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いきなり核心を突かれ、思わず井端は、その細い目を見開いた。通信回線が音声のみで本当に良かった、これが映像つきならば、たちまち相手に動揺が知れたことだろう。
驚くべきスピードで、圧倒的な量の情報が脳内を駆け巡る。時間にして一秒に満たない逡巡。そして。

「ありません」

…井端は断言した。果たして。吉と出るか凶と出るか、鬼が出るか、蛇が出るか。

「ふうん。そうか。まあいいんだ。気にしなくていいよ?ちょっと広島から噂を聞いただけだから。それじゃ頑張ってくれ、今後、相談はいつでもいいが、できるだけ早くにな、基地が落ちてからじゃ遅いよ」

驚くほどあっさりとした反応を見せ、それきり落合は通信を切ってしまった。
追及されてもシラを切り通すべく腹を決めていたところへ肩透かしを食らい、井端はいっぺんに拍子抜けして、水揚げされたタコのように、操作盤の上へと覆いかぶさった。

どういうことなのか、どこまでバレているのかわからない、置かれた立場もわからない、が…、なぜか、基地の指揮権は、剥奪されないままなのだ。
…となれば、いつまでもここで寝ているわけにもいかない。井端は今後の任務を遂行すべく、通信室を後にした。


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