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VD − 旧・小説投稿所A

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VD
− 1 - 逃走 −
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「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・ちくそっ!」

明かりが消え、薄暗くなった学校の廊下を、僕は一人で走っていた。
後ろから迫ってくる奴から逃げるために・・・

『クク・・・いつまで逃げ続ける気だぁ〜?』

後ろから、奴の声がした。振り向けばすぐ後ろに奴の口が迫っているのは見なくても分かる。

僕はついさっきまで普通の授業を受けていた。
・・・受けていたはずなのに、突然奴らが現れて襲われ、逃げ出す事に。
クラスメートも襲われ・・・何人かは食べられてしまった。
僕は隙を見て逃げたが、あっさりと見つかってしまい、かれこれ10分程逃げ続けている。

このまま逃げ続ければ、捕まえられないと悟り、奴も諦めるかも知れない。
・・・だが、奴さえその気になれば、すぐに僕を捕まえて食う事も出来るはずだ。
なにせ僕は100m走でビリになり、おごらされた経験を持っている。
だが、そんな僕が未だに捕まらず逃げていられる理由、それは・・・
・・・奴が、ワザと手加減して僕を弄んでいるからに違いない。
はたまたワザと逃がして、疲れさせ倒れた所を捕らえる作戦も考えられる。

だが今の僕は・・・ただ逃げ続ける事しか出来ない。
相手がどんな事を考えているか分かった所で、それを逃れる術なぞ無い。
今の僕は・・・敵の策略にはまっていると分かろうが分かるまいが逃げる事しか出来ない、
ただの獲物なのだ。逃げ続けるしか無い。

「ハァ、ハァ、ハァ・・・ハアッ!」

逃げ続け、僕の心に諦めの気持ちが現れ始めた時・・・
前に、小さな扉とそこから漏れる光が見えた。
僕一人なら通れる程の隙間だが、奴は扉を全開にしても通れないだろう。
一瞬ある可能性も思い浮かんだが、それを僕は無視し、
その扉の向こうに微かな希望をたくして・・・漏れる光に向かって、走っていった・・・




















・・・しかし、現実はその希望を嘲笑うかのように、あっさりと僕を裏切った。

『おお!流石リーダー。ちゃんとここに追い詰めたなw』

『ええ・・・さあ坊や、もう逃げられはしないわよ♪』

「そ・・・そんな・・・」

思い浮かんだ可能性。[僕を逃がし、仲間の所へ誘導して捕らえる。]
それが・・・見事に的中してしまった。
外に出た僕の目の前には、奴と似た体つきのばけものが・・・竜が2体居たのだ。
逃げようにも道は2体に塞がれ逃げ出せない。
それに・・・例えこの場を切り抜けても、周りは空にも地上にも竜がひしめき、
逃げ惑う人々を次から次へと襲い、食らっている。
どうせ逃げ出せても別の竜に捕まり、僕も同じように・・・

「・・・!?」

・・・更に悪い事に、さっきまで走り回っていたせいで足は悲鳴をあげ、全く動かない。
もう・・・逃げるどころか動く事さえ出来ないだろう。

『ククク・・・どうした?もう逃げないのか?w』

「ひっ・・・」

後ろから、僕の事を追っていた奴が現れた。
・・・何かの魔法だろうか?壁を、まるで幽霊のようにすり抜け、
僕の後ろに立ちはだかる。

『・・・もう足さえ動かない様だな・・・さて、誰がこいつを食う?』

足が動かなくなり、まるで動けない僕を奴が持ち上げ、他の2体に見せた。

『俺はパス。さっき3、4匹食ったしさ。』

僕の前に立ちはだかった竜のうち、水色の体をした竜が僕を見て言う。

『アタシは・・・ん〜後2匹程食べたい所だけど、
ずっと追いかけていたリーダーが食べるべきだと思うわ・・・』

茶色の体をしたもう1体も僕を見てそう言った。

『・・・じゃあ、我がこいつを食うと言うことで良いな?』

僕を持っている竜・・・後ろから僕を追い、ここに追い詰めた紫色の竜が他の2体にそう聞いている。

『ああ』

『ええ』

『分かった・・・さて喜べ、お前は我の糧になるのだぞ。』

「・・・嫌だ・・・まだ、死ぬのは嫌だ・・・」

その言葉が意味するのは・・・死。僕は恐怖でガタガタ震え出した。
それが奴には面白くてたまらないらしく、邪悪な笑みを浮かべながら僕の顔を舐める。

「!?」

『クク・・・面白い反応だな』

その調子で、僕の顔や体に舌を押し当てては離し、当てては離しを繰り返して・・・
1分もしないうちに、僕の上半身は涎まみれになってしまった・・・

「・・・」

『・・・もう声も出せないのか?なら・・・』

僕が放心状態になり、無反応になったのを見て、そう呟きながら・・・だんだんと僕を顔の上に持っていく

『・・・つまらん。もうおしまいだな。』

・・・おし・・・まい・・・?

奴はそう言い、僕の足下で口を開け・・・

あ・・・いや・・・待って・・・嫌だよ、止めて・・・

『クク・・・いただきます

そのまま僕を離した。僕の体は、重力に逆らうことなく落ちていく。
そしてその先には、濡れた空洞が広がっていた・・・

「嫌だ・・・やだよ!止めてぇぇぇ!!!」


<2012/11/18 22:04 想西>消しゴム
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