あがり症による思い込みで他者からの評価を恐れる
あがり症を治療するためには、その人の考え方自体を変えていく必要もあるだろう。ものの見方を変える訓練は認知療法とも呼ばれ、あがり症の治療に有効な訓練法であると言われている。この訓練は、あがってしまうという社会不安を感じる人の認知、つまりものの見方を改善する訓練である。
あがり症の原因は、他人の評価を必要以上に恐れるところにある。例えば「店のレジで商品を購入する」とか「マンションの住人とエレベータ内で雑談を交わす」などの行動がある。他の人にとっては、ごく当たり前の行動であっても、あがり症の人達にとっては緊張してしまう行動であるようである。
あがり症という社会不安を抱え込んでしまっている人は、こんな時でさえ他人に評価されていると感じてしまうのである。加えて、あがり症の人は苦手な状況に置かれた時の自分の不自然な行動や消極的な考え方、身体反応などにも過剰に意識を集中させてしまうようである。手が震えていることを気づかれたらどうしようとか、自分の考え方を見透かされたらどうしようなどと考えてしまうのである。
しかし、ほとんどの場合、これらはあがり症の人が勝手に思い込んでいることに過ぎない。認知療法ではこうした思い込みを改善して修正する目的で訓練していく。あがり症の人は悩ませているものは、物自体ではなく、物事の考え方にあるため、あがり症を治療するためには、物事の考え方を変えなくてはならない。