各国の著作権法は、ベルヌ条約という国際法が基になっていることは説明しました。
では、実際に海外では、どのような著作権法が取り入れられているのか、国ごとに説明したいと思います。
アメリカ合衆国は、1989年3月にベルヌ条約に加盟し、同時に、ベルヌ条約履行法(ベルヌ条約を国内で履行するための、著作権法改正法)も施行されました。
ベルヌ条約の参加は、実に80番目で、これほど遅い参加になったのは、旧・著作権法の抜本的な改正が必要であり、改正によって不利益をこうむる業界の圧力によって、法案が阻止されてきたという背景があります。
しかし、アメリカ経済の不振が、法改正の後押しをしました。
貿易赤字に悩むアメリカから見れば、著作権を含む著作物や、知的所有権は、重要な輸出品であり、知的所有権保護は、経済政策の重要ポイントとして認識されるようになってきました。
また、ベルヌ条約は、著作権の保護レベルが高いため、知的所有権保護に関して、自国の立場をより強化することに繋がります。
このような利点を掲げ、反対派の意見をうまくコントロールし、法改正に結び付けました。
方式主義とは、著作権表示・登録などを、著作権保護の要件として課す方式のことです。
ベルヌ条約は、著作権保護に関して、いかなる方式も課してはならないとしており、それを禁じています。
アメリカの旧・著作権法は、この方式主義を採用してる法律でした。そのため、大きな改正が必要だったのです。
改正では、著作権表示について、「勧奨はするが、保護の要件とはしない」と定めました。登録については、これまで、著作権侵害訴訟を起こすためには、事前の登録が必要でしたが、アメリカを本国としない著作物(すなわち、外国人が著作した著作物)あるいは、ベルヌ条約加盟国で、最初に発行された著作物については、侵害訴訟の場合も、登録は要件ではないことになりました。
そのほかの改正点としては、以下があげられます。
さらに大きなポイントとして、著作者人格権が保護されていないことについて、国内の有識者や海外の加盟国などから、「ベルヌ条約に準拠しているとはいえない」という批判を受けています。
これは、反対派を収めるための折衝の結果であり、きびしくベルヌ条約に準拠させた改正案では、改正が行えなかったのではないかと、言われています。
1988年の英国新著作権法は、1956年の旧著作権法を全面改正するもので、1988年11月15日にエリザベス女王の裁可を得て、1989年8月1日から施行されています。
この新法は、「1988年の著作権、意匠及び特許法」という名称で、最大の特徴は、著作者人格権及び実演の権利について初めて規定したことです。
そのほかの特徴としては、
等を挙げることが出来ます。
1988年の英国法は、その後、1990年、1992年、1994年、1995年、1996年及び1997年に一部改正されています。
また、1988年の英国法は、その後さらに、1999年から2007年までの間、毎年一部改正されており、そのうち2003年と2007年には、大改正をしています。
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