わらわの名はビザンティナ・ローマニア。 インペリアム・ロマニウムの真の後継者にして、地上最後の帝国じゃ。
わらわは美しいであろう? ギリシャ・ローマの装飾も、キリスト教の十字架も、ペルシャ風の意匠も
これら全てに似合うのは、才色兼備のわらわだからこそじゃ。
わらわは、ゲルマンとの情事に溺れ、自らを忘れた愚かな妹とは違う。
なに? 報酬を払って、ゲルマン諸族をロマーナの元に差し向けたのは、お前だろうと? ふふふ……、これは異なことを。
だが、否定はすまい。 東西文明の交じり合うこの要衝で、このくらいの知恵を働かせることが出来ねば、
わらわのように一千年も永らえることは不可能じゃからな。
もちろん、最近小うるさくわめき立てるバチカンとやらとも違う。
あれは神の代理人と僭称しておるが、ただの幼女じゃ。 だが、利用できるものは利用させてもらうぞ。
あれを騙して、東方から来る生意気なこわっぱを撃退させることなぞ、 猫をてなずけるより簡単じゃ。
さあ、神の十字架を持つ騎士たちよ。ヨーロッパのさまよえる男たちよ。 わらわの足元に跪いて、供物を捧げよ。
異教徒の血。乳と蜜の流れる土地。東西交易による富。金銀の財宝。 それらは全てわらわのものじゃ。 |