待ってる間に眠ってしまった………筈。
なのに!
「なんで、俺。こんな訳分からないところにいるんさ!?」
夢!?夢なんか!?
そう思って近くの木に触れれば、返って来るのはリアルな感触。
夢じゃ、ない?
そのとき。
頭の上を、ばさばさと何かが掠めていった。
「鳥?」
飛んでいった方向を見やればそこにいたのは。
「ティムキャンピー?」
彼は、まるで自分を待つかのように振り返り、着いて来いというように旋回している。
「その先にいるんさ?」
誰とは、たった一人の人。彼の持ち主である、アレンだ。
俺は導かれるように、たった今までなかった筈の獣道を急ぎ足で駆け抜けた。
そして辿り着いた先にあったのは、開けた空間と、そこに聳え立つ大きな洋館。
「なんさ、ここ」
相変わらずティムキャンピーが、促すように扉の付近を飛んでいる。
「入って良いんさ?」
この人の言葉が理解できるクロス特製のゴーレムは、こくこくと頷いてみせる。
「んじゃ、入るさ」
なんか怪しい雰囲気はしたけれど、もしそこにアレンがいるのならと、深呼吸一つ吐いて意を決すると扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
広々とした空間、高い天井、その天井には煌びやかなシャンデリアが下げられている。
床には上質そうなフカフカの絨毯が敷かれ、ハリボテも覚悟していたのだが、見るからに想像以上に立派な屋敷だった。
正面にはまた立派な階段がある。
その階段の前で、マスカレードなどで使われるような仮面をつけた、タキシード姿の男が恭しく礼の形をとって俺を出迎えた。
「お待ちしておりました、ラビ様」
なぜ?
「今宵はラビ様の為に、3つのお部屋をご用意しました。どのお部屋を選んでいただいても結構ですし、全部ご覧頂いても勿論結構です」
「部屋って、どんな部屋何さ?」
「それは…入ってからのお楽しみ…と言うことで」
怪しい。
あからさまに怪しすぎる。
何より、アレンの姿も見えないことだし、入るのは止めようか。
だけど哀しいかな、怪しいとは思っていても、持って産まれた好奇心の虫が先へ進めと促してくる。
それに、ティムキャンピーも早く入れと小突いてくるし。
「わ、分かったって、入るさ〜」
「それでは、どうぞ、心行くまでお楽しみください」
仮面の下から唯一見えている口元が、誰かに似ているような気がして、ちょっとまだ不安が残るがそれに勝る好奇心に押される様に階段を上り、3つあるうちの一つの扉を開いた。
+第1の扉+
+第2の扉+
+第3の扉+
ENDING
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