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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜 − 旧・小説投稿所A

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神々の戯れ〜月夜兎の苦手なもの〜

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「うう、何故なんだ?何故私は今こうして怯えているんだ?私は不死身なんだ。何度食われても死なないんだ。帰りに襲われた時だってそれで乗り切って、蛇嫌いを克服出来たはずなのに……」

月夜兎は自分に言い聞かせるような独り言をブツブツと言う。

「あのね月夜兎。本当に苦手な物ってのはそうそう簡単には克服出来ないよ。私が思うに月夜兎は“その”大蛇のみに慣れただけだったんだよ」

やけに冷静な水神の分析に月夜兎は地団駄を踏む。
チクシヨー、目の前にいるのは水神なんだから怖くねぇだろ!
そう言い聞かせる月夜兎だったが。

ぐぱぁ……

水神の口が開かれ、迫ってきた。
涎が牙から糸を引いている光景を見て月夜兎は逃げようと暴れ始める。

「うるさい!」

水神はキュッと締め上げ、月夜兎は沈黙した。

「こ、この悪魔め。兎(ヒト)の弱味に漬け込んで好き放題やりやがって。今度お前の弱点に漬け込んでやるから覚えてろ……!」

「ウフフ、西洋では私たちドラゴンは悪魔とほとんど同類なんだよ、月夜兎くん。あとね、私には弱点なんか無いから」

勝ち誇った表情の水神が再び口を開けた。
今度は脅しではなく、本当に月夜兎のことをくわえあげた。

「ひははひはーふ(訳・いただきまーす)」

そして本物の蛇のように月夜兎を丸呑みにした。
喉の辺りがぷっくり膨らみ、ゆっくりと下へ下へ向かっていく。
いやぁ、久々に月夜兎相手に優位に立てた気がする。
これからは対月夜兎の切り札として蛇に化けよう。
水神は満足そうに蜷局を巻いた。

一方の月夜兎は肉壁に圧迫されながらゆっくりゆっくりと動いていた。
水神の奴がわざとキツく締め上げてるんじゃないかと思うほどだ。
だが肉壁の感覚は間違いなく水神のモノだ。
ただいつもと違って締め付けがキツい。
まあいちいちすり付けたりしなくても肉壁の感触を堪能できるんだからこれもこれもでありかな。
そんな呑気なことを思う。
消化液によって体が溶かされ始めたせいなのかヌルヌルとスムーズに進むようになり始めた頃、ふと脳裏に蛇に化けた水神の姿がよみがえって鳥肌が立った。
水神は絶対今後私の弱点を悪用するに違いない。
うわぁ、困ったことになったぞ。
月夜兎は頭を抱えようとするも、すでに体の大半が溶けていて不可能だった。
まあでも復活したら第2ラウンドだろうな、今の水神は私の弱点を知って有頂天だから。
月夜兎は待ち受ける第2ラウンドに怯えながら溶かされていった。


<2011/10/28 21:15 とんこつ>消しゴム
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