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「タダじゃおかないって何。一体何する気だ」
「ストライキだ、徹底的にやるぞ」
「勘弁しろよ」

青木の最後の台詞を聞くか聞かないかのうち、永川は乱暴にドアを開けて事務所を出ていった。
その永川の階段を降りていく反響音がまだ聞こえているうちに、青木は机の上のデスクトップパソコンに向かう。
電源を入れ、その起動を待ちながら…、青木は一人つぶやいた。

「ナーの野郎、珍しく焦ってやがったな」

…何をそんなに焦っているのか。ああやって言うってことは、俺には言えないことなんだろう。
俺に言えないこと。最善を尽くすが命の保障はできない。名古屋からの客。
これらから導かれるものはあるだろうか、いや…、…つながりそうで、つながってくれない。

「…無理だ、ちょっと情報不足だな」

…なんだろう、まあ、仮に俺個人に影響がなくて、マーティの計画にも重大な影響を出すわけじゃないなら、黙っててやらないこともないんだけど…、
そんなことがあるわけないか、俺に言えないってことはつまり間違いなく、このどっちかには引っかかってるってことになるわけだからなー。

ほどなくウィンドウズの起動音が鳴る。ふと外が随分暗いことに気づいた青木は席を立ち、照明のスイッチを入れ窓のブラインドを下ろした。
そしておもむろにコーヒー豆を取り出し二杯目を挽くと、それをフィルターにあけながら、また一言。

「それに、でかい図体して大声張って、それで他人に言う事聞かそうって考え方はね、俺はちょっと気に入らないんだよねー」


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