「ここが言ってた公園……って……広すぎね?」
地図を片手に公園の入り口へと辿り着いた男は見渡す限りの自然地帯に溜息を漏らした。歩いてきた距離と手の中の地図を見つつ、目の前に広がる公園と地図の中の公園を比較する。さらに溜息が出てきそうだ。
昨夜遅くまでバーナビーと情報交換をしていたロックオン、もといライルは途方に暮れかけていた。
この場所までの最短ルートを聞いたので早速来て見たのだが、予想を遥かに超える広さに軽く頭痛を堪える。だが何にしても動かなければ意味がない、と腹をくくり中へと足を進めた。
「サバイバルしてるとしたら隠れやすい木を探すのかね?」
園内を眺めながらとりあえず木の密集してそうな方向へと足を向けていると大きな噴水が見えた。跳ね上がった水が光に照らされてキラキラと光っている。
「あぁ、水の確保もあんのかな」
大自然の中でのサバイバル経験は残念ながらないのだが、『探し人』の方はうんと豊富そうだ。さらに自分が立てた予想の斜め上を平気で突き進みかねない。なので色々と想像してソレらしい答えをはじき出していく。
「とりあえず水の近くから攻めてみっか」
早速とばかりに噴水へと足を向けた時、同じ入り口にまた同じ男がやってきた。いや、同じと言うには服装が少々違う。さらに瞳の色も片方は同じアクアマリンの色をしているが、もう片方はエメラルドグリーンだった。
「おぉ〜……なかなかに広いんだな」
腰に手を当てて見渡す限りの光景に瞳を細めた『もう一人のロックオン』もといニールは隣にちょこんと立つ人物へと視線を投げかけた。
「そうですね。この市の中で一番大きいですから」
視線を受けて頷いたのはイワンだ。目の下にうっすら隈が出来ているが、困り人の案内という立派なお助け事情に少々気が張っているらしく、いつもは猫背の背骨がまっすぐに伸びていた。
「なぁるほどねぇ。ちなみに水場ってある?」
「はい、噴水の近くに夏になると水遊びをするような場所が。でも隠れやすそうな木の密集地からは離れてますけど…」
「そっかぁ……となると……水はなんか入れ物探して運べばいいから密集地から攻めるか」
「ではこちらです」
イワンに案内されているロックオンが、先ほど水場へと向かったライルとは正反対の方向へと歩き出した頃、二人が探している彼の人は全く別の場所にいた。
「ん〜……初めて来た人でもすぐ分かるコーヒーショップはここで最後だなぁ」
「……そうか」
日も高くなり、街中が賑わってきた中、虎徹に連れられた彼の人、もとい、刹那はカフェの前に来ていた。考え事をする時にコーヒーを飲みながらという光景が思いついたので案内をしてもらって双子を探していたのだ。けれど、この街に詳しい虎徹によって連れてきてもらった店にはどこにも見当たらず、僅かに肩を落としてしまう。
「他に行きそうなとこってないのか?」
「…………雑貨店?」
「雑貨??」
しばらく考えた後に小さく首を傾げながら溢された言葉で虎徹も首を傾げてしまう。
「休暇として送り出されたから、残っている他のメンバーに何か買ったりするかと……」
「お土産ってことね」
「その上で一番時間がかけるのがフェルトへの土産だと思う」
「フェルト?」
「妹のような存在だ」
「なるほどね」
あまり動かない刹那の表情が和らいだのを虎徹は見逃さなかった。お探しの二人にとっての『妹』かと思ったが、どうやら刹那自身にとっても同じ存在のようだ。
そんな分析を元に己へと置き換えてみると、きっと楓と同じ立ち位置のように思える。となると向かうべき店は自然と絞られてきた。
「そんじゃ、ショッピングモールの方へと行ってみるか」
虎徹の提案にこくりと頷いた刹那を連れて目の前に聳え立つモールへと足を向けた。そこへ、一人の男がてくてくと歩いてくる。
「ちょいと一服すっかー」
二人が歩いていった反対側から来たのは細身の眼鏡をかけた方のロックオン、ライルだ。
公園の中で水場として使えそうな所を一通り巡ってついでに木が密集している所も巡ってきた。けれどお目当ての人物の気配すらなく……広大ともいえる敷地を一通り巡った結果、少々疲れたので休憩しようと地図を頼りにやって来たのだ。考えを纏めるにも一先ず落ち着きたい、そんな思いのままに店のドアを潜り抜けていく。
「やっぱ一筋縄じゃ行かないなぁ」
「広いですからねぇ」
ゆっくりと閉まった扉の前へと新たに来たのはイワンに連れられたニール。こちらも広大な敷地を巡り、木の密集地から水場まで制覇してきたところだ。目当ての人物が見つからなかった為に少々しょげている。
「お。ここってショッピングモール?」
休憩がてらカフェに向けようとした足をはたと止める。そうして見上げたビルの数多く飾られた看板を見上げてイワンへと視線を戻した。
「あ、はいそうです。老若男女問わず幅広いジャンルの店舗が入ってます」
「んー……どうかなぁ?」
「寄ってそうなお店があるんですか?」
「いや、あいつ自身は何も買わないだろうけど、妹分に何か買ってたりしないかと」
「お土産ですか」
「そうそう」
「駄目元で行ってみます?」
「……そうだな。意外と、ってな場所にいるかもしんないし」
イワンの提案に少々考えながらもこくりと頷いた。刹那が、という点で考えれば行ってないだろうけれど、彼女が大事にしているフェルトやミレイナを視野に含めると何かしら買い物をしているかもしれない。それに他のメンバーにも何かないかと探していたりするのかも。
そんな考えにいたり早速目の前に聳えるビルへと入って行った。
「んーと……まずは女の子向けのアクセサリーショップとかあるかな?」
「えと、確か2階のフロアに1軒あったかと」
「んじゃ、まずそこで」
「はい」
イワンの案内について入口からすぐのエスカレーターを登っていく。二人の姿が人波の中に埋もれいく中、また一人足を運び入れた。
「よく見りゃここってモールじゃんか」
コーヒーで一息ついたライルが店を出て正面にあったビルへと入ってきたのだ。入口のすぐ横に設置してある店内案内板を操作して建物内にある店舗情報を見ていく。
「へぇ……ホント色々あんだな」
タッチパネルで目に付いた店名から取り扱い商品の内容を確認していると、ふと思いつく。
「案外買い物とかしてたりすんのかね?」
兄から聞いた話でいけば全く興味のなかった雑貨などに興味を引かれるようになってきたのだという。ならば今見ている店舗に行ってみるのも一計あるかもしれない。モニタに表示された店の場所を確認するとエレベーターへと足を向ける。
「ついでになんか土産でも買おうかな」
ふと頭をよぎるメンバー内女性陣を思い浮かべて良い案だと小さく頷く。約1名は雑貨とかアクセサリーよりもアルコールの方がいい気もしたが。とりあえず目標が見つかることを小さく祈って到着したエレベーターへと乗り込んだ。
静かに扉が閉まっていった時、ライルが乗ったエレベーターのすぐ横の扉が開いた。
「あぁいうとこ見てたら女の買い物が長くなるのが分かる気がするわぁ」
「確かに。目移りしやすいな」
癖のある黒髪が揃いの女性二人が降りてきた。虎徹と刹那だ。つい今しがたまでライルが目指した雑貨店の密集したフロアにいたのだ。
「……しかし……本当にいいのか?」
そう言って少し困惑気味な表情を浮かべる刹那の手には小さな紙袋が。
散々目移りしながらあれやこれやと見て回った中にコロンとした小さめのサイズの丸いブローチを見つけた。水の中に花を散らしたような涼しげで愛らしい印象のブローチは、他にも鍵の形をしたチャームが入っていたり、パールが入っていたりと種類が多くある。思わず見入ってしまっていると虎徹から「おみやげにしてやれば?」と提案を受けた。
確かに喜んでもらえそうだが、手持ちがない。ぐるぐると悩んでいるとどれにするか悩んでいるのだと思われたようで慌てて首を振る。フェルトとミレイナに合いそうなものを一つずつ選ぶと虎徹はそれらを手にレジへと向かってしまう。そうして止める間もなく購入して紙袋を手渡されてしまった。
「いいの、いいの。この街に来た記念ってことで」
「だが……」
「んじゃあさ、料理とか出来る?」
「あ?あぁ、出来るが……」
「おし!今夜のディナーを作ってもらうって事で手を打とうじゃないか」
「え?」
「ほら、自分ひとりの為に作るのって味気ないじゃん?たまには人の手で作られた料理が食べたいなぁ、って」
「……なるほど。それならば受けよう」
「オッケー。じゃあここで食材も買っていこうぜ」
納得したように頷く刹那を連れて虎徹は2階へと上がるエレベーターの脇を通り抜け、1階奥にある食料品売り場へと足を向けた。
「やっぱいないかぁ……」
「残念でしたね」
虎徹と刹那が何を作るか、どの食材がどこにあるのかと話しつつ人波に紛れていった時、2階フロアから凸凹コンビが降りてくる。アクセサリーショップを覗いていたイワンとニールだ。
「あいつの好みそうなのもあったのになぁ」
「他のフロアに雑貨が集中している所があるのでそちらに行ってたりとか?」
「はい、さっきのお店のようにアクセサリーのみってお店はないんですけど。ポーチとかハンカチとかと一緒にブローチとかも売ってたかと」
「詳しいね?」
「あー……はい、その……何かプレゼントしようと思ってうろついたことがありまして」
「なるほどね」
昨日お邪魔した部屋の雰囲気から女の子が好みそうなものはなかったと思えば、ちょっとした甘酸っぱいエピソードが付いていた。思わず微笑ましくなって頭を撫でくりまわしてしまう。
「よしよし、そんじゃ、お次はそのフロアだな」
「は、はい」
早速移動、とばかりに背中を押されたイワンが丁度到着したエレベーターへと導く。階数を確認してボタンを押すと扉が閉まり、すぐ横で上の階から降りてきたエレベーターの扉が開いた。
「あ〜……目がチカチカする。やっぱ女の子はあぁいうカラフルなものが好きだなぁ」
目頭を押さえながら降りてきたのはライルだった。いかにもミレイナが好みそうなカラフルな雑貨を取り扱っている店を渡り歩いた結果、普段見慣れない鮮やかな色の波に目が疲れてしまったようだ。
何度か擦りつつちらりと自分の手元へと視線を投げる。さきほど手に入れてしまった小さな紙袋を顔の高さまで持ち上げてそっとため息を吐きだした。
「思わず買っちまったけども……受け取ってくれんのかね?」
店を見て回っている時に目に付いた小さなブローチだ。普段の刹那からは着けそうにないのだが、このくらいなら許容してもらってもいいかもしれない。なんなら兄ニールに上手いこと吹き込んでもらえばあっさり着けてもらえるだろう。
「さて、こんなに回って見つからないってんなら別のとこか?」
紙袋を胸ポケットに押し込むとモールの入口から外へと出て行く。何気なしに歩いているとすぐ横の道路を一台のトラックが明らかにスピード違反な速さで通り過ぎていった。
「あっぶねーな、あれ」
あまりの荒い運転に少々目を見張りつつ、特に行き先を決めていなかったライルは何気なしにトラックが向かった反対側のスクランブル交差点へと足を向ける。
その頃、ショッピングモールのエレベーターから降りてきたイワンはニールにぺこぺこと頭を下げていた。
「ホントにすみませんっ」
「いやいや、気にしなさんな。お仕事はお仕事。お前さんにしか出来ないことをしっかりやってきなさいな」
「はい!ありがとうございます!それではまた後で!!」
ばたばたと駆けていく後ろ姿を見送ってニールは思考を巡らせる。昨日の晩に彼の生業を聞いていたし、今までの活躍をネット映像で見せてもらっていた。その中に想い人ばかりを固めたフォルダがあるのもちらっと確認済だったりする。かわいいねぇ、と繊細な青年をからかいたい手を疼かせながらも映像に次々映し出される他のヒーローの説明を受けていた。
みなさん尊敬するヒーローです、と力説したいた通り、彼の説明は非常に熱のこもったものだった。
そういった経緯を経て、今まさに仕事へと向かったイワンはこれからヒーローとしての顔を見せてくれるだろう。
「せっかくだから生で活躍するとこ見てみたいし。さっきでっかいスクリーンのある交差点があったな」
うろうろしていた間にスクランブル交差点の大きなスクリーンに感嘆を上げていた時に確か説明を受けた。街中の人に向けて配信される映像があのスクリーンに映し出され、大きさと比例して大層見ごたえがあるのだと。
さっそく移動を始めた頃、食料品売り場の方向から小走りに出てくる人影がある。
「ったくタイミング悪いにも程があるぜ」
虎徹と刹那だ。売り場の半分程を回ってそろそろレジに並ぼうかとしていた時、虎徹の右手首からコールが発せられたのだ。いくら人を連れているとはいえ、ヒーロー業は別物。出動命令がかかればすぐに行く心づもりはしていた。
「すぐそこだな。このまま行った方が早いか」
現場と自分の現在地を頭に思い浮かべてすぐに結論が出る。斎藤がトレーラーで迎えに来てくれるより、ハンドレットパワーを発動させて追いかけた方が早く追いつけそうだ。
しかし、と隣に立つ刹那を見る。犯人グループを追いかけるのはいいが、その間どうしてもらおうか、肝心な事を考えていなかった。
「え、っと……じゃあ……」
「迷惑でないならサポートに入る」
「へ??」
「バイクの運転は得意だからあんたを乗せて追いかけられる」
彼女がそっと指で示した先にはキーの掛かったままの大型二輪バイクがある。一体なんの導きなのか、と瞠目するが、それも一瞬のことだった。
「……オーケィ。斎藤さんとの合流を待ってる間に逃げられちゃたまんないからな。道は大丈夫?」
「朝見た地図が頭に入ってる」
「よしよし。そんじゃ、これ着けて」
「?」
目の前に差し出された物を受け取ると、それは昨日見たアイパッチだ。一つ瞬いて顔を上げると虎徹はさっさと装着している。周りに人はいるのだが、飛行船のモニタや、ビルのモニタに映し出されたヒーローTVの中継に釘付けになっていた。
「いやぁ、予備持ってて助かったわ。一応、ワイルドタイガーのトレードマークってことになってっからさ」
「……警官の制服のようなものか」
「そ。そんな感じ」
「了解。早速追跡を始める」
「おーっしゃ。よろしく!」
あっさりとエンジンが掛かり、バイクの状態を軽くふかしながら確かめていると、異常に気づいた持ち主が慌てて駆け寄ってきた。けれどバイクはすでに路肩から離れて行っている。持ち主の存在に気づいたワイルドタイガーが帽子をちょいと持ち上げてウィンクするとバイクは轟音とともに走り去ってしまった。
残された持ち主は顔を真っ赤に染めてぽかんと立ち尽くすばかりだ。
* * * * *
『市民のみなさん、こんにちは!ヒーローTVのお時間ですよ〜!!』
軽快なしゃべりとともに、お昼のニュースは突然中継へと切り替わった。街頭の大型テレビを含めジャックされたにも関わらず、大々的に放送される番組に誰一人苦情をあげないのは市民が敬愛するヒーロー達の活躍を生で見られるからだ。その証拠に街行く人々が足を止め、画面に目を向けている。
『穏やかな昼下がりをぶち壊しにしたのは銀行強盗だ!!ショッピングモール近くの銀行を襲ったらしい!銀行員もお客さんもまとめて縛り上げ、金庫を荒らして逃走!幸い怪我人はいないようだ!よかったぁ!!
さぁ〜、そんなお騒がせ犯人を捕らえるべくヒーローが出動してくるぞ〜!今日の一番乗りは誰だ〜?』
軽い状況説明をする間にも視聴率もぐんぐんと伸びていく。スタジオで追跡カメラの映像を確認していたマリオはある事に気づいてもとより近かったモニタにさらに近づいた。
『うん?おいおい、こんな時に違反運転をしている輩がいるぞ〜?犯人グループと纏めてお縄頂戴ってやつかい?
ん?カメラさん、もっとズームズーム。このシルエットは見覚えが……』
モニタの隅に見え隠れしているバイクを指差す。カメラマンにお願いをして出来るだけズームアップしてもらうと二人乗りをしたバイクだった。慌てて脇へと避けていく市民の車の間をすり抜けてぐんぐんと犯行グループのトラックに近づいていく。
更にアップしていくと後部座席に見慣れた人物が私服でしゃがみこんでいる。
『おっと、誰かと思えばワイルドタイガーだ!ヒーロースーツを着ていないところからしてすぐ近くにいたのかな??
二人乗りバイクの運転はもちろん……おや?バーナビーじゃあないね??女性のようだ!けれど現在の女性ヒーローに黒髪の持ち主はいないぞ〜?ワイルドタイガーと同じマスク着けてるってことはお助けウーマンってことか?!』
湧き上がる疑問を勝手な解釈のもとに結論づけて彼のしゃべりはとどまる事を知らない。そんな実況をモニタのスピーカーから聞いていたワイルドタイガーは苦笑を浮かべていた。
「他のメンバーはまだ来ないのか?」
スピーカーから聞こえる実況中継から犯行グループの車の行き先を的確に追いかけている刹那から疑問が投げかけられる。ヒーローはタイガーの他にもいるのにまだ来ていない。この街に住んでいる人間ならば慣れているだろうけれど、彼女にとっては遅く感じてじれったいのかもしれない。
「ん〜、まぁ普通なら、通知を受けてからスーツに着替えて出動するからな」
「効率が悪くないか?」
「うんや?俺みたいに肉体強化タイプじゃないやつは攻撃力か守備力を補うためのスーツだからな。それにスポンサーの宣伝にもなるからあるに越したこたぁないな」
「……色々大変だな」
「まぁね」
雇われの身の上というやつだ。スポンサーの後盾を得る為の条件でもあるのだが、元々タイガー自身についてくれているスポンサーは他のみんなに比べて少ないし、今回のようにスーツなしで突入することも多い。それを分かった上でついてくれているので多少の融通は利くのだ。
その辺りの事情を掻い摘んで話すとやはり、大変だな、という言葉が返された。そういったやり取りをしていればトラックのすぐ傍まで追い付いてきた。
「死角に入る」
「オッケー。その間に飛び乗るよ」
「なら、乗り移った後は囮になろう」
さらりと返された提案にタイガーははた、と固まった。
「……それは危ないだろ?」
「走行中に撃ってくる銃ならかわせる」
かなり物騒な事を言っていないだろうか?しかし今朝、バーチャルシステムを利用した腕ならしを見た後では彼女にとってその程度のことは朝飯前だろう。
「……そっか。んでも後々の処理が面倒になるんで攻撃は一切なしで頼めるかな?」
「タイヤを潰すのは?」
「んー……事故っぽく見えりゃ大丈夫かな」
「ならば使えそうな物が見つかれば前に躍り出て障害物を撒く」
「おっしゃ、くれぐれも無理はしない方向で」
「了解」
打ち合わせが終わったと共にバイクのスピードをさらに上げるとトラックの斜め後方へと近づく。難なくタイガーが乗り移ると刹那はドアに蹴りをひとつ入れてから離れていった。「何してんの?!」と叫びかけたが、わざと音を鳴らして注意をひきつけたらしい。スピードを若干弛めると距離を開いて、窓から銃を出して無茶苦茶に撃ってくる銃弾を避けている。どうやら全くもって心配はしなくていいらしい。
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