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良薬は口に苦し |
ジャン・アミラ著 |
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〔初版〕 1955年
ガリマール社(パリ)
叢書セリ・ノワール 285番 |
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La Bonne Tisane / John (Jean) Amila
-Paris: Editions Gallimard.
-(Série Noire; 285). -1955. |
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看護学校の勉強を始めてから2年目だった。週に一度、病院の夜勤が必修となっていた。テレーズにとって初めての夜。「患者さんが手を出してくるかもしれないから気をつけなさいね」、先輩から忠告があった。 |
夜8時。病院に併設された看護学校の建物近くに一台の車が止まっていた。運転席ではロジェが耳を澄ましていた。先ほど聞こえてきた一発の銃声。足が震えている。車を下りてビルの階段を駆け下りていく。倒れた「伯爵」の周りにネズミが群がっていた。 |
パリの裏の顔役ゴドーに連絡を入れる。「チンピラに喝を入れようとした伯爵が返り討ちにあいました」。伯爵は暗黒街では大物の一人だった。「まだ生きていることにして奴の名前で金を動かそうか」。死者を悼むより早く遺産の争奪戦が始まろうとしていた。 |
ロジェとゴドーは死体を確認に向かった。血の跡が通りを横切って向かいの病院まで続いている。大量に失血した伯爵は自力で病院まで到達していた。テレーズと医者たちによる懸命な治療が始まっていた。ゴドーの指示の元、警官に扮したロジェは「犯罪者を別な病院に移送したいのだが」と持ちかけていく… |
「ジョン」・アミラというアメリカ風の名前で発表された初期作の一つ。舞台はパリに設定されています。いかにも50年代な暗黒街の物語と看護学校生の奮闘日記を交互に描いている辺りが特殊かなと思います。型にはまりがちなロマン・ノワールに「何か別なもの」を持ちこもうとしていた様子が伝わってくる一作です。 |
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