もうどうすることも出来ない……

僕を最後まで手玉に取ったアーボは、僕の身体を完全に持ち上げてしまう。
ねっとりと絡みつくように唾液が全身を濡らしてしまい、とても滑りが良くなった僕は
ズルズルと滑るように暗い穴の奥へ運ばれていくだけだ。

アーボの鳴らす喉の音が穴の奥に行くにつれて大きくなってきている、
獣臭い息の混じった生温かい湿った空気が、容赦なく僕の顔を包み込んでいた。

直ぐ目の前に不自然に蠢く闇が見える。
恐らくこの先がアーボの体内へと続く穴の入り口。
その中から僕の顔を包み込む、アーボの生暖かい吐息が噴き出していている。
今から僕はこの中に飛び込むんだ。

そう思うと最初に感じた身も竦む恐怖が蘇ってくる。
せめて……自分が呑み込まれる瞬間は感じたくないと、僕は目を閉じて息を止めた。


”ズブッ……グジュゥ……”


……そして、僕の頭は暗い穴の中へと呑み込まれてしまう。
狭い肉の洞窟の入り口を通り抜けると、そこはもうアーボの食道の中だ。

アーボの体内は思ったほど締め付けられる事はなかった。
それでも頭を殆ど動かせないし、ネットリとした体液が僕の口や耳に入り込んでくるのはどうしようもない。
ジュリジュリと内壁に擦れる音は相変わらずだけど、それに加えてもう一つ……


”トクン トクン”


アーボの心臓の鼓動が内壁に密着した僕の耳に響いてくる。
途端に僕は目眩を起こしたように意識が遠くなった。

全身の感覚も酷く鈍くなり、僕の身体から完全に力が抜け落ち死に体となっていく。
まったく動けない状態でアーボに呑み込まれる自分を感じている事しか……


”グブッ!……ズズルッ!”


急に支えな無くなったかのように僕の身体が大きく滑り落ちた。
どうやらギリギリの所でアーボの口の端に引っかかっていた僕の両足が外れてしまったようだ。
元の大きさに戻ろうとする力で両足がギュッと締め付けられるのを感じる。

これで本当に最後の命綱が絶たれてしまった。


”ズル…………ズルル…グブッ……ゴクゴクッ”


呑み込まれる僕に分かるほど、アーボは盛んに喉を鳴らす。
動きの鈍った僕の全身をアーボの体内の生暖かい肉が包み込んでいった。

そして、僕の身体は……


”ゴクリッ”

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