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「…いや、質問の仕方が悪いな。別に追及がしたいわけじゃないんだ、そんなことをしても俺にはメリットがないし…、
 ただ、ひとつ下手を打っちまってね。あんたに謝らなきゃならないかもしれないんだ。
 こっちの、…広島自衛隊の息のかかってる人間に、名古屋から軍人が来ていると喋っちまった」
「…それで?」
「鈍いな」

言われていることの真意がわからず聞き返す森野を見て、永川は少し呆れた顔をした。

「仮に、名古屋防衛軍から広島自衛隊へ、あんたの捜索依頼でも来ていたらどうなると思う?
 広島としちゃ、名古屋防衛軍に貸しを作るまたとないチャンスだ。これを逃すとは思えない、おそらく血眼で捜しに来るぞ。
 だから、あんたが防衛軍に捜される立場か、そうでないか、それを聞いておかなきゃならない。
 誰かのちゃんとした命令で来たか、そもそも今のあんたが防衛軍の指揮下にないなら何も問題はなかった、でも」
「……」
「違うんだろ」
「…すまない」

そこまで言われてようやく森野は、下を向いたまま、小さな声で謝罪を口にした。
自身としては別に隠し立てしたつもりはなく、単にそれを永川に告げる必要はないと思っていただけのことだったが…、しかし、それが悪い形で表出し、状況を悪化させたらしいことが理解できたからだ。


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