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悪夢氏
〔1960年〕 |
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ピーエル・シニアック著 |
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幻想風サスペンス、シリアルキラー、パリ |
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ドゥノエル社 (パリ)
叢書クライム・クラブ 26番 |
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Monsieur Cauchemar / Pierre Signac (Siniac)
-Paris : Editions Denoël. -(Crime Club; 26).
-189p. -1960. |
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【あらすじ】 |
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2月初頭。パリの冬景色を濃い霧が覆い尽くしていた。 |
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首都の治安体制は麻痺していた。警察官によるストライキが内務省と衝突、夜の通りに警官一人いなかった。この暗闇で「悪夢氏」の第一の凶行が引き起こされる。俳優のマランゲが帰宅途中に絞殺。遺体からは何も盗まれていなかった。 |
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ミステリ好きの少年が古本屋に入っていく。埃にまみれた書物の山から数冊をくすねていく。老店長と世間話。近隣で起こっている絞殺魔の話題になった。何かを言いかけた老店長。少年は問い詰めていく。 |
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「”悪夢氏”は私なんだ」、古本屋店長、エスビロルの言葉だった。とても信じられなかった。虫も殺せないようなこのお爺さんが絞殺魔だなんて。老人は少年を夜の散策に誘っていく。次の犯行を見せてあげる。深夜、少年は半信半疑のまま老人についていく。夜の霧の中へ… |
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【講評】 |
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後に叢書「冷汗」に発展解消していく「クライム・クラブ」からの出版。冒頭20〜30ページはボアロー&ナルスジャクに通じる若干のサスペンス臭あります。叙述トリックと認識の錯誤を絡めた最後のオチはまずまず。実現可能かどうかのリアリズム的検証という発想はなく、読み手としては正直ギリギリ許容範囲。後に何度か復刊され、タルディによって漫画化もされますが、それほど優れた作品だとは思わなかったです。パリの霧という風景感、切り裂きジャックなどに影響を受けた連続殺人鬼物という設定の魅力勝ちでしょうか。この怪物作家の本領発揮はもう少し先になるのではないかと思います。 |
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【最終更新】 2009-06-17 |
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