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「誰の命令で、ここまで来た」
「…!!」
さっと森野の表情が変わるのを、永川は見逃さなかった。
「言えないだろう、それはわかってるんだ。おそらく正解は、誰の命令でもない」
「……」
森野は無言のまま、視線を永川の瞳から口元へと落とした。その表情、そして返事をしないということが暗に肯定をあらわす。
森野は決して機転のきくほうではないが、この場面において適当な嘘をつこうと思えば、もちろんそれは可能だろう、
普通に考えるなら、広島の田舎町に住む一介の猟師であるところの永川が、名古屋防衛軍の正確な指揮系統を把握しているはずがない。
しかし…、永川の口ぶりは、森野の知れないルートで既に何かしらの裏が取れていることを匂わせている。
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