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ホテル・ヨーロッパ
〔2004年〕 |
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ジャンニ・ピロッジ著 |
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地方主義(ブルターニュ)、アイルランド
IRA,ユーロ・ノワール |
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リヴァージュ社 (パリ)
叢書 リヴァージュ・ノワール 498番 |
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Hôtel Europe / Gianni Pirozzi
-Paris : Editions Payot & Rivages.
-(Rivages/Noir; 498).
-284p. 11 × 17cm. -2004.
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【あらすじ】 |
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「一度しか言わない、アパートでクララ・トレスの死体を見つけた。普通じゃないんだ…僕は知人の一人で…」。ジャンヴィエ通りで見つかった女性の自殺死体。顔に煙草の焼き跡が残されていた。自殺に疑いはないが…レンヌ警察、納得のいかない表情のローゼン警部。堕胎禁止に抗議の声をあげ、多くの政治組織と接触を持っていたクララ、「あんな過激な活動をしてたら…敵は多かったでしょうね」 |
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自殺前後のクララの行動を洗い出していく。財布に収めてあったパーキング・チケットが手掛かりになる。駐車場の監視カメラが一台のフォルクスワーゲンを捉えていた。三人の男に拉致された女の影。車内での暴行…既に二人は追跡を恐れベルファストに高飛びした直後だった。ローゼン警部は旧友リネッティを召喚、二人の追跡を託す。「連中に何が起ころうと構わない」。憑かれた男たちの静かな復讐が始まる。戦下、ベルファストへ… |
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【講評】 |
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前作の主人公リネッティ/ローゼンを再び前景に配し、ブルターニュ地方発で欧州情勢を読みこんでいくピロッジ第2長編。処女作で如何なく発揮されていた滋味のある語り口は健在です。サブカル由来の感性(「攻殻機動隊のサイボーグ女に目が似ている」etc)、渋みのある人物造形、起伏の激しい物語展開(爆破テロ、暴行、復讐)…優秀なノワール作品の必須条件は全て満たしています。このままいくとユーグ・パガン並みの‐極渋な‐大作家になりそう。 |
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あえて苦言を呈するなら第2部ベルファスト編で展開が遅れており(政治状況の解説に手間取っているからです)、無駄な原注が多く、幾つかのテーマ(妊娠・堕胎)の扱いに作為が見られる…等々。でも真摯な視線で時代を噛み砕いていく姿勢は抗いがたい魅力を備えています。 |
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【最終更新】 2009-06-16 |
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