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僕とお姉ちゃんの捕食日常日記 − 旧・小説投稿所A
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僕とお姉ちゃんの捕食日常日記
− 本竜が本に食われる時 −
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《…の本内》

「さてと、すぐ逃がしてもらましょうか。」

サルファーはすぐに本の内容を調べようとせずに本から出ようとしたがある異変に気がついた。

「おかしい、外に出られない。まさか、ラストラさんが本を閉じてしまったのでは……」

サルファーは絶望を味わった。なぜなら、こうされるとサルファー本人の力ではどうすることもできないからだ。

「またしてもハメられてしまいましたか………仕方がないのでこの本の内容を調べて本を開いてもらうまでゆっくりしましょうかね。」

サルファーは仕方がないので最善の行動を心がけて調べるようにした。そして、サルファーは最初の1ページをめくった。

基本的に1ページ目には本の題名が書かれていることが多い。しかし、その題名で滅多に驚く人は少ない。……少なくとも今のサルファー以外は。

『僕とお姉ちゃんの捕食日常日記』

「…………………えっ。」

国のインフラ整備を一点に引き受けるサルファーの頭脳がたった一行の本の題名で思考が停止した。そんな人物には国は任せられないと思うかもしれないが、この状況下ではある意味一番冷静かもしれない。

「ま、まってください。捕食なんて聞いていません!……あっ、あの時セルドンさんとラストラさんが何か話していませんでしたっけ。」

サルファーは自分がラストラから逃げたいという思いばかり優先して周りが見えていなかったことに後悔した。しかし、普通なら怖がるサルファーが怖がっていなかった。

「そうですか、あの時に作戦を練っていたのですね。相変わらず恐ろしい姉弟です。」

サルファーは焦っていなかった。なぜならあくまで『再現』だけであり実際に食われることがないためそのまま傍観していればいいことだと思ったからだ。

実際に他の世界には戦争の歴史がある世界もある。歴史書なんてよく使う本なので調べるたびに『体験』ばかりしていたら命がいくつあっても足りないことくらい本竜の常識である。なので、『エントレ』は『再現』しかできない魔法となっているのだ。

サルファーはほっと一息ついて次のページをめくった。

《本の中の古龍宮殿内》

『ふふ、いらっしゃいサルファー。』

「げっ、ラストラさん。とは言っても再現の……え、サルファーって…。」

サルファーは焦った。なぜなら、本の中に入ったサルファーは本の中の登場人物には気づかれないはずだからだ。

『さあ、あなたが大好きな捕食を私がやってあげるわ♪』

「嫌です。僕は食べられるのは大嫌いであり…はっ、『僕』…………しまった!」

サルファーは気づいた。題名の『僕』は『セルドン』のことではなく『サルファー』のことであることに。

そうするとサルファーも関係無しとは言えなくなる。

サルファーが登場する本の中にサルファーが入ると、本の中のサルファーと入ったサルファーの同じ人物が同時に登場することになる。すると本の中の進行を崩さないために二体のサルファーが強制的に一体化して本の中に現れることとなってしまうのだ。

つまり『再現』と『体験』の両方を今いるサルファーは味わうことになるのだ。

「嫌です!誰か助けてください!『わあ、面白そうだね。早く食べてよ。』……違います、これは僕じゃないです!口と体が勝手に………。」

ガシッ

『ふふ、わかったわ。それじゃあ、最初はしっかりと味わなきゃね♪』

「絶対に嫌です!それに、味わられるならむしろ食われたほうがいいです。『早く味わってよ♪』嫌だあああ。」

ぺろっ ぬちゃ 

『ふふ、美味しい♪』

「…………『もっとやってー』……もう嫌です。」

『じゃあ、もっとやってあげる♪』

ぺろっ ぬちゃ くちゃ ぺろぺろ

どのくらい舐め回されていたのだろうか…おそらく1時間以上は舐め回されていると思うが、残念なことに本の一時間は現実の世界の60分の1の時間にしかならない。つまり、本のラストラさんに1時間舐め回されるのが現実のラストラさんに1分間舐め回されるのと等しいことになる。……どちらも嫌なことには変わりがないが。

「これ早く終わって欲しいのですが……『気持ちいいよー。お姉ちゃん♪』……これは僕じゃありません」

『じゃあ、そろそろフィナーレとしましょうね。』

「やっと終わる……『早く食べてね、お姉ちゃん』……だからこれは僕じゃありません。お願いですから誰か代わってください。」

ラストラはサルファーを掴んだ。

『氷漬けにしたらもっと美味しいかしら。じゃあ『アイス・スパイラル』!』

「遊び半分で魔法を使わないでください!うああああああ!『冷たいよーお姉ちゃん!』」

ピキピキピキピキ

『ふふ、じゃあいっただきまーす♪』

「ぎゃああああ!!『わーい♪』」

サルファーはラストラの指をつまみあげられラストラの口の上にいた。

『あーん』

「離さないでください!絶対に『離してー』」

ぱっ

「食われる!!!。」

サルファーは本の中でも働いている重力によってラストラの口の中に落ちた。おそらく、意図的に落ちるシナリオになっていると思われるため逆らえないが、サルファーにはそんなことを考える余裕はなかった。

パクン

『ふふ、口の中でもしっかりと味わせてね♪』

「助けてください!!!『うん、いいよー』」

==============================

7月28日

サルファーはラストラに食われるのが大好きなため今日も古龍宮殿にきました。ラストラはサルファーが来ると『ふふ、いらっしゃいサルファー。』とサルファーに声をかけました。そしてラストラが『さあ、あなたが大好きな捕食を私がやってあげるわ♪』と言うと
サルファーは『わあ、面白そうだね。早く食べてよ。』と嬉しがりました。ラストラはサルファーを押さえつけて『ふふ、わかったわ。それじゃあ、最初はしっかりと味わなきゃね♪』と言って見ると。『早く味わってよ♪』をサルファーが言い返しました。

ラストラがサルファーを舐めまわすとラストラはサルファーが美味しかったので『ふふ、美味しい♪』と正直な感想を漏らすと『もっとやってー』とサルファーがお願いしてきました。ラストラは『じゃあ、もっとやってあげる♪』と快く承諾して3時間の舐め回しました。サルファーは『気持ちいいよー。お姉ちゃん♪』とラストラに感謝しました。

ラストラはそろそろサルファーを食べたかったので『じゃあ、そろそろフィナーレとしましょうね。』とサルファーを食べようとするとサルファーも『早く食べてね、お姉ちゃん』とワクワクしていました。ラストラがサルファーを掴んだとき、ラストラはいいことを思いつきました。その考えが面白そうだったので早速、実践してみることにしました。『氷漬けにしたらもっと美味しいかしら。じゃあ『アイス・スパイラル』!』とアイス・スパイラルを唱えサルファーを氷漬けにしました。サルファーは『冷たいよーお姉ちゃん!』と少し驚いた表情をしていましたがすぐに慣れました。

ラストラは『ふふ、じゃあいっただきまーす♪』といってサルファーをつまみ上げました。この時サルファーは『わーい♪』とたかいたかいしてもらう子供のようにウズウズしていました。ラストラが
『あーん』と口を大きく開くと『離してー』とサルファーがいったのでラストラは掴んでいる指を離してサルファーを食べました。ラストラが『ふふ、口の中でもしっかりと味わせてね♪』とお願いするとサルファーは『うん、いいよー』と承諾してくれました。

==============================

《イッシュ地方》

「ねえ、お姉ちゃん。」

「なあに。」

「僕たち、イッシュ地方のジムリーダー潰しをしている暇はないんだけど……」

「いいじゃない♪最初のジムリーダーからはバッチをもらったんだから。」

「そういう問題じゃないと思うんだけど……」

「それにこの作戦は時間が経てば経つほどいいんでしょ。サルファーを食べるのが楽しみだわ♪」

「それもそうだね。」

ピッピッ ピッピッ    

「お姉ちゃん、何か鳴っているよ。」     


「ああ、FDCがなっているのね。きっとアクロテ所長からだわ。」

ラストラはリュックに入っている薄い水晶の板を取り出した。

ピッ                             
                
「はーい、所長さん。どうかしましたか?」

「原因がわかった、観測された形からして大きなラギアクルスが大暴れしている。細心の注意するように。」

「分かりました。所長さん♪」

「それと、なるべく寄り道はしないようにして欲しい。」

「ふふ、わかっていますよ所長さん。じゃあ、サルファーさんからもらったデータで調査します。」

「(お姉ちゃん分かっていないよ)……」

「そうか。ところで、サルファーを見かけなかったか?」

「ううん、見ていないよー。」

「…分かった。健闘を祈る。」

ピッ

「フフッ、サルファーなら今は本の世界を楽しんでいるわ。」

「そうだね。じゃあ、ヒウンアイスの調査をしよっか。」

「そうね。」

二匹の竜の頭の中にはラギアクルスの調査のことなど少しも無かった。



わからないところ

FDC…fifth dimension communication (五次元通信機)
アクロテが作った通信機器の一つ。薄い水晶の板の形をしている。

ラギアクルス…巨大な船をも一薙ぎにする圧倒的な力、全身を青い鱗に覆われた威風堂々たる姿のモンハンに出てくる竜の一種。

ヒウンアイス…ヒウンシティ名物のアイス。

<2012/08/28 17:43 名も無き竜>
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