| 「・・・ショウちゃん・・・」 ん・・・あれ、誰か、呼んでる?
 「祥ちゃん、ちゃんと起きてお布団で寝なよ」
 あ・・シュウ・・ちゃんの・・声かぁ・・。
 「・・・うん?やだ、眠いもん・・・」
 「何言ってるの、風邪引くだろ?電気もつけっぱなしだし。体によくないよ」
 「えぇ・・?だってぇ・・・」
 「祥ちゃん?」
 うとうとしてたあたしは修ちゃんの声が少し下がったことに気づかなかった。
 
 「もう2時だよ、朝までここで寝る気じゃないだろ?風邪引いたり身体痛くなったりして困るのは祥子だよ?」
 「うぅん・・別にいいもん」
 「祥ちゃん?いい加減にしないと、怒るよ?」
 「ん・・・いいから、放っといてよぉ」
 ん、放っといてはまずかった。そりゃ後から思えばそんなことすぐ分かるんだけど、そのときは、つい言っちゃうのよ。だって眠かったんだもん。朝になれば後悔するって、それも修ちゃんの言う通りなんだけどさ。
 
 修ちゃんはふうっと大きな息を吐いて、怖い声を出した。
 「祥子、そんなに我儘言って自分を大事にしないなら、お尻に言い聞かせてあげなきゃいけないね」
 え?あ、やだ!その言葉の意味は眠気を吹き飛ばし、あたしは慌てて起きあがろうとする。
 「ふぇ?や、やだ。起きるよ、ちゃんとお布団で寝るぅ」
 「さっきその言葉を聞きたかったよ。祥ちゃんは口で言ってもわからないんだから、ちゃんとお仕置きを受けなさい」
 えぇ・・?
 
 ぱしん!
 起き出したあたしは抵抗する間もなくおこたから引き出され、修ちゃんのお膝の上でお尻を剥かれちゃった。ぱしん!
 「いたぁい!それに、寒いよ!」
 「最初っからお布団で寝てれば寒くなかったのにね。いいよ、すぐに熱くなるから」
 ぱしん!修ちゃんはそんな意地悪を言う。けど、近くにあったひざ掛けをあたしの身体に掛けてくれた。少しあったかくなって、そして修ちゃんの言うとおり、もうとっくにお尻は熱い。ぱしん!そんなやり取りの間も全然手を止めてくれないんだもの。
 ぱしん!ぱしん!
 
 「もうやだぁ・・・ごめんなさぁい」
 ぱしん!
 「炬燵で寝て叱られるの、初めてじゃないだろ?それにこの間風邪引いたのは誰だっけ?」
 ぱしん!ぱしん!
 「うん・・だからごめんなさいってばぁ・・」
 「人が心配してるのに、放っといてとか言うし?うたた寝するなとは言わないけど、起こされたときに素直にお布団に移ってたら叱られずに済むのにね?」
 うぅ・・・。
 ぱしん!ぱしん!
 「自分の身体なんだから、自分で大事にしないとだめだろ?」
 ぱしん!
 「ごめんなさぁい・・・ちゃんと気をつけるからぁ」
 ぱしん!ぱしん!ぱしん!
 
 たくさんごめんなさいしてもうしませんって約束して、ほんとに約束だよってぎゅうってされて。おこたの外は寒いけど修ちゃんの腕の中はあったかい。
 こんなふうにお布団の中、あったかい腕の中にいられたらおこたで寝たりしない、って思うんだけど・・・・・・でもね、お炬燵で寝るのって気持ちいいんだよね、そのときは。
 「祥ちゃん?」
 「え、あ、や、もうお炬燵で寝たりしないよ、ほんとだよ?」
 修ちゃんは疑わしそうにあたしを見て「お約束破ったら、どうなるかわかってるよね?」って呟いたけど。そのときはもうあたしはあったかい夢の中だった。
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