新世紀エヴァンゲリオン 蒼い瞳のフィアンセ


第4部 ネルフ再生



第75話 罠に落ちた?二人

 暗がりの中で、3人の少年がヒソヒソ話をしていた。 「おい、どうだ。作戦は上手くいきそうか。」 「ああ、大丈夫だ。碇がいない時に、上手く……を呼び出して……。」 「……を部屋に閉じ込めて、それから……。」 「……の頭を地面にこすりつけて……。」 「それから、何度も何度も……。」 「そして、……恥ずかしい写真を……。」 「あの、綺麗な蒼い瞳、紅茶色の髪の……が俺達の……に。」 「俺達……何でも言う通りに……。」 「「「そして、俺達はエヴァのパイロットになるんだっ!」」」 3人の少年達は、くっくっくっと笑った。 *** 「ぬあんですって!それって、本当なの?」 「ううん、まだ確かな情報じゃあないんだけど、五分五分っていうところかしら。」 「むうっ。」 同じ頃、アスカは唸っていた。マリアらの情報によると、現在4つのグループがシンジの ことを狙っているというのだ。 1組目は、ロシア支部のエカテリーナ、ドイツ支部のハンナ、オーストラリア支部のジュ リアの3人組だ。 2組目は、ブラジル支部のエドナ、インドネシア支部のクリスティン、中国支部のフェイ の3人組。 3組目は、アメリカ第3支部のジャネット、ドイツ第2支部のナスターシャ、フランス支 部のソフィーの3人組。 4組目は、エジプト支部のイリス、インド支部のカリシュマ、イギリス支部のイライザの 3人組。 この4グループが密会を重ねているらしいのだ。それも、目的はシンジを色仕掛けでモノ にして、エヴァのパイロットの座を射止めようというものである。 組み合わせを見る限りでは、ドイツ派と反ドイツ派が結構手を組んでいることから、両派 の対立を抑えるという目的はある程度達成されたようだが、話が変な方向に進んでしまっ ていた。 アスカも、まさかシンジが狙われるとは、夢にも思わなかったのである。 (ちっ、しくじったわね。) アスカは、何人かの女の子がシンジにアプローチすることは想定していたのだが、研修生 達も一応支部の代表であり、それなりのプライドを持っていると思われることから、さす がに下劣な策を採るとは思わなかったのだ。 それが、マリアらの情報を総合すると、どうもなりふり構わずシンジにアタックしようと しているらしい。それも、体を張って。 グループによっては、ビデオやカメラを購入したり、基礎体温を計り出したり、妊娠検査 薬を購入した女の子もいるらしいのだ。その目的は分かりやすいが、アスカにとっては、 とんでもない話しである。 だが、止めようにも証拠は少ないし、いかんせん数が多すぎる。研修生の3割、女の子に 限れば6割になるのだ。下手に止めようとして研修生を帰国させようとすれば、大騒ぎに なるのは間違いないし、イラクによる戦争の危機が迫る今、研修計画を大幅に遅らせる訳 にもいかなかった。 女の子のアスカと、ネルフ幹部としてのアスカの心が激しくぶつかったが、アスカの頭に 良い考えがふっと浮かんだ。 (そうだ、あいつの力を借りよう。確か、あいつが得意なのは…。) アスカは、ある人物を心に浮かべた。 ***  それから数日間、水面下で4つのグループが激しい駆け引きを繰りひろげた。最初にど のグループがシンジを上手くおびき寄せることが出来るのかによって、パイロットへの道 のりに大きな差がつくと思う彼女達である。言葉には言い表せない醜いバトルが他の研修 生をも巻き込んで繰りひろげられたのである。 生き馬の目を抜くような争いに勝利したのは、意外にもドイツ第2支部のナスターシャら のグループだった。 それには理由があった。ナスターシャらのグループは、いずれのメンバーも成績が低く、 しかも同じ支部に有力な候補がいたからだ。自然、彼女達は切羽詰まって、なりふり構わ ぬ行動に走ったのである。 ナスターシャは、マリアが当確であり、それ以外に成績の良いウィチタ、ハンナ、ハンス といったライバルがいた。 ソフィーは独仏露の3支部での競争になり、大激戦のうえ、当確のハウレーンとは仲が悪 く、イライザ、トム、アニー、エカテリーナらの成績が優秀なライバルがいた。 ジャネットはさらに悲惨で、当確のキャシー以外に、ほぼ当確のアリオスやアールコート を除く1つの椅子しかないのに、ポール、テリー、ニールらの手ごわいライバルがいた。 こうして、切羽詰まってなりふり構わぬ手段を講じたナスターシャ達3人組は、ネルフ施 設のはずれに、ある人物を巧妙に呼び出していた。その人物は、周りをきょろきょろ見な がら、会議室に入ってきた。 「あのお、誰が僕を呼んだの?誰かいないの?」 その会議室の半分から向こうはパーテーションで区切られていて見えなかったが、小さ なドアが付いていた。 「いないなら帰るよ。」 その人物が言うとドアが開いて、ナスターシャが顔を出した。 「碇君、ちょっとこっちに来て。」 「なっ、なんの用なの?」 「アスカさんに関わることで、重要な話があるんです。こちらに来てください。お見せ したいものがあるんです。」 「えっ、アスカ?」 そう言いながら、シンジはナスターシャの方へと歩いて行った。そして、ドアをくぐり 抜けると、そこには布団が3つほど敷いてあった。 「こ、これはっ!」 驚くシンジに、ナスターシャは笑って言った。 「シンジ様は、これから私達と親密な仲になってもらいます。アスカさんよりも、もっ と仲良くね。」 「い、嫌だよ。なっ、何をするの?」 「別にシンジ様の嫌がることはしません。むしろ、喜ぶことをするんですよ。」 「どういうことさっ!」 「こういうことですよ。」 ナスターシャは、シンジの手を掴んで自分の胸に押しつけた。 「わっ!」 シンジは慌てた。 「どうですか。アスカさんよりは大きいと思いますけど、お気に召しましたか?」 「や、止めてよっ!何をするのさっ!」 「私は、シンジ様が大好きなんです。だから、今日はシンジ様のモノになりたくて、ここ にお呼びしたんです。」 「そんなの、嫌だよっ!」 「そうおっしゃらずに。聞くところによると、アスカさんはシンジ様に、まだエッチなこ とをさせてくださらないとか。なんて可哀相なシンジ様。私がアスカさんの代わりに、ど んなエッチなことでもさせていただきます。どうぞ、遠慮なさらずにお気に召すままのこ とをして下さい。」 「い、嫌だよっ!」 「私は、アスカさんとシンジ様には、仲良くしてもらいたいと思っているんですよ。でも、 アスカさんは男のエッチな本能を理解していないようですね。それがもとで、お二人の仲 が悪くなるのは忍びないのです。ですから、私相手に思う存分エッチなことをしていただ いて、発散して下さい。そして、アスカさんとは今まで以上に仲良くなさって欲しいので す。それが、お二人のためなのです。」 「そっ、そんなことないよっ!」 「ああ、シンジ様。あまり我慢をなさらないで。無理に我慢するとお体にも良くないです し、欲求不満もたまります。そんな状態では、アスカさんにも嫌われてしまいますよ。そ れでもいいんですか。」 「そ、そりゃあよくないけど。」 「でしょう。ですから、私相手にシンジ様のエッチな欲望を全てぶつけて下さい。私はシ ンジ様の欲望ならば、全て受け入れます。アスカさんが絶対に許してくれないようなこと でも、私なら簡単に許しますよ。どんなことで、何度でも、好きなだけしていただいてい いんですよ。もちろん、このことは死んでもアスカさんには話しません。ですから、安心 してシンジ様の欲望を、この私に好きなだけぶつけて下さい。」 「でも、僕はアスカじゃなくちゃ嫌だ。」 「それでは、今だけでも私のことをアスカさんだと思って下さい。」 そう言いながら、ナスターシャは もう片方のシンジの手を、自分のショーツの中に入れ た。 「どうですか。アスカさんは、こんなことをさせてくれますか?」 「あ、あのっ。」 「シンジ様、大好きですっ!」 ナスターシャは、シンジを布団の上に押し倒した。 「シンジ様、大好きです。私をアスカさんだと思って、好きなようにして下さい。アスカ さんにしようと思っても出来ないようなエッチなこと、いやらしいこと、どんなことをし ても構いません。」 「ま、待ってよ。」 「いいえ、待ちません。」 ナスターシャは、いきなりシンジにキスをした。 「ううっ。」 シンジはうめいたが、両手が自由にならないので、何も出来ない。 「シンジ様。今だけ、私はアスカさんです。アスカと呼んで下さい。そして、好きなよう にして下さい。」 ナスターシャは、シンジの片手を股間に挟むと、自由になった片手で上手に自分の服を脱 ぎ出した。そして、あっという間にショーツ1枚だけの姿になると、今度はシンジの服も 上手に脱がし、ブリーフ1枚だけにしてしまった。 「シンジ様、大好きです。シンジ様〜っ!」 ナスターシャは、身につけた最後の布地も脱ぎ捨てた。そして、再びキスをしながらシン ジを強く抱きしめた。 「カシャッ、カシャッ、カシャッ。」 その瞬間、シャッター音が部屋に響いた。シンジが何事かと音のする方を見ると、それま でどこに隠れていたのか、全裸の女の子が二人いた。ソフィーとジャネットである。 「なっ、何をするんだよっ!」 シンジは、慌ててナスターシャから体を離し、上半身を起こした。 「ナスターシャさん、うらやましいわ。私達にも、少しだけ喜びを分けて。」 ジャネットは、そう言いながらシンジの口に豊満な胸を押しつけた。 「んんっ!」 慌てるシンジに、ジャネットは言った。 「シンジ様。私も大好きです。」 そうして、上手にナスターシャと入れ替わり、シンジの膝の上に座ると、シンジに情熱的 なキスをした。 「カシャッ、カシャッ、カシャッ。」 その姿を、ソフィーは何度も写真に撮った。 「さあて、次は私の番ね。」 今度は、ナスターシャがカメラを受け取り、ソフィーはジャネットと上手く入れ替わると、 同じようにシンジに抱きついてキスをした。 「カシャッ、カシャッ、カシャッ。」 その姿を、ナスターシャは何度も写真に撮った。 「さあ、もういいでしょう。シンジ様の最初の相手はこの私よ。さあ、シンジ様、お待た せしました。といっても、これからが長いんですけどね。」 ナスターシャは、妖艶に微笑んだ。 「私を、シンジ様のものにしてください。」 その言葉を合図に、ジャネットがシンジの右手を掴み、自分の胸に押しつけた。そして、 シンジの右足に自分の両足を絡めて、押さえつけた。シンジの左手と左足はソフィーが押 さえつけた。 そうして、シンジが身動きできないようにすると、ナスターシャはシンジに熱い口づけを した。 「シンジ様、大好きです。お慕いしています。」 ナスターシャは、シンジを力強く抱きしめた。 ***  その頃、アスカも罠にかかっていた。 「惣流さん。碇君が女の子に呼び出されて、会議室に閉じ込められてしまったんだ。一緒 に助けに行こうよ。」 「ええっ、シンジがっ!分かったわっ!」 声をかけてきたのが、エジプト支部のザナドであったため、アスカは簡単に信用してしま った。ザナドがサーシャの親戚で、サーシャから信頼出来る男の子だと聞いていたからだ った。 そして、ザナドの後に付いていって、人気の無い会議室に入ったまでは良かったが、肝心 のシンジが見当たらなかったのだ。 「何よ、シンジはどこなの?」 「碇君は、残念ながらここにはいませんよ。」 ザナドがそう言ったのと同時に、会議室のドアが閉まった。そして、会議室の机の影に隠 れていた少年が二人現れた。 (しまったっ!罠だったのねっ!) アスカは、拳に力を込めた。 (ちくしょう、ふざけやがって!叩きのめしてやるわっ!) アスカは、怒りに燃えていた。 ***  アスカが罠にはまっていた時、ミサトがリョウジに緊急の呼び出しをかけていた。 「かじっ!早くアスカを探してよっ!」 ミサトは、急いでいたためか、リョウジを旧姓で呼んでいた。未だに急いでいるときは、 加持と呼んでしまうらしい。 「どうしたんだよ。」 リョウジは、のんびりとした返事をした。 「大変よっ!一部の研修生が、アスカを襲おうとしてるのよっ!今、それが分かったの。 早く、アスカを探してよっ!今、リツコにも手伝ってもらっているけど、見つからないの よっ!」 「大丈夫だよ、アスカなら。研修生が束になって襲ったって、簡単に撃退できるさ。」 「それがね、そうもいかないのよ。薬品保管庫から、即効性の気体麻酔薬が無くなってい たの。いくらアスカが強くても、麻酔薬をかがされたら眠らされてしまうわっ!そうした ら、何をされるか、分からないわっ!」 「何だとっ!」 リョウジの背中に冷たいものが流れた。確かにアスカが強くても、眠らされたらおしまい だ。しかも、一緒に眠るのを覚悟で、アスカの至近で液体麻酔薬を使用したら、アスカに 避ける術はない。そして、残った仲間が、アスカをいかようにでも料理出来るのだ。 しかも、アスカは腕に覚えがあるだけに油断しやすく、意表を衝いた罠には簡単にひっか かってしまうだろう。 「ちくしょうっ!そんなことは、絶対に許さんっ!」 リョウジは、弾けるように行動を開始した。 (第75.5話へ)

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あとがき  シンジとアスカ、揃って大ピンチ。果たしてシンジの貞操は守られるのか。ザナドは、 なんでアスカを罠にはめたのか。シンジとアスカの運命はいかに……。 2003.6.5  written by red-x



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