昔話・伝説・世間話の違いと参考文献
"最近ではヨーロッパとアメリカ合衆国の2つの地域において、「ゲルマン・ネオペイガニズム」(ゲルマン復興異教主義)として古きゲルマン宗教を復興しようとする試みが行われている。これらはアサトル、オーディニズム、ヴォータニズム、フォーン・セド(Forn Sed)またはヒーゼンリィという名の元に存在している。アイスランドでは、アサトルが1973年に国家公認による宗教として認められ、結婚や子供の名づけ方、その他の儀式においてこの宗教の介入が合法化された。アサトルはかなり新しい宗教ではあるものの、北欧諸国で公認または合法の宗教として認知されている。"北欧神話はリヒャルト・ワーグナーの作品『ニーベルングの指環』を構成する4つのオペラの題名に使用され、同じく北欧神話をモチーフにした他の作品への基盤となった。その後に製作された、J・R・R・トールキンの『指輪物語』も、キリスト教化以前の北方ヨーロッパにおける固有の信仰に、非常に影響を受けた作品と言える。この作品が人気を呼ぶにつれ、そのファンタジー要素は人々の感性や他のファンタジーのジャンルを、絶えず揺り動かしている。近代的なファンタジー小説にはエルフやドワーフ、氷の巨人など、北欧の怪物達が多く登場する。のちの時代になって北欧神話は、大衆文化や文学・フィクションにおいて、多くの影響を残しているのである。
"バビロニアのギルガメシュ叙事詩によれば、 Sin-liqe-unninnによる He who saw the deep版(タブレット11)の終わりのほうに、大洪水の参照がある。不死を追い求めていたギルガメシュ王は、一種の地上の楽園・ディルムンで、ウトナピシュティム(シュメール神話のジウスドラをアッカド語に直訳した名前)に出会う。ウトナピシュティムは、大洪水によってすべての生命を破壊するという神の計画について、エア神(シュメール神話のエンキ神に類似)が彼に警告し、船を作って彼の家族や友人、財産や家畜を守るよう指示したことを語る。大洪水の後、神はみずからの行動を悔やみ、ウトナピシュティムに不死を与える。"バビロニアの『アトラハシス叙事詩』(前1700年までに成立)では、人類の人口過剰が大洪水の原因であるとされている。1200年間の繁栄の後、人口増加によって齎された騒音と喧騒のためにエンリル神の睡眠が妨げられるようになった。エンリル神は当面の解決策として、疫病、飢饉、塩害など人類の数を減らすための全ての手段を講じる神々の集会を援助して回った。これらの解決策が採られてから1200年後、人口は元の状態に戻った。このため神々が洪水を引き起こすという最終的な解決策を取る事を決定した時、この解決策に道義的な問題を感じていたエンキ神は洪水計画のことをアトラハシスに伝え、彼は神託に基づく寸法通りに生き残るための船を建造した。そして他の神がこのような手段に出るのを予防するため、エンキ神は結婚しない女性、不妊、流産、そして幼児死亡など社会現象の形で新しい解決策を作り出し、人口増加が制御不能になるのを防止した。
こうした原典のほか、9世紀から14世紀にかけて北欧で編纂された『サガ』や『サットル』、『スカルド詩』などにも北欧の信仰は反映されており、これらから伺い知ることができる神話も存在する。またその他スカンディナヴィアの伝承などにも残存する言い伝えがあり、その中の一部は、古英語で書かれた『フィンネスブルグ争乱断章』に関連する物語や、『デーオルの嘆き』中に登場する神話的な物語への言及など、時代の古いゲルマン文学に現れる伝説に裏付けられている。数々の部分的な文献や言い伝えが残っている時、学者達は詩の背後にある意味合いや表現を推論することが出来るのである。加えてスカンディナヴィアには、神々にちなんでつけられた地名が数多く存在する。"レーク石碑(Rök Runestone)やクヴィネビ・アミュレット(Kvinneby amulet)のように、表面に刻まれているごく少数のルーン文字の碑文にも、神話への言及がなされている。トールの魚釣りの旅や『ヴォルスンガ・サガ』からの場面、オーディンとスレイプニルやフェンリルに飲み込まれるオーディンなど、北欧神話からの場面を描いたルーン文字石碑やイメージ・ストーンもある。現存するフンネシュタット石碑(Hunnestad Monument)の1つには、狼に跨ってバルドルの葬式へ行くヒュロッキンが描かれている[2]。"デンマークでは、巻いた口髭が生え、口を閉じられているロキの絵が描かれたイメージ・ストーンがあるほか、複雑に入り組んだ絵が描かれたイギリスのゴスフォース十字架石碑もある。更に、隻眼のオーディンやハンマーを持つトール、直立した男根のフレイなど、神々を描いた小立像も存在する。
イルダーナ(Il-Dana)やドルドナ(Dordona)など、「全知全能」を意味する名で呼ばれる場合もある。女神ブリギッド(Brigid)、ダグザ(Dagda)の娘、Tailtiuやマッハ(Macha)のような自然神、馬の女神エポナ(Epona)、男神を含み鍛冶の神で不滅のビール醸造者のゴヴニュ(Goibniu)。"ミレシア一族がダーナ神族を破り、アイルランドを制覇した後の物語である。英雄クー・フーリン(Cu Chulainn)の物語が主。他に、災いをもたらす女デアドラの物語など。"