「恵ちゃん、そういえばケーキがあったからちょっと休憩し・・・
あら?何か焦げ臭くない?」
「わ、ママ!」
勉強のお供に・・・気分転換にというか現実逃避にというか、遊んでいたアロマキャンドル。普通に使ってるだけで叱ったりするほど私の母は厳しいわけじゃ決してないはずなのだけど、焦げ臭い、となるとちょっと話が変わってくるわよね。
「恵ちゃん、これ、一体どうしたの?」
ママは目敏く焦げたコースターとろうそくを見つけてしまって手を伸ばした。
「あ、ママ、触っちゃ駄目!まだ熱いから」
慌てて止めて、とりあえずママの手については事なきを得たものの。
もちろん私の方はそうはいかなかった。
「恵ちゃん、一体何をしてたのか教えてもらえるかしら?」
きゃあ、怖いわよ、母様。はああ。
そもそも、キャンドルホルダーを使わずにキャップとコースターの上で火を点けた、ってとこからはじまって。(きょう私が点けてたろうそくは、キャップつきの小さな入れ物に入っていたのよね。)それ自体は実は何度かやってたことなんだけど、火の勢いをよくするためにちょっと手を加えたり。(芯を太くすると蒸発するロウの量が増えるから、火が大きくなるのよね。実際にはマッチの棒の部分とかを糸芯に立てかけたりするわけ。綺麗よ?)それをコースターの上でやっちゃあ、上がりすぎた温度にコースターは焦げるってのも考えてみれば当然の帰結ではあるんだけど。
や、わざとじゃないのよ、気付かなかったの。ほんとよ?
ともあれ私は洗いざらい白状させられて、ママはついに溜め息をついて私の手をぐいっと引っ張ったのだった。
「まったく、しょうがない子ね」
「え・・いや!」
次が予想できて思わず喚いたけど、ママはそんなことにはお構いなしにベッドに腰掛け、私を膝に乗せてしまう。お気に入りのスカートもすぐにめくられて、お尻も剥き出しにされてしまった。
「きゃぁ!」ぺしぃん!「いや、痛い!」
だいたい痛いだけじゃなくて恥ずかしいわよね。この歳になってお尻叩きなんて!ぺしん!ぺしん!
「お仕置きなんだから痛くて当たり前よ。
高校生にもなって火遊びが危ないことがわからないわけじゃないでしょ?」
ぺちぃん!
「だからもう子供じゃないんだから!こんなの嫌よぉ!」
「子供じゃないんだったらやっていいことといけないことくらい分かるでしょう。火事になったらどうするの?」
ぺしん!
「ふぇ、痛いぃ!」ぺちん!
「ほら、言うことがあるでしょう?
それとも、アロマキャンドル自体禁止しなきゃいけないかしら?」
「え、や、やだ!今度からちゃんと使いますから!」
ぺしぃん!ぺしん!
「もう火をいじって遊んだりはしないからぁ!ちゃんと気をつけます!」
ぺちん!
「そうね。でも信用していいのかしらね?他にも言うことあるわよね?」
ぺしぃん!ぺしん!
「え?えっと?」
「やっぱり反省が足りないんじゃない?今日は厳しくしないとね」
ぺしぃん!
「きゃぁ?やだぁ!」
結局、私が「ごめんなさい」を言ってないことに気づいたのはもう相当にお尻を熱くされちゃってから。こんな熱いのはもうこりごりだわ。
ろうそくの火のおおきな揺らめきにじんわり熱を感じているのは大好きだけど、やっぱりちょっとは自粛しなくちゃいけないかしら?
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