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ベネチア人暗殺者の日記 |
クリストフ・ドゥルエ著 |
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〔初版〕 1997年
オール・コメルス社(パリ)
叢書 オール・ノワール 4番 |
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Journal d'un tueur vénitien / Christophe Derouet
-Paris: Editions Hors Commerce.
-(Hors noir; 4).
-117p. -19 × 14cm. -1997. |
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読書家を殺すのは気が進まなかったのだけれど。 |
月曜の首都。トランクケースに二次大戦中のモーゼル銃。男の写真が一枚。91系統のバスでポール・ロワイヤルに向かう。ワインを片手にタルタルステーキで夕食。男が外出するのを待つ。部屋に侵入。大きな本棚にラブレーが並んでいた。本を読みながら男を待った。20時、鍵の開く音。「ここで何を…」。煙が言葉を消し去ってしまう。 |
ベニス。愛人宅から帰宅した男性。9時43分に就寝。9時47分に永眠。窒息死。羽毛が唾液に混じっていた。運河の上を夜のカモメたちが飛んでいた。 |
暗殺者の奇妙な日常生活。パリからベルリン。ダンケルク、リスボンへ。エゴン・シーレのアクリル展覧会に足を運び、子供時代に女の子とサッカーをした広場を眺めてみる。父親が書き残した自伝の原稿を発見、読み進めていく。一方でラファエリ兄弟の配下が追ってきていた。仲間を殺された復讐だった… |
優雅なインテリ暗殺者がユーロを渡り歩きながら任務を遂行していく。殺人の場面は1〜2行で済まされてしまい主人公の日々の雑感や観察が作品の大半を占めている。 |
クリストフ・ドゥルエは映画批評、短編映画製作で活動中の人物。本作『ベネチア人暗殺者の日記』も元々は映画誌「ライムライト」に掲載されていたもの(95‐96年)。奇想に満ちた典雅な日記のアイデアは秀逸。ヴェリボール・チョリッチの『マザー・ファンカー』と並ぶ欧州暗殺家物語の秀作の一つ。 |
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