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ネズミを哀れむ歌 |
ジャン・アミラ著 |
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〔初版〕 1964年
ガリマール社(パリ)
叢書セリ・ノワール 832番 |
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Pitié pour les rats / Jean Amila
-Paris: Editions Gallimard.
-(Série Noire; 832). -1964. |
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セーヌ河畔に奇妙な泥棒家族が暮らしていた。夫のジュリアンは昼は自動車工場で働き、夜は空き巣に向かう。昼に下見をするのは妻イヴォンヌの役目だった。 |
深夜、銃で撃たれ意識朦朧となったジュリアンが戻ってくる。イヴォンヌは医者の兄を叩き起こして治療してもらう。「父親が空き巣に入って撃たれた。お前、子供がこんな話知ったらどう思うよ」。娘は今年17歳。空き巣を楽しそうに手伝っていた。 |
撃たれたジュリアンを運んでくれたのは通りがかりの男だった。地中海の訛りがあった。ポケットに銃を忍ばせている。ミシェルと名乗った。アルジェリア戦争の帰還兵のようだった。助けてもらったお礼に家に居候させてあげることにした。 |
「空き巣商売の手伝いをしたいのですが」、ミシェルが言ってきた。ジュリアンの元で泥棒修行を続けていく。協力は一見順調に見えたが…ミシェルが家を怪しげな武器密輸の中継地点にしたことから関係がもつれていく… |
空巣の物語と家族の物語、そしてアルジェリア戦争の物語の3つが混ざった奇妙な質感の作品。恋愛関係や仕事上の対立で人間関係がギシギシきしみまくっているのがアミラです。本筋と関係ないのですが、古い風景の残っているセーヌ川近辺を描いている視線(元は潜水の選手だったイヴォンヌが泳いだりします)がとても新鮮でした。 |
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