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　私の弟は発想から性格、性癖まで異常でとにかくぶっ飛んでいる、所謂マッドサイエンティストだ。

　真夏の中、暑さをものともせず、汗を一つも掻かずにとぼとぼと歩く女の子が居た。
　彼女の名前は白田氷。下の名前はそのまま　こおりと読む。
　氷が毎年の夏休みにとぼとぼ歩くのは日常茶飯事の事だ。なのでこの高2の夏もまた元気がない。その理由はとっても簡単。夏休みになると弟に毎日変な実験をされるからである。
　
　なかなか大変そうな彼女の夏休みの一例を挙げるなら、3Dならぬ4Dテレビゲームなるもののテストを何の説明も受けずプレイ。
　格闘ゲームだったそれは拳がリアルに飛び出て感嘆の声を漏らした瞬間、画面から飛び出た拳が現実世界の氷に当たってノックアウト。
　実はゲームの中の敵と実際の自分が戦うもので、3Dに加え実際に自分がゲームの中を触れるから4Dというオチ。
　他にも座ると特殊な電流等が流れて記憶が無くなる椅子やら、人工知脳を搭載した生意気なうえに、いたずら好きで朝早くから喚き散らす目覚まし時計のテストをさせられた。
　そのせいで彼女の口癖は

「なんで私がこんな目に…」

である。今もとぼとぼ歩きながらまた呟いた。
　が、氷がまた快適な生活をしているのに変わりは無い。
　現に氷が真夏なのに汗一つ掻かないのは弟の発明品のお蔭である。
　今使っている発明品の名前は携帯エアコンバリアー君。使えば見えない特殊なバリアを半径5メートル張って、その中の温度をバリアー君が快適なものにするもの。なので氷の周りは超涼しい快適空間となっている。
　が、氷は一つもそのありがたみを感じてはいなかった。

　ここで一つ疑問。何故、白田氷はそんな弟を手伝っているのか。
　答えはとても簡単。ただ単に、手伝わないと無意味で、無駄で、恐ろしい発明品で弟に何をされるか分からないからである。
　
　なんて事を考えていたら、氷のケータイにメールが届く。
　氷はメールが届くといつも死神が来たのか？！　とビクビクしながらメールを確認する。弟からのメールだったら死刑判決を下された感じを味わえる。
　確認すると案の定弟からメールが届いていた。
　ここで氷は思ったことをそのまま口にした。　

「はぁ…手伝わなかったらまた変な機械使って性癖移されるかもしれないからなぁ…」　

　しかし氷はそんな弟が嫌いでは無かった。
　

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