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ナナイロキセキ − 旧・小説投稿所A

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ナナイロキセキ
− listen to my soul! −
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その人間は、透き通った声で歌い出した。
その目は、我をしっかり見つめていた。
しかし、その目は、子供の無邪気な目ではなかった。

ハンターの見せる、覚悟した者の目だった。

…気のせいだろうか。微かに曲が聴こえてくる。

しばらく、その歌声を聴いていると、人間が眼を瞑り、祈るように手を組んだ。
その瞬間、頭の中に声が響いた。

(苦しみも、悲しみも、幸せを掴むチャンスなの。
だから……幸せになれるって、信じて…)

驚いて、人間の方を向くと、もうすでに歌い始めていた。

その時、絶望と怒りで見えなかったものが、見えた気がした。

そして、後には、

「はぁ……はぁ……」

子供の目に戻った人間と、余韻に浸る我だけがいた。
恨んでいた人間に、心を揺さぶられるとはな…

「はぁ…はぁ…」

かなりハードに歌ったからか、人間は、息が荒かったが、だいぶ落ち着いてきたようだ。

【…貴様、気に入った。名を何と言う?】
「私はエシアって言うの!よろしくね!あなたは?」
【我はカニバスだ】

よろしく、とは照れくさくて言えなかった。
すると、エシアが、お願いがあると言って、話を切り出してきた。

「私を、パニシュの所へ連れてって欲しいの」
聞いた事のない名前に、首をかしげる。
エシアが、慌てて説明する。

「えーっとねぇ、黒くて大きくて、かっこいい狼みたいなの!」

つまり、さっきのジンオウガ亜種か。
少々憂鬱だが、責任を取るか。

【しょうがない。背中に乗れ】

エシアがしっかりと我の背中に乗った事を確認する。

【飛ぶぞ!】

そういい、力強く地面を蹴った。

渓流は広いが、上空からならよく見渡せる。
だから、すぐ見つかる筈。
その予想は的中し、数分で黒い大きな狼が走っているのが見えた。

【離すなよ!】

エシアにそう言ってから、それに向かって一気に急降下していった。


PCはアクシデントが起こる可能性が高い!

ちなみに、カニバスは、
carnivorous(肉食性の)
からとりました。
綴りが不安ですが、気にしないで下さい。
<2012/12/04 20:53 ラムネ>
消しゴム
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