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「それなら一体、何が?」
「何って、キミと同じさ」
「俺と…?」
「発火体質」
そう言われて、ああ、と永川は納得顔をする。
「能力者なんだ」
「そういうこと。まあ、あいつの場合は我流だから、キミと比べればできることは全然少ないよ。文字通りの人間爆弾。遠隔操作は一切できない」
「それは何、まさか体表から直接爆発を起こすってことか」
「そうだね」
「それじゃ、本人も無事で済まないだろ」
「それが無事なんだよね」
「え、まさか。だって自爆だろ!?」
信じられない、という顔をして永川は二度目の「まさか」を言った。
「まさか、って言われても、実際無傷で帰ってくるんだもの。爆弾なんて作って持ち込めばいいだけだから、どっちかっていえば火が出ることよりも、あいつの場合耐久力のほうが重要だよね。噂じゃ対戦車砲に耐えるとか言われてるよ」
「…噂話はアテにならんよ」
永川としては生身の人間が対戦車砲に耐えるなんて話を易々と信じるわけにはいかない。所詮、竹槍で戦闘機は落とせないのだ。
「まあ、アテになるとかならない以前に、そんな事試しちゃいないと思うがね…、とにかく肉体は強靭だよ、家の一軒くらい吹き飛ばしても、涼しい顔して戻ってくるから。
時に髪の毛の先がちょっとコゲたりとかは、してることもあったけどね」
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