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輝いたその先にあるもの − 旧・小説投稿所A

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輝いたその先にあるもの

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イーブイ達がいる巣穴から遠く離れた場所。硬い岩石がごろごろと並ぶ山岳地帯にバクフーンはいた。
 整えられた街道とは違い、凹凸の激しいこの道では歩くこともままならない。体の大きなバクフーンでさえ息をあらげてしまう程だ。
 重い足取りでしばらく進むと、目的の場所が見えてきた。断崖絶壁にぽっかりと空いた穴。中は真っ暗でよく見えない。
 バクフーンは洞穴の壁にもたれ掛かり、一息つこうと持ってきた水を飲もうとした。その時だった。
「グルルルルッ」
「――っ!」
 真っ暗な空間からいきなり赤い炎の塊が、閃光のごとく飛んできたのだ。
 寸でのところでバクフーンはそれをかわした。それでも頬の辺りが少し焦げたようだ。
 ぎゅっと唇を噛み締めて洞穴の奥を睨み続ける。やがて、そこから鈍い足音が反響して耳に入ってきた。
 現れたのは、オレンジ色の体に大きな翼を生やし、鋭い爪と牙を持った竜のような姿の――。
「……昔と変わりませんね、アニキ」
 身構えたままそう言うと、青い目をした竜、リザードンはふんっと楽しげに鼻息をあげた。
「それはお互い様だろう、バクフーンよ」
「もし俺が昔のままなら何もできずに丸焦げですよ?」
 一瞬目を見開くリザードンだったが、それはすぐに笑顔へと変わった。
「ククッ、なるほど。ちょっとは出来るやつになったようだな」
「まだまだ未熟ですが」
「さては好きなやつでもできたのか?」
「……ご冗談を」
 なぜこの流れで好きなやつがいるかどうかを聞かれるのか。バクフーンには分からなかった。
「それより、この手紙ですが」
 腰にぶら下げた鞄からバクフーンは一枚の紙を取り出して言った。
「あぁそうだ。ここに来たってことは、覚悟はできてるということか、バクフーン」
 周りの空気が張り詰めるような感覚を味わいながら、バクフーンはゆっくりと頷いた。
「まず無事ではすまない。最悪死ぬことだってある。それでも、お前は着いてきてくれるのか?」
 死ぬ。
 その言葉を聞いて、真っ先に思い浮かんだのはやはりイーブイだ。俺が死んだも、衣食住は問題ない。認めたくないが、何かあったらバンギラスがいる。ただ、それは俺の目線の考えだ。
「……あなたのために死ねるなら、本望です」
 ためらうよりも先に、バクフーンは答えを出した。そうしないと、不安に押し潰されそうだったからだ。
「そうか、そうなんだな。分かった。お前がいてくれて我輩は誇りに思うぞ」
 肩を叩き、リザードンは思い詰めたような――少なくとも嬉しそうではない――顔をした。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休んで、明日に備えるといい」
「ありがとうございます」
 それを聞くと、リザードンは頷いて洞穴の奥の方へと消えていった。
 彼が見えなくなったのを確認してから、バクフーンはその場に腰かけて壁にもたれ掛かった。
 もう後には退けない。
 バクフーンは慣れた動作で息を吸い、そして吐いたのだった。


<2013/02/19 22:33 ミカ>消しゴム
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