダ(散文のエッダ、新エッダ)』や『ヘイムスクリングラ』が書き起こされた。このほかには、北欧の神々がより強くエウヘメリズム化(神々は人間が神格化されたものであるという解釈)された、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』がある。

世界の起源と終局は、『詩のエッダ』の中の重要な一節『巫女の予言(ヴォルヴァの予言)』に描かれている。これらの詩には宗教的なすべての歴史についての、最も鮮明な創造の記述と、詳述されている最終的な世界の滅亡の描写が含まれている。この『巫女の予言』では、ヴァルハラの主神オーディンが、一度死んだヴォルヴァ(巫女)の魂を呼び出し、過去と未来を明らかにするよう命じる。巫女はこの命令に気が進まず、「私にそなたは何を問うのか? なぜ私を試すのか?」と述べる。彼女はすでに死んでいるため、オーディンに対する畏怖は無く、より多くを知りたいかと続けて嘲った。しかしオーディンは、神々の王としての務めを果たす男ならば、すべての叡智を持たなければならないはずであると主張する。すると巫女は過去と未来の秘密を明かし、忘却に陥ると口を閉じた。北欧神話においては、生命の始まりは火と氷で、ムスペルヘイムとニヴルヘイムの2つの世界しか存在しなかったという。ムスペルヘイムの熱い空気がニヴルヘイムの冷たい氷に触れた時、巨人ユミルと氷の雌牛アウズンブラが創り出された。ユミルの足は息子を産み、脇の下から男と女が1人ずつ現れた。こうしてユミルは彼らから産まれたヨトゥン及び巨人達の親となる。

古代よりギリシア人は「人は土より生まれた」との考えを持っていた。超越的な神が人間の族を創造したのではなく、自然発生的に人間は往古より大地に生きていたとの考えがあった。しかしこの事実は、人間が生まれにおいて神々に劣るという意味ではなく、オリュンポスの神々も、それ以前の支配者であったティーターンも、元々はすべて「大地(ガイア)の子」である。人間はガイアを母とする、神々の兄弟でもあるのである。異なるところは、神々は不死にして人間に比べ卓越した力を持つ。神々は貴族であり、人間は庶民だと言える[63]。しかしヘーシオドスは、土より生まれた人という素朴な信念とは異なる、人間と神々のあいだの関係とそれぞれの分(モイラ)の物語を語る。太古にあって人間は未開で無知で、飢えに苦しみ、寒さに悩まされていた。プロメーテウスが人間の状態を改善するために、ゼウスが与えるのを禁じた火を人間に教えた。また、この神は、ゼウスや神々に犠牲を捧げるとき、何を神々に献げるかをゼウスみずからに選択させ、その巧妙な偽装でゼウスを欺した[64]。プロメーテウスに欺されたゼウスは報復の機会を狙った。ゼウスはオリュンポスの神々と相談し、一人の美貌の女性を作り出し、様々な贈り物で女性を飾り、パンドーラー(すべての贈り物の女)と名付けたこの女を、プロメーテウスの弟の思慮に欠けたエピメーテウスに送った。ゼウスからの贈り物には注意せよとかねてから忠告されていたエピメーテウスであるが、彼はパンドーラーの美しさに兄の忠告を忘れ、妻として迎える。ここで男性の種族は土から生まれた者として往古から存在したが、女性の種族は神々、ゼウスの策略で人間を誑かし、不幸にするために創造されたとする神話が語られていることになる。

他の神話では、地球は双子の神テスカトリポカとケツァルコアトルによって創られたとされている。テスカトリポカは世界を創造する最中に自らの足を失った。そのためこの神の全ての似姿は、足のない姿、あるいは骨をさらされた形で表される。ケツァルコアトルは「白いテスカトリポカ」と呼ばれることもある。邪神の名前である「Cthulhu」は、本来人間には発音不能な音を表記したものであり、クトゥルフやクトゥルーなどはあくまで便宜上の読みとされているため、クトゥルー神話、ク・リトル・リトル神話、クルウルウ神話とも呼ばれる。ラヴクラフトから彼の遺著管理者に指名されたロバート・バーロウによると、ラヴクラフト自身はKoot-u-lewと発音していたそうである。またラヴクラフトの書簡には、発音方法が記されたものがある。それによると『Cluh-luhのように音節を分け、舌の先を口蓋にしっかりとつけたまま、唸るように吠えるように、あるいは咳をするようにその音節を出せばいい[1]』と書かれている。太古に地球を支配していたが現在は地上から姿を消している、強大な力を持つ恐るべき異形のものども(旧支配者)が現代に蘇るというモチーフを主体とする。中でも、旧支配者の一柱であり、彼らの司祭役を務めているともされる、太平洋の底で眠っているという、タコやイカに似た頭部を持つ軟体動物を巨人にしたようなクトゥルフは有名である。

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