raner03

ジャップ・ジョブ
〔1971年〕

(クロード・)クロッツ著
     現代悪党譚、暗殺者物
ネオナチ

クリスティアン・ブルゴワ社 (パリ)
叢書レーネル 3番

Jap-Job / Klotz
-Paris : Christian Bourgois Editeur.
-(Reiner; 3).
-251p. 11 × 18cm. -1971.

【あらすじ】
「舞台を見に行かないか?」。レーネルから連絡があった。随分と珍しい。暗殺者からのお誘いとしては。ローランスは絹のドレスに着替えデートに備えていく。  
大嘘つき。男は劇など見ていなかった。客席の一人、会計士風で白髪の男を延々と観察しつづけている。
幕が下りると拍手が広がっていった。
「今週で四度目なんだ。この劇を見るのは」
「説明して」
 
単純な話だった。会計士風の男は元服役囚。最近出獄、かつて銀行強盗で手に入れた金をどこかで引き出すはずだった。金庫の暗証番号をどこかで受け取らないといけない。警官たちは四六時中男を見張り続けている。電話は盗聴されている。怪しげなやりとりを見逃すはずはない。完璧な包囲網のはずだったが…今回は相手が一枚上手だった。レーネルの追跡を振りきり男は金を引き出して姿を消してしまう。どこで暗証番号を手に入れたのか?  

【講評】
クロッツが始めた悪党譚の第3弾。中盤はレーネルが金を追っていく場面が続いていきます。敵の背後に隠れているのはパリ拠点、日本人のネオナチ組織(笑)。最後は警察とレーネル、反ナチ組織三つ巴による銃撃戦、争奪戦になだれこんでいきます。  
謎解き、スパイ物、ハードボイルドの要素を上手く絡めた一作。前半の「どうやって暗証番号を?」の謎が効果的に機能しているのが勝因でしょうか。B級だけど憎めない。B級だから憎めない。作家の才知があちこちでキラキラしているオールド物の逸品。  

【最終更新】 2009-06-16
Photo : "Brute Force" / Jules Dassin, 1947
] Noirs [ - フランスのもう一つの文学 by Luj, 2008 - 2010

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