] Noirs [

Reiner [Rainer] / Christian Bourgois Editeur

レーネル（ラーネル）
　〔1971 - 1975〕

クリスティアン・ブルゴワ出版者（パリ）

現代悪雄譚、国際テロリズム

【概説】

パトリック・コーヴァン（ルコントの『髪結いの亭主』の脚本家）の筆名で知られている人気作家クロード・クロッツが本名「クロッツ」名義で書いていたハードボイルド型の悪雄譚。全１３作。　

怪盗紳士リュパン風の優雅な雰囲気を漂わせた自在な悪党ラーネルが主人公。相棒で恋人でもあるローランスの力を借り、ラテン・アメリカの内務相誘拐（『パッチ・パンチ』）、ギリシャでの要人殺害事件（『アルファ・ベレッタ』、パリで暗躍するネオ・ナチとの抗争（『ジャップ・ジョブ』）…を次々と片付けていきます。この手のシリーズにありがちな強引でご都合主義の展開も多々見られますが、作家の筆力で嫌味にならない程度に収めています。現在のノワール作家ではジャン=ユーグ・オペルがクロッツ好きとして知られています。　

【引用】

「どうしてミステリを書くことになったのか知りたいんだね。理由は少し変わっている。サン・ラザール通りの本屋さん、ショーウィンドウの前に立った時、上から下までミステリ小説が山のように積んであったんだ。あれを見た瞬間無性に書きたくなったよ。でもサン・アントニオやＳＡＳ、ジェームズ・ボンド、サン・ヴァルその他一党を敵に回そうなんて無茶だと思った。第１ラウンドが終わる前にＫＯされてしまいそうだよね。この分野の大物と対等にやりあおうって言うならとてつもないキャラが必要だった。だからレーネルを作り出したんだ」

　　『パッチ・パンチ』序文。１９７１年。

【諸データ】

【１９７１年】
クリスティアン・ブルゴワ社でシリーズ開始。黒の革手袋＋銃器・火器の表紙がいかにもハードボイルドな雰囲気を漂わせています。

【１９７５年】
作家シルヴァン・レーネルから「私の名前を使うな」のクレームがきました。『カラテ・キャラメル』、『ディンゴ・ダーグ』は「ラーネル（Raner）」に変更です。

【１９７９年】
フランスのＴＦ１局でラーネル物の１時間ドラマ放映。

【１９７９～１９８１年】
フルーヴ・ノワ－ル社がシリーズ全作を復刊。山高帽をかぶり、銃を手にした男性のシルエットが全作の表紙にあしらわれていました。

【１９８９年】
１０-１８社で再刊開始。初期の数作分のみ。上品目の装丁で仕上げています。この年にクロッツ名義で発表された『キラー・キッド』が結構な話題を呼びましたので便乗という感じでしょうか。

【作品】

『カス・キャッシュ』クロッツ著	『パッチ・パンチ』クロッツ著	『ジャップ・ジョブ』クロッツ著

01: Casse-Cash / Klotz [1971]	02: Putsch-punch / Klotz [1971]	03: Jap-Job / Klotz [1971]

『アルファ・ベレッタ』クロッツ著	『ドリー・ダラー』クロッツ著	『ビング・バンク』クロッツ著

04: Alpha-Beretta / Klotz [1971]	05: Dolly-dollar / Klotz [1972]	06: Bing-banque / Klotz [1972]

『ミクロ・ミクマク』クロッツ著	『アイ・アイル』クロッツ著	『コスモス・クロス』クロッツ著

07: Micro-Micmac / Klotz [1972]	08: Aïe-Heil / Klotz [1973]	09: Cosmos-Cross / Klotz [1973]

『チンチン・クィーン』クロッツ著	『フリック・フラッシュ』クロッツ著	『カラテ・キャラメル』クロッツ著

10: Tchin-tchin Queen / Klotz [1973]	11: Flic-Flash / Klotz [1973]	12: Karate-caramel / Klotz [1975]

『ディンゴ・ダーグ』クロッツ著

13: Dingo-Dague / Klotz [1975]