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雷鳴の閃光 − 旧・小説投稿所A

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雷鳴の閃光

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「女・・頂きます・・」
小さく呟かれた言葉。
少し小さめの口 ー私からは巨口だがー が目一杯に開かれ涎が大量に滴り落ちる。
どれだけの間、餌を食べる事が出来なかったんだろう・・
そんな事を考えていたら視界は真っ暗になった。
ジンオウガに頭を咥えられたのだ。
獣独自の生暖かさと生臭さが漂い、血の臭い。
先輩だったものもここを通ったのだろう。
ねっとりとした粘液が口内を覆い、口内の肉がぐにゅぐにゅと蠢いている。
舌が体を巻き取り、顎の動きと共に無抵抗の餌を口内に引き込んでいく。
甘噛みも舌の責め苦もないままに舌は私を運んでいく。
もう一度だけ舌は体を舐めて高粘性の唾液を塗り込んだ。
呑み込んだ時に引っかからないように。
「・・先輩っ・・」
喉が鳴った時、こんなによく聞こえるんだ・・・
体がジンオウガ呑み込まれていく。
頭から喉へ流し込まれ体が肉洞に触れる。
緩やかな蠕動に私は引き込まれていった・・・

 * * * 

ジンオウガの喉を生々しい膨らみが下っていく。
ゆっくり、ゆっくりと・・・
辺りの草ヶはジンオウガの唾液でべったりとし、酸化して黒ずんだ血も広がっていた。
「グルルルルゥ・・」
彼は満足そうに喉を鳴らして空を見上げた。
彼にとって孤独は付き物。彼は孤独にしかならない。
ティナという膨らみも胃袋に収まり、落ち着いていた。
戦うときだけが孤独を忘れられる。
ハンターを殺し、捕食し、ティナを呑み込んだ。


彼は独りになった。



<2011/05/13 23:13 セイル>消しゴム
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