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VD − 旧・小説投稿所A

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VD
− 5 - 消化 −
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※消化表現 & グロかも知れない表現があります。
 某映画の描写から、それなりにリアルに書いている為、
 苦手な方は見ない事をおすすめします。

・・・頭が下の姿勢で、僕は生暖かい管の中をゆっくりと下っていく・・・
身体中に貼り付き、締め付けてくる粘液まみれの肉壁。それが僕のあらゆる自由・・・
呼吸をする自由、体を動かす自由、暴れる自由、逃げようとする自由、
そして・・・生きる自由を奪い、僕の死に場所へと運んでいる・・・
・・・死ぬにはまだ早すぎるはずの僕を。





今の僕は、呼吸が出来ない上に逆さの姿勢だ、僕の頭には血が昇ってくる・・・
人間は、頭を下にして生きていけるような生物ではない。
短時間頭が下になるだけでも、だんだんと血が溜まり、頭痛がしてくる。
僕も例外ではない。こんな姿勢のうえに呼吸も出来ない僕は頭痛が起こるだけではなく、意識も・・・朦朧としてきた・・・
・・・ハハ・・・僕は結局、食われたというのに胃につく前に死んじゃうのか・・・?
普段は絶対に味わう事はない苦しみを感じながら、僕が諦めかけた・・・その時

(・・・?)

周囲の締め付けがさっきより強くなった直後、急に体の動きが止まり、締め付けも無くなった。

「・・・!? スゥーゲホッゲホッ!・・・ふぅ・・・」

一瞬気がつかなかったが、僕の顔に密着し呼吸を妨げていた肉壁はいつの間にか離れていた。
それに気がついた途端、僕は口を開けてありったけの空気を吸った。
いきなり息を吸ったせいでむせてしまったが、何とか呼吸は出来る。
・・・かなり蒸し暑く、サウナのように湿気った空気だが。

「・・・さて・・・おっと!」

呼吸をして意識が戻っても、逆さの姿勢でいれば頭痛が酷くなっていく。
何とか体を動かし、僕は狭いこの場所・・・胃で横になった。

『・・・ご馳走さま♪』

僕が姿勢を戻し、やっと頭痛も治まった頃・・・僕を食った彼女の声が聞こえてきた。
やはりテレパシーなのだろうか・・・上から響いて来るようには聞こえない。
僕がそう思った時

(わっ!?)

突然胃壁が動き出し、僕を横から挟み込んで、下へ動かそうと揉み始めた・・・蠕動が始まったのだ。

(うう・・・くそっ!)

挟もうとしてくる肉壁を手で押し返し、何とか場所を取ろうとしてみる・・・
だが、肉壁が僕を挟む力は予想以上に大きく、そのうえ表面が濡れた柔らかな壁だ・・・
手が滑って、まともに押さえる事さえ出来ない。

(まずい・・・このままだと・・・)

どうなるか。胃液が分泌され、僕の体はだんだん溶けていく事になる・・・

よくあるような、胃液に触れた瞬間に激痛がはしり、どんどん溶かされる事は無いはずだ。
だが時間がたてば皮膚の表皮が溶かされ、神経が通る真皮が露出する。
そうなったら身体中を焼かれるほどの激痛に苦しみ、そのまま溶かされていくはずだ・・・ゆっくりと。

(嫌だ・・・そんな思いはしたくない・・・!)

何とか噴門をこじ開けられれば・・・吐き気を催し、外に出れるかも知れない。
そう考え、僕は手を上へ伸ばそうとした。

(・・・ん?)

その瞬間、僕の鼻に漂ってきた臭いに気がついた。
何かの臭いがする・・・さっきまで無かった臭いだ。
鼻につくその独特の鉄のような臭い、それが意味するのは・・・

(出血・・・してる?)

多分、僕の体に怪我が出来て、そこから流れた血の臭いだろう。
・・・でもおかしい。食べられる直前まで、僕の体には怪我なんて無かったし、
第一、小さな怪我でこんなにも臭うだろうか?

(・・・まあいい。早くここから出ることを・・・!?)

・・・異変に気がついたのはその時だった。
どういうわけか右手の感覚が無く、まるで麻痺したように動かない
慌てて動く左手で確かめると・・・僕は、知ってはならない。否、知らない方が良かった事実を知ってしまった。

僕が左手で右手に触れてみると、最初に指に伝わってきたのは固い何かの感触・・・
それが何なのかすぐには分からなかったが、指で触れ、よく確かめるうちに・・・それの正体を知ってしまった。
それが意味する事を僕は肯定出来なかった・・・いや、あり得ない事を願い、認めたく無かったのかも知れない。
しかし、右手に触れた左手の指先も次第に感覚が無くなってきた。
その理由を確かめるため、口に指先を含んだ途端に広がる鉄の味・・・そして、右手と同じ固いもの・・・

痛みも感じなければ、苦しくも無い。
でも、その事実・・・「消化され、体が溶かされている」という事実を、僕は肯定するしかなかった。
そして、僕が理性を失うのには、その事実だけで十分だったのだ・・・

嫌だ・・・まだ・・・死にたくない・・・助けてくれ!ここから出してくれぇ!!
まだ死にたくない!嫌だ!死ぬのは嫌だ!!助けて!!出してぇ!!!


理性を失った僕は、ただ胃壁を叩き、喉が渇れるまでなき叫ぶ事しか出来なかった。
だが・・・これは単なる馴れ合いなんかではない。
れっきとした捕食・・・捕食者である彼女にとっての食事であり、獲物である僕にとっての死・・・
せっかく捕らえ、食らった獲物をみすみす逃がす程、捕食者は優しくは無い。

たす・・・けて・・・おねが・・・い・・・

それから30秒もせぬうちに、僕の声は蚊の鳴くような声になってしまった。
声は渇れ、内臓も溶け出し、頬や気管にも穴が空いている・・・
喋れるのが奇跡と言ってもおかしくない程、僕は消化されてしまった。

たのむ・・・おね・・・g・・・

しかしとうとう、声をあげる事さえも出来なくなり、僕はそのまま・・・意識を失った。


<2012/11/18 22:04 想西>消しゴム
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