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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者14・後半(Fate+オリ)」

在処 (2007-02-19 00:27/2007-03-04 19:04)
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「ま、とにかく是で霊体化の件はいいでしょ。
 話を続けるわね」

私とセイバーは『風王結界』を解き、元の場所に座る。

「次は私の知ってるサーヴァントについてだけど……
 セイバー、もしかしてバーサーカーの事も聞いてる?」
「はい。バーサーカーの真名はヘラクレス、宝具は『十二の試練』と聞きました」
「まぁ、それを確認したのはアーチャーだけなんだけど。
 聞いてなかったけどどういう状況で確認したの?」

そういえばそうだ。
私はあの後どうなったのか詳しく話していなかった。

「……その前に、リンと士郎と別れた後の話」
「そうね、そういえばまだそれも聞いてないわ」
「そうだな。あの後戦い続けてたのは怪我とかから判ってたけど、どういう状況だったのかは聞いてない」
「そうでしたね。では私から。
 リンと士郎が離脱した後、私達は橋を落としました。
 私達は水の上を歩く事が出来るので、バーサーカーを引き離す為にその手を取ったわけですが、
 逆に不意をつかれ私が戦闘不能の状況に陥りました。
 その後はアーチャー、お願いします」
「……うん」

私はその時のことを思い返す。
はっきり言って悔しい事この上ないのだけど。

「……バーサーカーに襲われたセイバーを守る為に私がセイバーを跳ね除けバーサーカーと対峙した。
 その後……私とセイバーのどちらを襲うかバーサーカー逡巡した隙を見て、一度殺した」
「―――それから?」
「……イリヤスフィールがバーサーカーの真名を私に教えて、バーサーカーが復活した。
 暫く戦ったけど……イリヤスフィールが『風邪を引くから』と言う理由で撤退した」
「あ、そっか。マスターだって言っても生身の女の子だもんな。
 冬に河に落とされれば風邪も引くか」

意図して彼女の事を話さない。
それに士郎が納得したようにうなずくが、セイバーとリンは一寸難しい顔。

「一つ確認しておくわね」
「……何?」
「―――貴女、一度バーサーカーを殺したのね?」
「……うん」
「どうやったのよ?」
「えぇ。私もそれは聞いておきたいですね。
 少なくとも並の宝具では……『風王結界』クラスでは無理です」
「……うん」

そう言えば見せた事は無かった。
否、リンは一度見ているはずだけど、一瞬だしランサー戦のあの技を結びつけるのは難しいかもしれない。
……そう、ランサーと戦った時のままならバーサーカーを殺すには至らないのだから。
私は立ち上がって襖を開ける。
そしてそのまま中庭に下りた。

「如何したのよ?」
「……見せた方が早いから」

セルスクラーフェを呼び出す。
普段の両手持ちで腕を下ろす無形の構えではなく、右腕一本で剣を持つ。
そして何も無い空間にバーサーカーを思い描く。
それを的として、私は剣を振るう。
大英雄ヘラクレスの宝具『射殺す百頭』を元に、□□ヤ□□ウが模倣した剣技。
それを解析し、再構成、最適化を行った『私』の技。
宝具『射殺す百頭』と同一にして異質の神技。

――是、射殺す百頭――

神速の九連撃、追随する空間の断層。
……私が今行える工程はここまで。
最終段階へ一歩届かない。
それでも、十分に宝具に匹敵する神技。

「――――っ!」

身体が悲鳴を上げる。
限界を超えた速度を無理やり引き出され全身が軋む。
蝋の翼で天を目指したイカロスが翼を奪われ落ちて死んだように。
英霊の□を移植された□□ヤ□□ウがその魂ごと滅びに向かったように。
本来到達出来る筈の無い高みを望んだ私が受ける代償。

「……『是、射殺す百頭』」

私は静に技の名を告げる。
贋作ながら真作。
模倣が習いの始まりと言うのなら、私の技は間違いなく『射殺す百頭』より派生した別の技。
宝具ではなく、技としての『射殺す百頭』
故に『是、射殺す百頭』

「何それ……反則じゃない!」
「……そうか、ランサーの言っていた技とはこれの事か」
「ん? なんだよランサーが言ってた技って」
「アーチャーに剣を渡した時にいっていたのです。
 『アレだけの剣技持ってて剣を持っていないはずが無い』と」
「は? 何でランサーがこの技知ってるのよ?
 私だって初めて見たのに」

やっぱり、気付いてないらしい。
仕方ないか。
あの時は無手だったのだし。

「……初めてじゃない」
「え?」
「……素手でだけど、ランサーと戦ったときに使った」
「ん〜〜?」
「……令呪使った時」
「あぁ! ランサーがいきなり吹き飛んだ時!」
「……そう」

やっと思い出したらしい。
……見えてなかったのか。
仕方ないのかも知れないけど。

「魔力も使わず真名の詠唱も要らず……バーサーカーを殺せたという事は少なくともAランク。
 どんな反則ですかそれは?」
「……ペナルティはある。
 使った後……身体に負荷がかかって修復が必要。
 それが終るまで……非、戦闘時で約2分間能力が下がる」
「それはどの位下がるんだ?」
「……判り易く言うと、筋力耐久敏捷の値が1〜2ランク低下。
 特に技の軸となる右腕の損傷が酷い」
「それは……それで倒せない場合はまずいわね。
 まぁ、バーサーカーみたいな反則滅多に居ないと思うけど」

それでも連戦などではきつい。
戦闘中に身体の修復をするならば2分では利かないのだし。
一ランクの低下でもランサーの能力低下具合を見れば致命的な隙になりかねない。

「所で、『射殺す百頭』とはヘラクレスの弓の名前だと記憶しているのですが?」
「……あやかった」
「そうですか」

実際にはよく判らないのだけど。
記憶にあるのは黒い何かに向かってその技を使っているぼやけてよく見えない男。
間違ってもその男がヘラクレスであるはずが無い。
むしろあのバーサーカーと見比べるならば、黒い何かの方がヘラクレスに近いようにも感じる。
ともかく、技その物を引き出す事が出来たとは言え、その記憶が何処から来ているのか判らない。
もう少し鮮明に映し出せていれば最適化に時間をかける事も無かったのだけど。
……まぁ、あの時点で拳技への再構成は出来なかっただろうから結果は変わらなかったかもしれない。

「ま、その話はこれ位にしてバーサーカーの話しに行かないか?」
「……うん」

疑惑の目を向けてくるセイバーとなにやら考え込んでるリンをよそに士郎が提案する。
私はそれに同意し、

「……そうね。これ以上考えても仕方ないし、今出来る事をしましょうか」
「そうですね」

リンとセイバーにも異論はないようだった。


Fate/黒き刃を従える者


その話し合いも8時過ぎた所で終わり。
私の鎧は無いのかとか、学校の結界の事とか色々な話が出たけど。
私の鎧に関しては私自身出せないからしょうがないし。
学校の結界については、私が出した推論を述べた物の決定的な物にはならず。
結局また学校へ行ったときに調べるという事で落ち着いた。
そしてリン、セイバー、私の順で風呂に入る。
女性より先に入る訳には行かない、と言った士郎は最後だ。
一昨日リンと一緒に入った時を思い出して身体を洗う。
身体を洗うのが『ボディ・ソープ』髪を洗うのが『シャンプー』その後に使うのが『リンス』。
それぞれのボトルに書かれた名前から使う物を探す。
シャワーで泡を流すと気持ちがいい。
その後に、リンの家の物に比べると幾らか小さめの浴槽につかる。
身体を倒し、半ば湯に浮かぶような感じで肩まで浸かった。
そのままボーっとお湯に浸かる。
何も考えずこうしている時が、一番好き。
でも、いつまでもそうしている訳にも行かない。
十分身体が温まった所で風呂から上がる。
身体を拭き終わった所で気付く。

「……着替え無い」

そう言えばリンの家から服を持ってきていない。
仕方ないので私は自分の概念武装であるドレスを呼び出す。
……うん。
便利だ。

「……士郎、上がった」
「あぁ、判った。
 ありがとうアーチャー」
「……うん」

士郎にお風呂が開いた事を伝えると、居間の方から

「アーチャー、上がったならこっち来なさい」

と言うリンの声が聞こえた。
今に行くと、リンがセイバーの髪を乾かしていた。
筒状のアレは、確か『ドライヤー』とか言ったと思う。

「はいお仕舞い。次はアーチャーね」
「ありがとうございます、リン」

セイバーが場所を譲り、私はそこに座る。

「あら、アーチャーその服で来たの?」
「……着替えが無いから」
「あれ? 朝の内に持ってきた荷物の中に入ってた筈だけど……」
「……荷物?」

ブー、と言う音と共に暖かい風を吐き出すドライヤーで髪を乾かしながらリンが言う。
荷物……そう言えば起きた時に部屋に置いてあった気がする。

「言い忘れてたみたいね……」 

言われてみれば、セイバーはライオンの絵が描かれたパジャマを着てるし、リンも猫の絵が描かれたパジャマを着てる。
恐らく私の分はその荷物の中に入っているんだろう。

「……部屋に戻ったら着替える」
「そうね。流石にその格好じゃ寝苦しいでしょう」
「この国では寝るときにこのような服を着るのですか……
 私が生きていた時は裸で寝ていましたが……」
「セイバー、それは止めときなさい、危険よ。
 主に貴女のマスターの理性が」

……温かい風に当たっていると自然と頭がボーっとしてくる。
髪に入るリンの指も気持ちいい。

「アーチャー?」
「おや、寝てしまったようですね」
「あらら……まぁ、昨日今日と頑張ってもらったしね。
 今日はゆっくり休んでもらいましょ」
「えぇ。その意見に賛成です。
 私が部屋まで運びましょう」

そんな声を聞きながら、私の意識は落ちていった。


後書き
後半です。
『是、射殺す百頭』はこういう設定になりました。
『射殺す百頭』とは別物だと考えてください。
因みにランサーに使ったのは第一段階。
神速の九連撃。
バーサーカーに使ったのが第二段階。
神速の九連撃と追随する空間の断層。
後一段階上があります。
まぁ、アーチャーの正体とはあまり関係ないので流してください。

レス返し
<<レンさん
アーサー王の時代にはそれなりに使い手がいたと言う設定です。
よって円卓の騎士の中にもいたと言う事にしておきます。
独自設定ですが。

<<九頭竜さん
気をつけます^^;
試合はもう少し先ですね。
その前に士郎の別のイベントが……

<<通りすがりさん
こういう設定になりました。

<<水無月さん
ヒントはいりませんか。
ならば何も言いません。
でも、予想できたら書き込んでくれたら成否は答えますよ?
あと、幼いのは関係してきます。


2007-03-04-19:04
修正、加筆しました。

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