昔話・伝説・世間話の違いと参考文献
『原初年代記(過ぎし年月の物語)』という資料に東スラヴに伝わった神話に関する記述がある。そこに異教神話の神の名として以下の神々の名が挙げられている。また、上記のような神々を主人公とした叙事詩以外にも民間信仰レベルで『ロシアの魔女ヤガーばあさん』、『不死のコシチェーイ老人』(英語版)、『寒さのモローズ爺』(スラヴのサンタクロース、英語版)などといった昔話的な神話や自然現象などに端する精霊に関する寓話として『水の精ヴォジャノーイ』、『森の精レーシー』、『家の精ドモヴォーイ』、『水と森の精ルサールカ』なども存在した事が判明している。スラヴの民間伝承で特に有名なのは、吸血鬼と人狼に関するものである。
鳥の存在には、もっと別の重要性もあった。まず、人が産まれる瞬間、その魂は鳥が運んできた。そして死の瞬間に運び去るのだ。また、枕元に木製の鳥の像(Sielulintu)を置いておくことで、夢の中で魂が道に迷って帰って来られなくなる事を防いだ。水鳥は物語ではごく普通の存在であるが、岩絵や彫刻に見られるように、古代人の重要な信仰の対象だった事をうかがわせる。"ハデスのフィンランド版、死者の地はトゥオネラ (Tuonela) である。そこは善人悪人を問わない、全ての死者のための地下の家もしくは都市であった。そこは暗く生命の存在しない場所であり、そこで皆が永久に眠った。立派なシャーマンだけは、祖先の教えを請うために、トランス状態でトゥオネラに行く事ができたという。トゥオネラに行くためには、魂はトゥオネラの暗い川を渡らなければならなかった。もし彼に正統な理由があるのであれば、彼を運ぶためのボートが来るという。シャーマンは、トゥオネラの見張りに生きているとばれないように、幾度も死者の振りをして見張りをだます必要があった。"
また、口承の場合は地域や時代によって細部に異同が多い。語られるたびに内容が微妙に違っていても、聞き手はそれを同一の物語として受け取っている点にも特徴がある。口承文芸は無文字時代から存在し、一般に、昔話・伝説・世間話などの民話、新語作成、新文句(新句法)、諺、謎、唱え言、童言葉、民謡、語り物などに分類される。このうち、昔話には、発端句(「むかし」を含むものが多い)と結句(「どっとはらい」など)に代表される決まり文句がある。また、固有名詞を示さず、描写も最小限度にとどめ、話の信憑性に関する責任を回避した形で語られる。時代や場所をはっきり示さず、登場人物の名前も「爺」「婆」や、出生・身体の特徴をもとにした普通名詞的である。「桃太郎」は、「桃から生まれた長男」の意味しか持たない。
読んで字の如くヴェーダ文献に基づく神話であり、アーリア人がインドに持ち込んだインド・ヨーロッパ語族共通時代に遡る古い自然神崇拝を中心とする。紀元前1500年頃から紀元前900年ごろに作られた最古のヴェーダ文献である『リグ・ヴェーダ』(神々の讃歌)には、未だ一貫した世界観を持つ神話は現れていない。ヴェーダ神話の初期においては、神々はデーヴァ神族とアスラ神族とに分類されている。デーヴァは現世利益を司る神々とされ、人々から祭祀を受け、それと引き換えに恩恵をもたらす存在とされた。代表的なデーヴァは雷神インドラであり、実に『リグ・ヴェーダ』全讃歌の4分の1が彼を讃えるものである。一方アスラは倫理と宇宙の法を司る神々で、恐るべき神通力と幻術を用いて人々に賞罰を下す者として畏怖された。代表的な神はヴァルナである。アスラは『リグ・ヴェーダ』初期においては必ずしも悪い意味で用いられなかったが、デーヴァ信仰が盛んになるにつれて信仰が衰えていった。さらに、ヴァルナをはじめ有力なアスラ神がデーヴァとされるようになり、遂に『リグ・ヴェーダ』の中でも末期に成立した部分では神々に敵対する悪魔を指すようになった。