アッカド (アトラハシス叙事詩)と説話文学

"しかし三大悲劇詩人の活動の背後で、奴隷制を基礎に置くギリシアの諸ポリスは、アテーナイを代表として困難に直面することにもなる[97] [98]。ペルシア戦争での奇蹟的な勝利の後、アテーナイの覇権と帝国主義が勃興するが、ポリスは覇権をめぐって相互に争うようになる。敗北したアテーナイにあって独自な思想を語ったソークラテースはなお敬神の謎めいた人物であったが、彼に先駆するソピステースたちは、神々もまた修辞や議論の為の道具と見なし、プロータゴラースは「神々が存在するのかしないのか、我々には知りようもない」と明言した[99]。""ソークラテースの弟子であり偉大なソピステースたちの論法を知悉していた紀元前4世紀のプラトーンは、古代ギリシアの民主主義の破綻と欠陥を認めず、彼が理想とする国家についての構想を語る。プラトーン以前には、ホメーロスの叙事詩が青少年の教科書でもあり、戦士としての心構え、共同体の一員たる倫理などは彼の二大作品を通じて学ばれていた。しかし、プラトーンは『国家』において、異様な「理想社会」のモデルを提唱した。プラトーンはまずホメーロスと英雄叙事詩を批判し、これをポリスより追放すべきものとした[100] [101]。また、彼の理想の国家にあっては、「悲劇」は有害であるとしてこれも否定した[102]。"しかし、このような特異な思想を語ったプラトーンはまた謎の人とも言えた。神話(ミュートス)を青少年の教育に不適切であるとする一方で、彼自身は自分の著作に、ふんだんに寓意を用い、真実を語るために「神話」を援用した[103]。ポリスの知識人階級のあいだでは、古来のギリシア神話の神々や英雄は、崇拝の対象ではなく、修辞的な装飾とも化した。こうしてアレクサンドロスがアケメネス朝を滅ぼし、みずからが神であると宣言したとき、「神々への崇拝」はポリス共同体から消え去った、あるいはもはやポリスはこのような宗教的情熱を支えるにはあまりにも変質してしまったのだと言える。神話(ミュートス)が備えていたリアリティは消失し、神話と現実の分離が起こった[104]。

"ミレシア一族がダーナ神族を破り、アイルランドを制覇した後の物語である。英雄クー・フーリン(Cu Chulainn)の物語が主。他に、災いをもたらす女デアドラの物語など。""アルスター伝説から3世紀ほど後のもので、フィン・マックール(Fin mac cumhail)から三代続く、フィアナ騎士団の物語群である。フィン・マックールとは、クールの息子フィンという意味で、フィンには美しい、の意がある[3]。""フィン・マックールはヌァザの孫娘ムィルナとフィアナ騎士団の団長クール(Cumhail)との間に生まれ、ディムナと名付けられるが、父は彼の生まれる前にライバルのゴール・マック・モーン(Goll mac Morn)に殺される。ムィルナはフィン・マックールを信頼できる二人の女性に預け、フィン・マックールは森の中で英才教育を受けて育つ。"

人間の起源について古代ギリシア人は、神々が存在した往古より人間の祖先は存在していたとする考えを持っていたことが知られる。これはヘーシオドスの『仕事と日々』にもそのような表現が存在する。他方、『仕事と日々』は構成的には雑多な詩作品を蒐集したという趣があり、『神統記』や『女傑伝』が備えている整然とした、伝承の整理付けはなく、しかし、当時の庶民(とりわけ農民)の抱いていた世界観や人間観が印象的な喩え話のなかで語られている。古代よりギリシア人は「人は土より生まれた」との考えを持っていた。超越的な神が人間の族を創造したのではなく、自然発生的に人間は往古より大地に生きていたとの考えがあった。しかしこの事実は、人間が生まれにおいて神々に劣るという意味ではなく、オリュンポスの神々も、それ以前の支配者であったティーターンも、元々はすべて「大地(ガイア)の子」である。人間はガイアを母とする、神々の兄弟でもあるのである。異なるところは、神々は不死にして人間に比べ卓越した力を持つ。神々は貴族であり、人間は庶民だと言える[63]。しかしヘーシオドスは、土より生まれた人という素朴な信念とは異なる、人間と神々のあいだの関係とそれぞれの分(モイラ)の物語を語る。太古にあって人間は未開で無知で、飢えに苦しみ、寒さに悩まされていた。プロメーテウスが人間の状態を改善するために、ゼウスが与えるのを禁じた火を人間に教えた。また、この神は、ゼウスや神々に犠牲を捧げるとき、何を神々に献げるかをゼウスみずからに選択させ、その巧妙な偽装でゼウスを欺した[64]。

"エリン島(アイルランド)に訪れたいくつかの種族の物語である。物語の中心となるのは女神ダヌ(Danu)を母神とするトゥアハ・デ・ダナーン(Tuatha De Danann)ことダーナ神族。日本で一般にケルト神話と呼ばれるのはこの物語である。"また、多くの神話が、このダヌの子達とフォモール族の女神ダヌムの子達の戦いを描いている。モリガンは古代ケルト-アイルランドの三位一体の戦いの女神である。彼女の集合体はモリガンとして知られている。しかし、彼女の神性も以下の3柱と関係する。マッハ(Macha)とネヴァン(Nemhain)、バドゥブ(Badb)[1]。

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