ついに僕の足まですっぽりとアーボの中に包み込まれると、
喉を鳴らす鈍い音と共に僕の体は暗い穴の中へと落ちて行った。

ずっと昔に僕が木の実を謝って丸呑みにしてしまったときは、
息が出来なくて凄く苦しかったけど、アーボは木の実よりずっと大きな僕を簡単に丸呑みしてしまった。
今頃僕を呑み込んだ満足感で満面の笑みを浮かべているのだろうか……?


ははは、何考えてるんだろう僕……


馬鹿なことを考えながら、僕が重力に任せて落ちていくアーボの体内は、
柔らかくて生温かいチューブのような場所だった。

そんな柔軟に出来ているアーボの体内は僕の身体に合わせて形を変えてくれる。
湿った肉に身体をすりつけ、尻尾の先で撫で上げたりと、
僕は全身を使ってアーボの体内を感じ、胃袋の中へと滑り落ちていく。
何の抵抗も感じない優しい肉の抱擁は、まるで毒に冒されている僕を優しく誘ってくれている様だ。
せめてこの毒さえ無ければずっと良かったのに……

焼け付く痛みはいつの間にか消えていた……変わりにジットリ汗を掻きそうな暖かさと、
目眩がするほどの吐き気が襲ってきている。
すでに毒が回りきり苦痛が快楽に変わり始めたのかも知れない。

御陰で意識が遠くなりそうだ。
……どうやら、胃袋で消化される前に毒で力尽きそう……



……そう言えば、僕が食べた木の実。
あの美味しい噂の木の実って……どんなのだった…け?
確か……も……ん…………

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