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傭兵団の休暇 − 旧・小説投稿所A
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傭兵団の休暇
− 報酬 −
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「――と言うわけで連中の車は潰したし、もしこれ以上略奪行為を繰り返すようなら、次は容赦しないって事で話をつけさせたんで…」

「ほ、本当にありがとうございます!」

撃った民兵に最低限の手当てを施し、拘束した上で集落まで引きずって来ると、状況を目の前の若い集落の長に報告した。

一応民兵側には、また武力で略奪を行って俺が呼ばれるようなら、次は怪我程度じゃ済ませないと言うことをたっぷり話してある。もう下手にこの集落には手を出さないだろう。…多分ね。

深々と頭を下げていた長は、顔を上げると、近くの村人を呼んで俺の背嚢を持ってきてくれた。

この村は金銭的にはあまり裕福ではない。でも農業はそれなりに盛んで、近場の集落との売買や物々交換の品物になっているらしい。

そこで今回は、数日分の食糧を恵んでもらうということで、この仕事を引き受けた訳だ。

報酬を受け取ると、ずしりと重かった。これでしばらく食糧は困らないな。

横を見ると、拘束された民兵がこっちを恨めしそうに睨んでいた。長によるとこの民兵(捕虜)は、食糧の代金をちゃんと払ってもらうために交渉する時の材料になるらしい。と言っても、あの長はあんまり手荒な事はしたくないらしく、手厚く保護するつもりなんだとか。

ここまでしてもらって、また略奪するようなら、頼まれなくても俺が民兵の拠点に乗り込んでやるけどな…。

集落の住人は、遠巻きに離れて俺を見ていた。武装している傭兵の俺が怖いらしく、みんな近付こうとなんてしない。まぁ、当然か…。

報酬片手に、俺は森に向かって足を進める。ここまで来る道は、横転したテクニカルとその後ろに止まったトラックで塞がれていて、車両は今のところ通れない。歩いていくのも結構長くなる。

「お兄さん!そっち通れないよ」

そんな俺を見てか、一人の男の子が駆け寄ってきた。道のない方へ行こうとする俺を心配してくれたようだ。良い奴だなぁ、この子。

だがその男の子を、母親の女性が手を引いて俺から引き離していった。しきりに女性は俺に謝りつつ、後ろに下がっていく。

そんなに俺って怖いかな…?ちょっとショックだ…。

「大丈夫だ。心配しなくても良いよ」

男の子に手を振ると、満面の笑顔で手を振り替えしてくれた。思わず笑みが漏れる。良いな、小さな子は"外見"で人を判断しないから…。

俺はその子に背を向けると、森の木々の間。道無き道に入っていった。


<2012/01/23 13:11 黒猫>消しゴム
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