頭の先から足の先までぴんっと伸びきる躯が肌を這い回る甘い痺れにかたかたと震え続ける。頭の中が靄でもかかったようにぼんやりと霞んでいた。
「ぁ…ぁ…ぁ…」
荒々しく吐き出す呼気と共に小さな声が零れ落ちる。背を抱きこむ腕はなおも引き寄せ、柔らかく温かな体に押し当てられていた。真っ暗闇の海に投げ出されたような不安が霧散していく。
「ぁ…っふ…ぅ…」
ようやく衝撃が治まり徐々に躯から力が抜け始める。抱きついた腕からも力が抜けてマットの上へと放り出された。甘い痺れが未だに指先でとどまっているかのように、小さく跳ね続ける。その光景をぼんやりと見つめていると頬を柔らかな感覚が擽った。
「…ん…」
「大丈夫?」
「…ぅ…ん…」
ちゅっちゅっとくすぐったい音を立てて口づけを降らせるニールの言葉をぼんやりと理解しながら応えると嬉しそうな笑みを向けられる。
「ホントに?」
「…ん…」
「嫌じゃなかった?」
「…ぅん…」
それほどまでにも心配されたのかと思うと気恥しい気分になってくる。さらさらと髪を撫でる手の心地よさに、夢見心地になりながらも重たい舌をなんとか動かした。
「…こわかった…けど…」
「…けど?」
「…きもちいぃ…」
ふわふわとしながら言葉を紡いではっとした。今自分がとてつもなく恥ずかしい事を言ったと気づいたからだ。その証拠にニールの表情がみるみる輝いていっている。
「今のは違うッ!」
「ん?なにが?」
「わっ分かってるだろう!?その顔!」
「えー?わっかんないなぁ?」
「しらばっくれるな!」
かぁ〜っと熱くなる顔にニールがじりじりと詰め寄ってくる。なんとかどかそうと腕をクロスしようにもなんの役にも立たずに、あっさりと掴まれて唇を塞がれてしまった。
「んむっ…っうぁ!?」
散々舌を弄られて力の抜け落ちる腕を解放されるといつの間に這わされていたのか、固くしこった胸の実を摘みあげられた。途端にびりっと電流が走ったような感覚が四肢を襲い、背が反りかえる。摘み上げた指がそのまま実を弾き、腰の奥がむずむずと疼いてきた。
「あっ、や、ぁんっ!」
「ん〜…敏・感…だな…」
「ひぅんっ!」
しつこく弾かれ続け、じんじんと痛みすら感じられるようになった実を片方だけ解放される。思わずほっと僅かに躯の力を抜くと今度は熱く湿った感触に覆い包まれた。
びくっと跳ねる腰を胸で押さえつけ、口に含んだ実を捏ねまわす。舌先で弾いては歯を軽く当てると、押さえつけた躯がぴくぴくとつぶさに反応を返してくれた。押し退けたいのか、肩を掴む手を片方外して指を絡めて未だに刹那の胸に這わされた手は全体を押し揉む様に指を広げる。指先も舌の動きと同じように弾いたり摘み上げて潰してみたりとすれば、跳ね踊る腰に反して四肢から力が抜けて行った。
「ッあぁ…んぅ…」
唇を離すと銀糸を引いてぷつりと途切れる。突然外気に晒された実が温度差からぷくりと膨らみ深く紅く色づいた。そのおいしそうな光景に舌舐め擦りをして爪先で弾くと小さく啼いて喉が仰け反る。躯の内に再び燻ぶり始めた熱に浮かされたような表情をした刹那がくたりと四肢を投げ出していた。
「…刹那はえっちな体してんだな?」
「ちが…ぅ…」
わざとらしいまでの意地悪な言い回しに刹那は頬を紅く染めて、いやいやと首を振る。けれど悦楽に力の抜けきった躯はどこも隠すことができずにすべてを晒したままだ。
そのギャップに小さく喉を鳴らしたニールは刹那の躯をころりと転がしてうつ伏せにしてしまう。そうして一度開放した手を再び重ねて指を絡めると背中へと引いた。
「ぁ…な、に…?」
必然と振り向く形になった刹那の頬に軽く口付けを落として腰に腕を回した。そのまま膝立ちになるように引き上げると、腰だけ高く上げた格好になってしまう。
「はぁい…ご開帳〜。」
「ッ!やっやめ!!」
刹那の手に指を絡めさせたまま、桃尻を割り開かせた。逃げうつ手を押さえつけるとまるで刹那が自ら秘部を晒しているかのようだ。涙目になる刹那の顔とひくりと震える花弁が一緒に見える。
「…綺麗なピンク色…」
「っ…ひろげ…なぃで…」
「どうして?すっごく潤んできて触ってほしそうだけど?」
「そんな…こと…っ」
「ほら、蜜まで溢れてきた。」
「やぁっ…」
もっとよく見えるように広げれば広げるほど、とろとろと蜜があふれ出してくる。蜜口もぱくぱくと開閉をするようになり、花弁を伝い流れる蜜が花芽まで到達してしずくを作り上げた。
「今にも零れそうだな?」
「…んんぅ…」
耳を塞ぎたいほどの羞恥に身悶えているのだろう、刹那の呻き声が聞こえる。どうにか閉じたいのか内腿がふるふると震えていた。
「落ちちゃうと勿体ないから舐めちゃおうか?」
「あっ!?いやぁんっ!」
何の躊躇もなく花弁に口付けると持ち上げられた細腰が逃げ打つ。けれど押し広げる指と押さえつけられた手によって逃げる事は叶わず、唇だけではなく舌までも這わされてしまった。
はしたない水音を立てて花弁の表面を伝う蜜を吸い上げていく。花芽にまで流れた分は舌を伸ばして舐め取っていった。
「ひんっ…ぅ、んんッ…」
無意識に揺れる腰がまるでもっと強請っているように見える。ゆらゆらと踊る桃尻を撫でて一端口を離すとすぐに蜜口が新たな蜜を滲み出してきた。指で押し開いた花弁を一度閉じさせてまた開くと糸を引いて流れ出てくる。
「どんどん溢れ出てきちゃうな?」
「んぅ…っ…」
表面を撫でるとすぐにぬるりと滑り、蜜に濡れた部分が厭らしく光を纏う。ふっと軽く息を吹きかけるとそれだけで腰を大きく跳ね上げた。
普段晒されない部分が外気に触れて…それだけでも敏感になっているというのに、ニールに見られていると思うだけで死にそうなくらいに恥ずかしくなってくる。そんなはずないと思うのに、まるで視線がちくちくと花弁を突いているような錯覚に陥っていた。
「気持ちいい?」
「ッ!…〜〜〜…」
不意を突くように聞かれて、ふわふわと覚束なかった意識が覚醒する。途端に激しい羞恥に見舞われ躯の芯から熱くなってきた。
「答えられないほどいいんだ?」
「っ!ち、ちがぅ!」
勝手な解釈に思わず噛み付くような勢いで否定した。けれど小さく笑い声が聞こえてくる。
「嘘ついちゃ駄目だぞ?刹那。」
「なっ!」
「花弁がずーっとひくひくしてるし蜜もとろとろ溢れっぱなしだぜ?」
「ッ!!!」
言葉を示すかのように指が花弁を滑っていく感じに思い知らされ、かっと頬が熱くなった。意地悪く花弁の中を曝け出そうとする指から逃げようと腰を動かしてみるもまったく意味を成さない。
「誘ってんの?」
「さそってなんかないっ!」
さらにくすくすと笑われて余計に恥ずかしくなった。
「ひあぁっ!?」
なんとか手を振りほどいてやろうと思ったのに、背筋を走り抜ける悪寒にも似た感覚が力をそぎ落としてしまった。花弁が再び湿った空間に放り込まれたかと思えば、表面をぬるりと柔らかな物体が這い擦りまわる。
「あっ…あっ…!」
表面ばかりかと思えばずるりと中まで進入してきた。熱く柔らかな塊は蜜壷の入り口付近ばかりを撫でてくる。その正体が何か確かめようと思うのに、見てはいけないという警告が頭の中で鳴り響く。ぎゅっと閉じたままの瞳をどうにか開くと想像を逸する光景があった。
「っ!?なに、してっ!」
霞む視界の中でニールが桃尻に顔をうずめているのだ。その光景が一気に躯を熱くする。ふるふると小さく震えているとちらりと翠の瞳が向けられて、金縛りにあったかのように動けなくなった。ゆるりと瞳が弧を描くと胎内を嬲っていた感触がずるりと抜けだす。びくりと躯を跳ねさせると抱き起こされて膝の上に跨らされた。
「…せつな…」
「っんぅッ!」
長い腕に抱き込まれて唇を奪われる。すぐに侵入してきた舌に絡め取られると少ししょっぱくて喉の奥が苦い感じがした。思わず眉を顰めて呻くと舌を吸い上げられながら解放される。
「ど?」
「っ…な、に…っ?」
「刹那の蜜の味。」
「!」
「美味しかった?」
「っおいしいわけない!」
「あ、そう?」
「そう!」
「俺は濃くてめちゃくちゃ美味しかったけどなぁ…」
「なっ…!?」
「もっと味わいたいなぁ?」
「*○@#×¥☆〜!」
甘えるように頬を擦り寄せられ耳に掠れた甘い声を吹きこまれる。さらに腰を撫で下し桃尻を辿って花弁に押し当てられた指が、今にも潜り込んできそうな雰囲気を醸し出していた。けれど軽く動かされるだけでくちゅくちゅと濡れた音を立てる花弁に、また蜜が溢れ返っているのだと思い知らされる。慌てて首を振るうとくすりと笑われた。
「しょうがないなぁ…じゃ、また今度舐めさせてね?」
「こっこんど!?」
「うん、刹那にはまだまだいーっぱい触りたいからな。」
「あ…う…〜…」
にこにこと無邪気な笑みを向けられて毒気をすっかりと抜かれてしまう。額を合わせて覗き込むように見つめてくる瞳に嫌だとは言えなくなった。まるで心の中を読んでいるかのようににっこりと笑い掛けられて頬にキスを落とされると指が蠢き出す。
「それにココで一つに繋がりたいし。」
「ひあっ!?」
「こうやって感じる刹那をもっと近くで感じたい…」
「あっあぅっ…!」
長い指が何度か花弁を擦り上げると前触れもなく蜜壺へと潜り込んできた。桃尻を包み込むように広げられた手に逃げ道を阻まれ、突き立てられた指が付け根までねじ込んでくる。内壁を擦り上げられるだけで腰が溶けてしまいそうなほどの疼きが湧き上がり、背を仰け反らせて躯をくねらせた。
「あぁっあっん!」
「…かわいぃ…」
胸を弄んでいた手がするりと滑り下りて前から恥丘を包むように差し込まれる。2本の指で花弁を割り開かれ晒された花芽を親指で弄られてしまった。弾かれる花芽の強烈な痺れに喉を反らせていると、蜜壺を犯す指の数が増える。
「ひゃぁんっ!」
びくびくっと大きく跳ねる躯を擦り寄せてされるがままに流され続けた。涙で滲む視界に飢えた瞳をしたニールの表情が見える。その視線に曝されているのだと意識するだけで躯の芯が戦慄いた。無意識に引き締まる蜜壺に彼女の長い指を感じ取ると、2本の指がばらばらに動き出し、内腿が痙攣をし始めて思考が白く霞んでいく。
「イっちゃうの?せつな?」
「んっ、ぅんっ、んんっうぅっ!」
がくがくと首を振るとまた1本指が増やされてしまった。びくっと大きく背を仰け反らせると蜜壺を掻きまわす指の動きが激しくなっていく。
「あぁっ、あぁぁぁっあーっあーっ!」
「イって…せつな…」
目の前がちかちかと明滅を始めると顔を伏せたニールが過敏になった胸の実を唇と舌で嬲り始める。躯の中でナニかがぱんぱんに膨れて今にも破裂しそうな感覚に足がガクガクと震えた。それと同時に嬲られていた実を齧られ、びりっと走り抜ける電撃のような衝撃に腰の奥で熱が弾け飛ぶ。腕の中でしばらく震え続けていた躯は途端にくたりと四肢を投げ出した。ぷにぷにとグミの実のような歯触りの良い実を離し難そうにもう一舐めしてから離す。するとぴくりと小さく跳ねて完全に躯を委ねてきた。
「…刹那?」
肩に預けられた頭に頬を寄せながら呼びかけてみるが反応が返ってこない。きゅうきゅうと余韻に蠢く蜜壺から指を抜き取り刹那の顔を晒させると気を失っているようだった。切なげに寄せられた眉はそのままに瞳は閉じられている。
「…ちょっと欲張りすぎたか…」
己の失敗に小さく苦笑を漏らすとそっと体を横たえてやる。汗と湿気に濡れる肌に張り付いた黒髪を掻き上げて額に口づけた。
* * * * *
「………」
姉からの連絡を切った後、ライルはしばし考え込んだ。外の様子からして、例え傘を持っていたとしてもバケツを頭から被ったような濡れ具合になるのは容易に予想出来る。その上で、明日は学校もないし、避難として生徒会棟を使うのは何ら可笑しなことではない。
…けれど…
「(…喰っちまうだろうなぁ…)」
備え付けの電話を見つめてぽつりとそんな考えが浮かんできた。
むしろ、今までが可笑しかったと言ってもいい。
今までの彼女ならば、気を許した途端その手管によって陥落させてきた。最近はそこまでして欲する存在がいなかったからか、鳴りを潜めてはいたのだが…姉が刹那にぞっこんなのは丸分かりだし、刹那も嫌ではないことは日常のスキンシップを見ていればすぐに分かった。けれど…珍しくあの姉が強引かつ巧みに速攻落そうとしなかった。何かあるだろう…と思っていた矢先…この事態。
さすがにあの我慢強過ぎる姉も決壊するだろう。
「(…あ〜ぁ…)」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてライルはため息をついた。
優しい姉は何かにつけて妹である自分の意志を尊重してくれる。双子故か…好みが近過ぎた時期もあった。その間、同じ人間を好きになっても必ず引いてくれたのだ。
けれど、そんな事をされて喜ぶライルではない。
始めの頃は譲ってくれたとは気付かなかった。いや、譲ったとは思ってもみなかった。だから、好きになった相手と普通に付き合って時を重ねていたのだが…心が満たされることは一度もない。
そういった経緯を経て、姉との好みが分かれて行った。現在では正反対と言ってもいいかもしれない。これで劣等感や引け目を感じることもなくなったと思った。
そんな時に現れたのが…刹那・F・セイエイ。
見た目などは姉がタイプとしている猫っ気のある構い倒したい雰囲気だ。年齢に沿った幼さと、何か過去にあっただろう危うさを持った神秘的な雰囲気も持っている。
いつもならばタイプ分析だけで終わっていた。
しかし…ライルの中に直感めいたものが生まれる。あと少しだけ待てば好みの女性に育つだろうと。その直感に従い、日ごろは少し距離を置く形で成長を見守っていた。そして降り積もる『欲しい』という欲望。
でも…分かっている…
刹那は決して手に入らない。
一番近い場所にいるライバル…姉がその腕に抱いているから…
いつもそうだった。
本当に『欲しい』と思ったものはすべて姉が持って行ってしまう。
重々しいため息を吐き出してライルはリビングに戻っていく。1人では心細いだろうと適当な理由をつけて那由多を部屋に招いていたのだ。むしろ自分1人きりでは嫉妬と苛立ちでぐちゃぐちゃになりそうなのを紛らわせる為に呼んだ。おかげで暗い思考の海に陥らずに済んでいる。
リビングに戻ると見てるのか見ていないのか分からないほど、ぼんやりと画面を見つめる那由多がいた。
「…那由多。」
「?」
「姉さん達、生徒会棟で避難してるって。今日中には帰れそうにないと思う。」
「…そうか。」
恐る恐る声をかけるといつもと変わりない反応を返してくれる。ちょっとした違和感があったが、まぁいいか…と流すと彼女のすぐ後ろにあるソファへゆったりと腰掛けた。そのまま点いていたテレビへと目を向けていると、下でのそりと動く気配がする。
「ん?…お?」
お手洗いにでも行くのかと思えばすぐ横へとよじ登ってきた。その動作にきょとりとしているとぽふっ…と太ももの上に頭を乗せられる。
「眠い?」
「ん…ちょっと…」
「いいぜ?そのまま寝ちまいな?」
「…ん…」
すでに眠りに落ちかかっているふわふわとした声を聞きながら頭を緩やかに撫でているとすぐに安らかな寝息が聞こえてきた。器用にソファの上で丸くなった体を眺めつつ、太ももに感じる温もりに笑みが漏れる。
* * * * *
起きる気配もなくまったく力の入っていない体を優しく清めて、バスルームから出ると用意していたローブを纏わせる。ワンサイズしかなく明らかにローブの中で泳ぐ小さな体に笑みが零れた。そっと抱き上げてゲストルームにあるベッドへと寝かせつける。
「…さて。」
安らかに眠り続ける刹那の頭を一撫ですると、リビングへと向かう。そこには二人のカバンと靴下が広げられていた。2足の靴下を拾い上げて、刹那のカバンを持ち上げる。一緒に置いてあった布カバンから体操服を取り出した。
「あ〜あぁ…やり方がベタだねぇ?」
広げた服には赤い文字がびっしりと殴り書かれていた。内容を見れば何に苛立ちその捌け口にしているかが明確になっている。それらを一通り見てから眉を潜めてため息を漏らすと洗濯機がある小部屋へと向かった。
「…ま、俺が引き金の一因だとは分かってたけど?」
靴下と一緒に体操服を放り込み、ティエリア考案の洗剤も流しいれる。そうして蓋を閉めながら一人ごちた。
「こんな事する暇あるならもっと自分磨きでもすりゃいいのに…」
ぽつりと零れ落ちた声は酷く冷たく低く響いて洗濯機の水音にかき消されていった。
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