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▽レス始

「Fate/黒き刃を従えし者14・前半(Fate+オリ)」

在処 (2007-02-18 01:05)
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夕食。
その時間になって全員で集まり、食事をする。
セイバーは何か悩んでいたが、其れは一度棚上げしておくようだ。
少なくともリンや士郎に気取られた様子は無い。
食事の用意と片付けは私がする事になった。
リンと士郎は結局夕方になるまで起きてこれなかったから。
思えば、リンが朝調子悪かったのは私の所為だったんだろう。
私が一度目を覚ました時、リンが私が倒れた原因は魔力不足だって言ってたから、
リンからもかなりの量を吸い上げたはずだ。
今まで使われた魔力を回復する為に寝ていたのだろう。
……朝の時点で気付かないなんてどうかしてる。
もっとしっかりしろ私。


Fate/黒き刃を従えし者


「それじゃ、今まで判ってる事を纏めようと思うけど、いいわね?」

私が食器を洗い終わって戻ってくると、リンがそう切り出した。

「あぁ」
「はい、お願いします」
「……うん」

同盟を組む事になったからそれぞれが知っている事を纏めておこうという話。
確かに始まって間もないのに、既にいくつか厄介な事が起ってる。
それに対し冷静に対処する為にも必要な事だろう。

「今判ってるサーヴァントはアーチャーとセイバー、それからランサーとバーサーカーね。
 マスターが判明してるのは三人」
「三人? 俺と遠坂で二人だろ?」
「……イリヤスフィール」
「あ」
「士郎の事だから、あの子を敵として見れなかったんでしょうけど……止めときなさい、殺されるわよ?」
「えぇ。そういう優しさと言うか甘さはシロウの美点ですが……相手が悪い。
 イリヤスフィールは間違いなくシロウを狙っていました」

そう。
イリヤスフィールは確かにシロウを狙っていた。
……ついでの様にリンも。
事実ついでなんだろうけど。

「それで、敵の情報だけど……」
「それでは私から」
「えぇ、お願い」

まずはセイバーが話し出す。
士郎はそもそも聖杯戦争を知ったばかりだし一歩退いて(実際距離を取る訳じゃないけど)聞き役に徹するみたい。

「まず私の方で判っているのはランサーの宝具と真名です」

それは私も知ってる。
他でもない彼自身から聞いたし。
……あれ?
何で私、ランサーの宝具の効果まで知ってるんだろう?

「質問」
「はい、なんでしょう?」
「宝具と真名ってなんだ?」

……あー、そこからか。

「……真名はそのまま、その存在の本当の名前」
「宝具はその英雄が持ってる象徴……まぁ、大抵は武器ね。
 ほら、伝説とかって英雄と武器が一纏めで語られる物でしょ?
 その英雄が使っていた武器が宝具になるのよ」
「宝具は……そうですね……判りやすく言えば強力な魔法道具でしょうか?
 魔力を注ぎ込み、真名を開放する事によって真の力を発揮します」
「なるほど、よく判った。
 つまり宝具は強力な武器であるだけじゃなくて限定機能付きの魔術礼装でもあるって事か。
 後宝具の真名が判ればサーヴァントの真名もわかる、と」
「そうそう」

因みに。
私の『是、射殺す百頭』それに該当しない。
アレは宝具ではなく、あくまでも技なのだ。

「ランサーの真名はクー・フーリン。
 宝具は因果の逆転によって『心臓を貫いた』という結果が先に出る宝具、ゲイボルク」
「何よそれ……反則じゃない」
「……でも、宝具の因果を上回る神秘の防壁を使えば防げる」
「えぇ。アーチャーの言う通りです。
 最悪、ランクB以上の防壁を用意できれば即死は免れる事ができると思います」

神秘はより強い神秘によって打ち消される。
因果の逆転も、それ以上の力を持つ力と打ち合えば消滅を免れない。
ただ。

「しかし問題は……あの宝具は一旦離れずとも使える可能性が高いという点です」
「どういう事だ?」
「はい。私の時は一旦離れた後で使う事を宣言しましたが、実際の戦争でそんな事をやっていたとは思えませんし、
 あの程度の魔力ならば彼は一瞬で練り上げるでしょう。
 其れゆえの推測ですが……あの攻撃の合間に宝具を発動されては防ぎようが無い」
「あー……なるほど確かにな」

そう。
ランサーは恐らく、あの戦闘の中でも即座に宝具の開放が出来る。
……私が、戦闘の中で『是、射殺す百頭』を使えるように。
そもそもその位出来なければ接近戦用の宝具としては使い道が無い。

「……それに、燃費も良い」
「どういう事よ?」
「……たぶん、一発一殺なら全てのサーヴァントを殺すのに魔力供給は要らない」
「えぇ。恐らくそうでしょう。
 あの効果で二桁台の魔力消費とは……恐ろしいまでの燃費の良さです」
「うわ何其れ……羨まし……」

リン、本音出てるから。

「とりあえず、私が判るのはこの位でしょうか」
「ま、召喚されたばかりだしそれだけわかれば上等ね」
「はい。では次はリン、貴女の知っている事を教えていただきたい」
「えぇ。判ってるわ」

次はリンから。

「とりあえず敵に対する情報の前にアーチャーの事を説明しとくわ。
 って言うのも、同盟組むに当たって一つ知っておいて貰わないといけない事があるからなの」
「そう言う事って前置きするような事なのか?」
「本来サーヴァントは情報を隠す物よ。
 セイバーだって自分の真名とか宝具とか言ってなかったでしょ」
「あぁ、確かに」
「あんたは後で聞いてみなさいね。
 ……いえ、そうね……あんたは聞かないほうがいいかもね」
「そうですね。すみませんが、私もリンに賛成します」
「なんでさ? 俺別に誰かに言いふらしたりしないぞ?
 これでも口は堅いつもりだ」
「だって貴方、対魔力低そうだもの。
 魔術使ってはかされたらどうしようもないんじゃない?」
「うっ……」

士郎はリンに説明されて呻く。
どうやら自分でも自覚はあるようだ。

「確かにそうだな……暗示とか掛けられたら俺なんて一発だ」
「そうそう。それに、士郎って何か嘘付くのとくいそうじゃないし」
「む。なんだよ遠坂、俺だって必要なら嘘の一つや二つくらい……」
「いえ、無理に嘘をつく必要もありません。
 シロウはそのままで有るのが好ましい」
「えぇそうね、私も貴方のそういう所、嫌いじゃないわよ」
「うっ……」

セイバーとリンの言葉に、士郎が真っ赤になって黙る。
其れはそうと、話がずれて来てるね。

「……リン、話がずれてる」
「あぁ、そうだったわね」

赤くなった士郎を見て恥ずかしくなったのだろう。
リンの顔も少し赤くなってた。
……其れは言わないのが優しさなんだろう。

「こほん。まぁ、アーチャーの事で言って置かないといけない事は一つ。
 ……記憶喪失なのよ。
 だから宝具とか使えないの。
 その辺は期待しないで」
「なっ!? アーチャー記憶喪失なのか!?」
「……うん」

リンの言葉に士郎が反応する。
セイバーは特に反応なし。
まぁ、昼間に話したしね。

「……セイバーは驚かないのね?」
「はい。昼間に本人から聞きましたから」
「あら、随分と仲がいいのね?」
「そう言う訳では……それに。
 記憶が無いからといって彼女の戦闘能力は決して低い物ではない。
 むしろ上位に入るのではないかと、私は思います」

彼女の評価は、バーサーカーとの戦闘を考慮しての事だろう。
その評価は――自分で言うのもあれだが――間違っていないと思う。
宝具が『風王結界』以外思い出せないとは言え、私にはランサーから貰った剣と『是、射殺す百頭』がある。
楽観は出来ないけど、悲観するほど酷い状況じゃない。
むしろ『是、射殺す百頭』にいたっては宝具に劣らない処の話じゃない。
何せあれ、真名開放が要らない上に、魔力も使わないと来た。
身体に多少負荷がかかる為結果的に身体の修復に魔力を持ってかれている。
けど、その量だって精々一人前の魔術師一人分。
ランサーの宝具よりも少ない量ですむ。
問題は放った後一時的に身体能力が落ちる事だけど……
修復にそれほど時間がかかる訳でもない。
精々1、2分といった所だ。

「まぁ、他にも霊体化できないとか有るけど些細な問題ね」
「其れは……些細ですか?
 霊体化出来なければ自然に護衛を行う事ができない……
 かく言う私も出来ないのですが……」
「あらそうなの?」
「はい。恐らく無理な召喚が祟ったのでしょう。
 シロウから魔力が送られてくる事も無く、霊体化も出来ない」
「ん〜……霊体化はともかく、魔力の方は……アーチャー何かわからない?」

セイバーの抱える問題についてリンが私に聞いてくる。
ふむ。
私はセイバーを凝視し、解析をかける。
……特に問題ないようだけど?
ラインも繋がってるし……魔力が送られてこない理由がわからない。

「……ラインは繋がってる」
「はい。其れは感じます」
「……判らない」
「そう……まぁ、仕方ないわね」
「すまんセイバー……不甲斐ないマスターで」
「いえ、シロウが気にする事ではありませんし、もうすんだ事です。
 問題はこれからどう戦うかなのですから」

……ん。
そっか。
あの時話した事は、セイバーなりの考えの中で受け入れられたらしい。

「そうだな。ありがとうセイバー」
「いえ。それで、リン。
 霊体化出来ないのが些細な問題、とは?」
「え、あ」

士郎とセイバーのやり取りをボーっと見てたリンがその言葉で我に帰る。
何を考えていたのか知らないけど、少々慌ててる辺り……

「アーチャーの宝具……『風王結界』って言うのがあるんだけど」
「まて、アーチャーは宝具を使えないんじゃなかったのか?
 って言うか、宝具の真名言ってもいいのか?」
「これは一昨日に思い出したのよ。
 それに宝具って言っても、風だからね。
 あれから真名割り出す事は無理だと思うわ」
「えぇ。それに私の時代ではそれなりに使い手が居ましたし……」
「聞いておくけど、セイバーも使える?」
「はい。私の剣を消しているのがそうです」
「あぁ、やっぱりあれ、鞘なんだな」

やっぱり?
士郎はアレが剣の能力じゃない事に気づいてた?
それに鞘って……

「はい。本来の鞘ではありませんが、仮の鞘……といった所でしょうか?」
「まぁ、それはいいわ。
 アーチャーがそれを使って……って、見せた方が早いわね。
 アーチャー、お願い」

リンが私に話を振る。
私はその言葉にうなずき、風を身体に纏わせる。

「……ほぅ」
「なるほど、是ならばれずに護衛も出来るか」
「こうでしょうか?」

セイバーが私と同じ様に風を纏い、姿を消す。
自分が使ってる時は実感できなかったけど、足元の方から透けるように消えていった。
今ではもう、移動すれば互いにぶつかるまで判らないだろう。

「なるほど……このような使い方は考えもしませんでした。
 アーチャーは力の使い方が上手いですね」
「ま、とにかく是で霊体化の件はいいでしょ。
 話を続けるわね」

私とセイバーは『風王結界』を解き、元の場所に座る。
まだ夜は長い。
話は続く。


後書き
長くなったので切ります。

<<KING-JUMさん
メインヒロインはまだ決まってないんですってば^^;

<<九頭竜さん
ハーレムはちょっと。
私のほうが受け付けないので^^;
ご期待に沿えるかどうか判りませんが、頑張ってみます。

<<水無月さん
無駄に長くなってるから一気に読むのは大変だったでしょう。
ありがとうございます。

HFルート関係なのは確定です。
黒セイバーの身体を使ってるのもそう予想するのに難しい事ではないでしょう。
ただ、記憶の事に突っ込まれるとは思いませんでした。
その通り、ヒントです。
あまりネタバレしたくないので言うつもりは無かったんですが。


何か結構鋭い指摘が増えて気がします。
まだ物語始まったばかりだと言うのにもうばれるのかな?
一応伝えておくと、今まででずばりそのものを言い当てた人はまだ居ません。

ヒント欲しいですか?
……だんだん明らかになって行くのでここでヒント出すのもアレかもしれませんけど。

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