あがり症は癖であって病気や障害ではない
昔からあがり症を克服することは、非常に難しいことであると言われてきた。とくに成人してからあがり症を克服することは不可能であると言う人もいる。そのため、あがり症の人は「極度にあがってしまう」ということを精神障害や人格障害として捉えていることもあるようである。
あがり症に悩む多くの人が誤った認識のもとで、治療を諦めてきた。しかし、その認識は誤ったものであると思われる。何歳になってもあがり症は克服できるのである。
あがり症は単なる身体の癖であり、生まれつきや成人してから発症した病気や障害ではない、ということを頭に入れておきたい。あがり症に悩む人は、何歳くらいからあがってしまうようになったのだろうか。恐らく、幼児期のころは「あがり症」とは無縁の生活を送っていたことだろう。
生まれつき「あがり症」である人は皆無である。あがり症の症状は、成長とともに周囲の環境から作られていくものである。そして、神経や脳の障害が原因とされる自閉症や精神病ともまったく異なったものである。
あがり症の原因をあえて突き止めるならば、幼児期におけるストレスや情緒不安であるかもしれない。幼児期にはあがり症という症状は出ずに、人見知り程度で済んでしまい、本人も周りの大人もまったく気づいていない状態である。しかし、思春期以降の多感な時代に強いストレスを受けると次第にあがり症の症状が出てくるといわれている。そして、それが習慣化してしまうと身体の癖になってしまうのである。