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雷鳴の閃光 − 旧・小説投稿所A
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雷鳴の閃光

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私の疲弊していた体は微睡みに支配されつつあった。
ジンオウガの胃袋はちょうど良い温度と湿度。
高級布団のような柔らかさを持っていたのだ。
そこに寝かされるように胃袋へ流し込まれた私はすぐに動けなくなった。
気持ちよすぎる胃袋に動くのが億劫に感じられた。
胃液の分泌はまだ無かったが時間の問題だろう。
胃袋に収めた私を溶かさない事はないだろうから。
痛みを感じさせないようにここで意識を奪ってから消化を始める気なのだろうか。
そもそもこの胃袋に生きたまま収められるのは私は初めてだろうか。
・・私には答えを知る術はない。
まぁ・・答えを急ぐ必要はない。私はここでジンオウガの糧になるのだから・・もうじきに・・
その答えはジンオウガだけが知っている。
「・・せ・・ん・・ぱい・・っ・・・」
私の意識はジンオウガの胃袋に喰われていった・・

 * * * 

体が冷たい・・というよりも空間自体が冷たいような・・
ここは・・地獄・・だろうな・・・
モンスターとはいえ尊い命を奪い続けたのだから天国であるはずがない。
・・息苦しい・・どうしてなのかわからないが、息苦しい。
息が続かない。苦しい・・・もう・・限界っ・・

「っはぁ!」
体を勢いよく起こし、大きく口を開けて空気を貪る。
水しぶきが上がり私は目を疑った。
ここは・・・現実・・?
「・・起きた・・大丈夫・・?」
体は水に浸かり、前には単語だけを紡ぎ、喋るジンオウガ。
・・私は助かったのか・・
「自分・・女・・吐き出した・・」
「・・どうして・・?」
「自分・・独り・・もう・・嫌・・」
「・・そう・・辛かったんだね・・」
私は重い体を起こし、手を伸ばす。
今度は拒絶されることなくその頬に触れる事が出来た。
耳が垂れ、肩が落ち私の手を愛おしそうに双眸が動いた。
ジンオウガは吐き出した体液まみれの私をここまで運び、体液を洗い流してくれたのだ。
一歩間違えれば危険だが・・・・
「私はティナ。」
「ティナ・・分かった・・」
よろしく。とでも言うように頬をジンオウガの舌が舐めあげた。
私は微笑んで頭を撫でた。
「ティナ・・体・・動く・・?」
「え、あ・・んっ・・」
上体を起こすことができても体を動かすことは出来なかった。
まだ、体は重く、鈍く痛む。
「ちょっと・・動けそうもない・・・かな・・」
ジンオウガは喉を鳴らし、口を少し開くと私を咥え込んだ。
「え?ちょっ・・また、食べる気っ!?」
あの時は死ぬと割り切ったからこそ恐怖はなかったものの流石にあんな体験は御免だった。
「違う・・今・・腹・・減ってない・・」
「あ、そう・・」
どうやらジンオウガの行き先まで一緒に運んでくれるようだ。



<2011/05/13 23:13 セイル>消しゴム
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