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あとどれくらいの時間を
キミと共に過ごせるだろう。
何気ない日々の中で

繋いだ手が、顔の高さまで持ち上げられる。

気づいていた?
僕がその手を取ることをちゅうちょしていた理由に。

僕はエクソシストで。
ラビもエクソシストで。

いつも死と隣り合わせの日々。

そして、ラビはブックマンの継承者。

「俺はいずれブックマンになる。そしたら、いつか遠くへ行くことになるかも知れない…。」

そう。いつ、僕の傍を離れていってしまうか分からない人。

だから、その手を取ることができなかった。
一度その手を繋いでしまったら、二度とその手を離して上げられないかもしれない。
心も体も繋ぎとめようとしてしまうかもしれない。

「でも、この手を…。アレンを手放すことなんて、もう無理なんさ…」

それが怖かったことに、君は気づいていた?

だから、いつか来る別れの為に、心が近づかないようにしていた僕に気づいてくれていたの?

「だから、いつかその日が来たら、アレンを攫っても…良い?」

それを、キミは簡単に救ってくれる。

「攫ってください…僕を、攫って……」

キミの手を取ることにためらう僕の手を掬い上げ、傍にいることを簡単に諦めてしまう僕に未来を綴る言葉をくれた人。
明日をくれる人。

「この街の、この風景ではないかも知れんけど、この次の冬も。その後に来る春も、夏も、秋も…そんでもってまたその次の冬も…。こうして一緒に見るんさ、アレン」

「はい。約束します」

「約束するさ」

僕の唇にラビの唇が触れる。

その唇に、繋いだままの手に雪が舞い落ち溶けていく。

薬指の付け根に雪の花が咲いた。

「結婚指輪みたいさ」

「ラビ…その台詞くさいです…」

「うるさいさぁ…」

くすくす笑い合ううちに、すぐに雪は溶けて見えなくなってしまった。

「溶けて消えない結婚指輪。買いに行くさ〜店閉まんねえ内にvv」



いつしか、解け難いように指と指が絡み合う。そうして僕たちは白銀に包まれつつある街まで、坂を下っていった。

「ねぇ、ラビ?ラビの買い物はしなくて良かったんですか?」

「アレンは、相変わらず鈍いさぁ…」

そう言ってラビは僕の薬指に光る、お揃いのシルバーリングに口付けた。





例えどんなに過酷な戦いがこの先待っていたとしても、僕は約束を守るために生き抜いていく。
いつか彼が攫ってくれる、その日の為に。そして、いつか訪れる愛しい日常の為に。
だから、ラビ……。

明日も明後日も傍にいて…

END

 

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