Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!

吹雪の島 − 旧・小説投稿所A

RSS | 感想 | TOP
吹雪の島
− chapter3 −
|<< < 3 / 8 >>|

二人は気がつくとギルドの前で足を止めていた

四角くて真ん中にドームのような形の吹き抜けの天井がある大きな建物が二人を見下ろしている

あれから結局お互い恥ずかしがって ただギルドへいく足だけを早めていたのだった




マニューラが「今日も寒いね」だとか 「夜ご飯何にしようか?」と少し遠慮がち喋りかけても彼女には彼が無理に話を作ろうとしてるのが分かったようで てきとーに「うん…」「なんでもいいよ…」といつもとは違う態度で流してしまい 更に気まずい空気が流れただけだった








「…………」
「…………」

ぼけーっと入り口で立ち止まっている二匹 さっきまで話しかけていた彼自身も流石に もう何も言わない方がいいのかな と黙ってしまう






時が止まったんじゃないかと思うぐらい静かだったが一匹のポケモンがギルドの入り口の中から嬉しそうに飛び出してきた





「あ!キミたちはフリップズ!どうしたのォ こんなところでたちどまっちゃっテェ」





体に生えた赤と白の羽毛
背中にはパンパンに膨れた袋を背負っている クリスマスの象徴とも言えるサンタクロースにそっくりなポケモン デリバードだ


このギルドで一番偉いポケモンとでも言えばいいだろうか なんでもこの町の更に更に北にある「探検隊連盟本部」から派遣されたスーパーエリートらしい

しかし子供のような性格(実際子供じゃないかという噂もある)がそれを思わせず とても謎の多いポケモンとしてギルドだけでなく町全体で有名だ




そしてフリップズというのは彼と彼女の探検隊のチーム名の事だ
数ある探検隊の中でこの神童のようなポケモンが彼らを知っているのは彼が特別な事情で彼らを目にかけてくれているからだった



「……」
「……」

「ぼくね ギルドのみんなをだいひょうしてこれから町長にあいさつにいくんだ!もうすぐクリスマスだからね きみたちもがんばっておかねかせいでくるんだよ♪」


そう言うとデリバードは何も言えずに口をぽかんと開けたまま立ち尽くしている彼らの横を通り抜け まるで祭りにでも行く子供の様にわいわいはしゃぎながら広場へ走っていった







「……いこっか」
「うん……」


しばらくあ然としていた二匹だったがすぐにギルドの中へと足を進ませた


それ以来マニューラもベイリーフも黙ったままギルドの中をすたすたと歩いていき大きな広場についた

以前改装され広々としたホールの両脇には巨大な掲示板がある ここに探検隊への依頼が届くのである

掲示板の前には沢山のポケモン達がいる 新米から大ベテランまで 皆探検隊である その中でマニューラ達は…中の下と言ったレベルだ
















----------------------

マニューラは家を出て以来ずっと憧れだった探検隊になる為にこの町を訪ねた

もともと住んでいた場所よりずっとずっと遠かったが盗ったお金で運び屋を営むポケモン達に乗せてもらっておおよそ2ヶ月の時を経て辿り着いた

ベイリーフに会ったのもこの街 街が活気づいて宿などは相部屋が多かった 旅人にとってはそのような場で見知らぬポケモンに旅の経験や思い出を語り合うのも旅の醍醐味の一つでもあるらしい それこそがこの二匹の出会いである

彼女も探検隊に憧れる旅人であった 二匹はすぐに打ち解け 共にこの街で探検隊になることを決めた 探検隊になるための修行の中で当時のニューラもとうとう今のマニューラへ進化した

これが二匹「フリップズ」の始まりである

----------------------













「今日は何やるの…?」

彼女が静かだった空気を破った



彼は僅かに微笑み

「うん 来る前に考えてたんだけどね ん………と ちょっと来て」



そう言って彼はクイッと彼女を誘う

二匹が来たのは左の掲示板 こちらはダンジョンで迷ってしまったポケモンの捜索や救助 道具運びなどの依頼が集まる


「あ これがいいかな…?」

一枚の紙を指差し彼女に見せた


「ん? 簡単そうだね…」

彼女が見た紙にはこう書かれていた

救助依頼
依頼主:バクフーン
{私の息子が昨日吹雪の島に行ったきり帰ってこないんです!あそこには恐ろしいポケモンがいると聞きました!探検隊の皆様 息子を助けて!}

依頼主からその息子というのはヒノアラシかマグマラシだろう



「あるよね〜 ガキが宝なりなんなり探しに不思議のダンジョンに行こうなんて……」

ちょっと嫌らしい、あざけるような笑いを浮かべながら彼女が言う


彼はふぅっ不満げにとため息をつくと言った

「………そうだね でもさ 聞いた事あるでしょ 吹雪の島って」

「うん 最近新しく見つかった場所で…こっから近いんでしょ?」

「近場って言うのもあるし、あんまり野生のポケモンも強くないらしいんだ だからここの依頼は報酬も低いみたいだし……見つかったばかりにしては人気がないっていうか……わざわざここに来る探検隊は少ないと思う」

「それがなにさ?」



彼はいつか見た有名な探検隊の日誌の記録に次のようなことがあったのを思い返しながら言った

「あれだよ ようするに…未開の地って言うのかな 奥に行ったら何か見つかったりして…」

「あぁ〜成る程ね…依頼をちゃちゃっと終わらせてからゆっくり散策…って事?」

嬉しそうに彼女が聞く



「そうゆう事!だからここ行こうよ」

「うん!上手くいったら大金持ちだねぇ♪」

「でもわかってるよね 絶対に仕事が優先 こういう救助するような依頼ならなおさらね」

「ぅ……ごめんね」

彼女は内心後者の方に気が揺らいでいたことと依頼主の子を侮辱したことを謝った



依頼の紙をビリッと破りとると二人は依頼書をギルドの受付に渡し正式に依頼を受託した

そして二人は地下にある巨大な倉庫へと足を運んだ ここにはギルドから支給されるアイテム…オレンの実やふしぎだまなどのアイテムが保管されている

各探検隊ごとに番号のふられた大きな箱が置かれマニューラ達は自分達の番号が書かれた箱の前で足を止める

そうして二人がギルドの中の倉庫から様々なアイテムを取り出していると上から慌ただしい声が途切れ途切れに聞こえてきた

マニューラはその途切れ途切れの言葉を捉えようと注意深く耳を傾けた


「たしの…こが…って、……らい……なんですか…!……っぷず…?…こに……?」

そのひどく慌てた様子の声に荷物をまとめたマニューラ達はお互いに頷くと再び上に上がろうとした、

ベイリーフは持って行こうか悩んでいたアイテムを床に落としてしまう

「あっ…いけない、」

それを慌てて拾い上げる

「閉めるよ?持ってくの?」

「あぁ、うん、大丈夫」

彼女は持って行くべきか悩んでいたが彼に急かされて手で掴んだアイテムを乱暴にトレジャーバッグに詰め込んでから言った

彼が鍵を閉めると階段を上がり再び広いフロアに出て来た

「あ…見えました彼らです」

受付を受託する役割を持っているポケモンの声が聞こえた後一匹のポケモンがマニューラ達の元に向かってやってきた

「はぁ…はぁ……あなた達がフリップズ……?」

「はい…まさか貴方がこれを……?」

そう言って彼は目の前にいるポケモンに手に掴んだ依頼書を差し出した
「そうです…はぁ…私の息子が吹雪の島に……はぁ…はぁ…」

牝のバクフーンは荒い息をしながら答えた そして時々ゴホンゴホンと咳き込む

「大丈夫ですか?」

「はい…それより私の息子が……早く助けてやってください…ゴホン…あの子はまだ小さくて…」

言葉の最後の方にはすすり泣くような声になっていた
「大丈夫!私たちが必ず助けてますから!」

自信たっぷりにベイリーフが言う 続けてマニューラも「そう…大丈夫です あなたの息子さんは必ず助けて見せます」とバクフーンに言った

「ありがとう…私の息子はマグマラシに進化したばかりなんです…いまごろどうしてるか……ごほっ…ごほっ…」
バクフーンは咳き込みながら彼と彼女の心強い声に心を打たれたように言った

「そうですね 一刻を争います 私たちはもう行きますので……」

「はぁ…ごほっ…分かりました 息子のことをよろしくお願いします…」

そう言うとバクフーンはマニューラとベイリーフを大きな腕でギュッと抱きしめた

その暖かい抱擁は言葉にできない望みを表しているんだろうと彼は思った そしてその母なる温もりに彼らは心が和らぎ、依頼へのやる気を高めたのであった




























それから50分ぐらい経っただろうか


二匹はギルドの出発口から船で冷たい北の海を渡り ある島に着いた

船の航海士に聞くと依頼の子供も昨日船に乗ってここに来たらしい 子供を降ろしたという場所に船をつけてもらった

二匹は船を降り 遠くに見える街へ去っていくその姿を見送った


今彼らがいるのは島の中でも北の方 二匹の目の前には一直線に広い道がありその両脇には林が広がっている


「ここだね?マニューラ」

「うん 噂の吹雪の島さ…思ってたより広そうだなぁ…………ん…? 見てよベイリーフ」

ふとマニューラが足下を指さした

「これは…足跡…?まだ新しい…っていうかできた足跡が固まってるみたい…」

「多分依頼の子のだよ 珍しく雪も少なかったからね…辿っていけば簡単に見つかるよ」

「そうと決まれば早速行こうよ♪」

「うん」










-ものすごい分かりやすい道だなぁ だけどその分道が開けすぎてる…野生のポケモンに狙われる危険も高い 炎ポケモンだから寒さは大丈夫だろうけど…よくもまぁこんな所に一人で行けるよ……でも、無事だと良いな この子供には良いお母さんがいる 絶対に助けなきゃ 助けられなかったらあのお母さんも悲しむだろうな クリスマスに家族がいないなんて………って自分が言える台詞じゃないや-











ぼん……

そんなことを考えていて黙っていた彼の体に突然何かが当たった 体に当たったそれがパラパラと砕け地面に落ちる





「朝から何ボーッとしてんのさ さっさと行くよぉ♪」
声のした方を見ると彼に背を向け逃げるように走り出しているベイリーフがいた

「あぁぁぁああ!なにすんのさぁ!」

彼も何個か雪玉を作って彼女に投げつけながら後を追ったのであった…


<2013/01/26 23:27 ジイア>消しゴム
|<< < 3 / 8 >>|

TOP | 感想 | RSS
まろやか投稿小説すまーと Ver1.00b