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「お待たせいたしました」
「ああ、どうも」

程なくウエイトレスが、二杯のコーヒー、厚切りのトースト、それにゆでタマゴとサラダをふた皿ずつ運んでくる。
そのコーヒーを蔵本は早速口元まで持ち上げ、そして存分に空気を吸い込んだ。

「やっぱね、人の金で飲むコーヒーは最高。この香り、この味…、あち」
「…そうか」

慌てて唇をさする蔵本の動作を見ず、井端は無表情のまま返事をした。あるいはもしかすると何らかの表情をしたものかもしれないが…、何せ井端のことだから、それは他人の目には判別できない。

「ていうか、忙しいのに何こんなところフラフラして」
「西基地へ行ってきた帰りだ」
「へえ、それで援軍は出して貰えそう?」
「相変わらず、お前は勘がいいな」

西基地、と言っただけで用件を的確に言い当てた蔵本の洞察力に、井端は半ばあきれて苦笑した。

「なんせあっちは死神だからな。一体どんな事言われるかと思ってビクビクしながら行ったわけだ」
「ああそうだ、死神ね、いたねーそんなの。そっか死神に会いに行ったのか」



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