嘘ではないのだと示すように言葉遊びを興じるとまた呆れられてしまった。頭を撫でてくれていた手が離れていくのが少し淋しくて先ほどからすぐ傍で見せつけられていた太腿に手を這わせる。ぴく、と小さく跳ねる肌に軽く爪を立てて這い上ればぺしりと叩かれた。

「った……」
「こら、オイタしてんじゃねぇぜ」
「どうしてです?貴方からこの部屋に来たんじゃないですか。誘ってるのでしょう?」
「よく言うぜ。お前の舌が満足すんのは俺じゃねぇだろ?」
「そんなことありませんよ?貴方の肌もとても美味しそうですもの」
「嘘をつくんならもっとそれらしい嘘をつきな」

 懲りずに伸ばした指はその魅惑のラインに触れる前に立ちあがられてしまって到達できなかった。名残惜しいと言わんばかりに翻したコートの裾を軽く引く。

「嘘だなんて酷いな。これでも至極真面目なんですが」
「だったらなおのこと性質が悪いな。俺はあいつとお前の取り合いをするつもりはねぇぜ」
「取り合いだなんて不要です。ちゃんと二人とも同じように愛しますから」
「それはこっちが願い下げだな」
「どうしてです?」
「俺は誰かと半分こして仲良く出来る性質じゃねぇんだよ」

 するりと裾が引かれ不敵な笑みを零して背を向けてしまった彼に残念だ、と言わんばかりにわざとらしい溜息を零してやった。それでも振り返らない彼はまっすぐに扉を目指して大きく開く。

「お、グラッツェ、JOJO!」
「どういたしまして、だ」

 扉のすぐ外にいたのか、入れ違いに入ってきたのはワインのボトルとカナッペが盛られた皿を持ったミスタだ。してやられた、と額に手を押し付けると静かに閉じられた扉を背に軽い足取りで入ってきたミスタが目の前のローテーブルに持っていたものを並べていく。

「いつからいたんですか?」
「んー、お前がオイタした辺り?」
「人が悪いですね?それに嫉妬もしてくれないなんて」
「あー、ね?嫉妬しても相手がJOJOじゃあ、なぁ?」

 ひっかけられた上にミスタからの愛情が足りない、とぼやくと彼は困ったように笑った。その顔にむっとする。

「あっさり身を引くっていうんですか?」
「ちっげーよ。あー、いや違わなくもないが。あっさりは引かねぇな」
「……それで誤魔化されてあげますよ」
「グラッツェ!」

 そういうつもりじゃないとははっきり言ってくれたが、言葉が窮していく彼に寄せた眉間のシワを解いた。機嫌を直してくれたとばかりに頬を擦り寄せてくるミスタの腰に腕を回して引き寄せると、彼はあっさりと膝の上に跨ってくれる。
 まだ少し機嫌が悪いのだと憮然とした顔をしていると、ちゅっと愛らしい音を立てて口付けが降ってくる。

「まぁ、本当のところはJOJOを口説き落としてくれねぇかなぁ、とは思ったけど」
「?浮気を勧めます?」
「いやいや。あいつ混ぜて3Pとかってのもいいなって話」
「……それはまた……」

 大胆な。口の中で呟いた声はしっかり届いていたようで、彼は照れたような笑みを浮かべた。

「へへっ。いやぁ、ほら、ジョルノの突っ込まれてる時、前が淋しいんだよな。そりゃ手でされるのも気持ちいいけど突っ込まれてる時に入れたらどうなんだろって興味あるし。
 で、どうせ突っ込むんならJOJOの啼く顔を拝みたいなって思ってさ」
「……なんですか、それ」
「あ、怒った?」
「いいえ。とてもそそられます」
「はは、だろ?」

 いくら機嫌を悪そうにしても結局彼には敵わないのだ、と苦笑を浮かべつつも柔らかく弧を描く唇に己のそれを重ねようと顔を寄せる。すると、人差し指で押しとどめられてしまった。むっと再び眉間のシワを刻むと上体をねじった彼はテーブルから皿を取り上げる。

「こいつを平らげてからじゃねぇと、ダ・メ」
「……こんなにいりませんよ」
「ダーメ。JOJOからの命令だからな」
「本当にもう……内に入れた相手にはどこまでも甘い人ですね、彼は」
「だよなー。でもイヤじゃねぇんだろ?」
「そうですよ。だから余計に困ってるんじゃないですか」

 ステージが終わってからポルナレフが呼びに来るまで時間はそれなりにあったのだが、その間ジョルノは食べ物はおろか飲物も一切口に付けていなかった。ばれないようにとグラスを片手に飲むふりをしていたはずなのだが、聡い彼にはお見通しだったようだ。

「俺も相手にするなら元気なお前のがいいしな」
「とんだ口説き文句ですね」
「おうよ。嬉しいだろ?」
「えぇ、でも食べるならもっと他のものがいいです」
「んー?」

 皿からまずは一つ、と取り上げる手を掴み避けて首筋に唇を押し当てる。すると嫌がるように捩られてしまった。

「ダメだろ?デザートはちゃんと飯食ってからだ」
「手厳しいですね」
「ほら、観念しろって」
「えー……」
「あーん、は?」
「もう……分かりました、降参です」
「よしよし」

 太陽のような明るい笑顔と年上とは思えない可愛い仕草の連続にもう陥落するしかない。素直に口を開くとチーズと生ハムが乗ったカナッペを放り込まれる。途端に広がる香ばしい味に『あの時』も初めて食べさせてもらったのはこのカナッペだったな、と思いだした。

 * * * * *

 ジョルノがJOJOと出会ったのはまだ9歳の時。人間の母親と『ヴァンパイアの父親』の元から逃げている途中だった。そう、ジョルノは人間とヴァンパイアのハーフなのだ。
 今まで銃器に頼って抵抗していた人間がスタンドという特殊能力を取得し、反撃に出てきたことに焦ったヴァンパイア側がスタンドのメカニックを知ろうと研究を始めた。その結果、遺伝子に働きかけて能力を手にしていると分かった彼らは自分達側にもスタンド保持者を得ようと、人間の女性を捕まえてきては自分達の子供を産ませた。その一人がジョルノだった。

 7歳まで順調に育つと彼らはスタンド能力を得させようと実験体として扱われる日々。しかしなかなか能力を目覚めさせないジョルノに彼らが焦れ始めた時、ジョルノの世話をしていた人間の侍女が脱走を謀った。モルモットのように扱われる彼の姿が耐えられなくなったのだという。

 しかし、逃げる途中で二手に別れた。二人では逃げ切れないと悟った彼女が自らを囮として別々の道を行くように言い聞かせたからだ。見知らぬ道を闇雲に突き進んでいく。きっと人のいる町へ出られるから、と言い残した侍女の言葉を信じてただひたすらに進み続けた。
 けれど、とジョルノは考える。人間である彼女と別れ、自分一人で辿りつけたとして、果たして受け入れてもらえるのだろうか?と。

「っい!?」

 食べ物も水もなくひたすら足を動かしていると突然頭痛に襲われた。甲高い耳鳴りのような音がずっと耳から頭に直接叩き込まれるような感覚に頭を押さえて蹲った。まだ町は見つけていない。こんなところで足を止めるわけにはいかないのだ、と震える足に叱咤しつつも進もうとするが、少し踏み出す度に頭痛がひどくなった。

「よくこんなところまで入りこめたな」
「!?」

 低音でありながらよく響く声が聞こえてくる。はっと顔を上げるといつの間に迷い込んだのか、木々が欝蒼と生い茂る森の中だった。周りを見渡していればすぐ近くの木陰から長身の男が出てくる。ロングコートに深く帽子を被った、のちのJOJOだ。

「堪えるだろう?このあたりに張り巡らせてあるからな」
「……な、にを?」
「あ?ヴァンパイアのくせに何いってやがる。てめぇらの苦手なクリスタルに決まってんだろ」
「クリス、タル……」
「邪気を祓う浄化の石だ。真っ黒なてめぇらにゃ打ってつけってことだ」

 頭痛に視界を揺らしながらも見上げると、すぅっと細められた瞳がこちらを見下ろしている。その瞳は凍てつく冬の海のように鋭く肌を刻むような冷たさと、ゆらりと空気が歪むほどの烈情が込められていた。
 見るだけで背筋がぞっとするほどの碧の輝きは自分だけを見つめ、長いコートのポケットに入れられていた手が出された瞬間本能的に身をひるがえして横に転がっていた。

「っ!?」
「ちっ……弱ってるかと思ったが、まだそこそこ元気じゃねぇか」

 すぐ近くで響く轟音に驚いて振り返ると今しがた自分がいた辺りの地面が大きく抉れている。もし自分がそこにいたら、と考えるとぞっとした。しかし、地面を抉ったのであろう人物は尚も自分へと歩みよってくる。拳を打ちつけ合う仕草から再び振り下ろすつもりだ。

「まっ、待ってくださいっ!いきなりどうして!?」
「どうして?腑抜けた事ほざいてんじゃねぇよ。てめぇがヴァンパイアで俺が人間だって事でこうなるのは必然だぜ」
「待ってください!僕、ヴァンパイアじゃありません!」
「は?寝言は寝てほざけ」
「本当ですっ!」
「クリスタルに苦しめられておきながらヴァンパイアじゃありません、なんざ通るわけがねぇだろうが。もっとマシな嘘をつきやがれ」
「嘘じゃないですっ」

 声を張り上げての反論にも彼は応じてはくれなかった。コートの裾を翻しながら近づいてくるその姿がまるで悪魔のようだ。震える体をいなして立ち上がると闇雲に走り始めた。変わらず頭に響いてくる痛みが徐々に酷くなり吐き気が込み上げるが、それよりも軽やかに追いかけてくるJOJOの姿の方が恐怖を掻き立て足を突き動かす。
 必死に逃げ回るも、足はとうに限界が来ていて互いにもつれあってその場で派手に転んでしまった。乱れた呼吸が苦しい。それでもどうにか立ち上がろうと木に縋るが、足が全く言うことを聞かない。
 枯れ葉を踏みしめる音がして振り向くと悪魔はすぐ近くまで迫っていた。無情に振り上げられる拳がやけに大きく見える。

「(嫌だ!死にたくないっ!)」

 ぎゅっと瞳を閉じると同時に心で叫んだ。せっかく訳の分からない実験ばかりを受けさせられていたヴァンパイアの館から逃げてこられたというのに、こんなところで死ぬなんて。絶望とともに何かに助けを求めて縋りつく。それは近くにあった木だった。

「ッなに!?」

 ばきばきっと大きな音に肩を跳ねあげると焦ったような声が聞こえてきた。そして自分に襲い掛かるであろう痛みも衝撃もまったく訪れない。何があったというのか、そろりと目を開いてみると自分の目の前に幾重にも重なる木の根が覆い尽くしていた。その一角が大きく抉られ、先ほどの音はこれだったのだと気づく。しかし……

「なに……これ……」

 さきほどまで何もないただの木々の間を走り抜けていたのだ。こんな木の根が張り出した場所など見つけていない。訳も分からず瞳を泳がせていると、根の向こう側でJOJOの方も唖然としていた。しかし彼の視線は自分のいる場所よりも僅か上に注がれている。

「ちっ……厄介だな」

 その言葉を聞いた次の瞬間、彼はすぐ目の前にいた。視界の端で木の根が作り上げていた壁が崩れているのが見える。

「っが!?」

 肩を捕まれたと思うと腹に拳が叩き込まれる。あまりの痛みともとより気分の悪かったところへ留めの一撃となり、目の前が暗くなっていく。

「力は使ってねぇから安心して気絶しろ」

 そんな言葉を聞きながらジョルノは意識を手放した。

 * * * * *

「?」

 軽い気持ち悪さと反して心地よい温かさの中、ジョルノは目を覚ました。目の前に広がるのは見覚えのない天井だ。

「起きたか?」
「!」

 ここはどこだろうか?と瞬いていると近くで響く低い声に体を跳ね起こした。カーテンの引かれたうす暗い室内で窓辺にある椅子に腰掛けていたJOJOは手にしていた小説を放り出すとジョルノが横たわっていたベッドへと近づいてくる。

「警戒すんな。っつっても無理だろうが……とりあえずは殺しゃしねぇよ。『そいつ』に免じてな」
「え?」

 彼の指さす先を見上げると壁を透けさせて金色のボディを持つ異形の姿がそこにあった。表情のない無機質さを感じさせる顔はJOJOをじっと見つめ返している。

「スタンドだ。俺達人間が新たに見つけた武器といったところか」
「す……スタンド?」
「おい」
「は、はいっ」
「これを見ててめぇの体を理解しろ」
「これって……」

 膝の上に放り投げられたのは彼が所属する機関が調べ上げたヴァンパイアについての研究レポートだった。表紙に書かれた題材の名に背筋をぞっとさせると振り払うようにレポートの束を押しやる。

「ッいやです!僕は人間なんです!こんなの必要ないっ!!」
「ちっ……甘ったれんじゃねぇぞガキが」
「ッ!」

 低い声で胸倉を掴みあげられ、殴られるのか、とぎゅっと瞳を閉じる。けれどいつまで経っても衝撃は襲ってはこなかった。そろりと瞼を開くと、鋭く細められた瞳がじっと見下ろしてくる。

「否定しようが喚こうが、てめぇはヴァンパイアなんだよ」
「でもっ」
「最後まで聞きやがれ」

 反論しようと口を開くがもう片方の手が押し当てられて話せなくなる。言い聞かせるように告げられた命令に小さく頷くと両手はあっさりと離れていった。けれど、お前のことだ、とまっすぐに向けられる指が残される。

「いいか?クリスタルの音で苦痛を感じる時点でてめぇはヴァンパイアに違いねぇ。だがな」
「?」
「スタンドを持ってるって事は限りなく人間でもある。わかるか?」
「……はい」

 言葉を上手く飲み込めないながらも頷くと彼は突き放したレポートを再度押し付けてくる。

「ヴァンパイアであるが故の弱点と優位点をその記録からみつけろ。当てはまらない部分があればそれは人間故に生じる相違点だ。それらを理解して生き方を考えろ」
「生き方?」
「人間として生きるか、ヴァンパイアとして今、俺に殺されるか」

 当時その言葉は殺人予告にしか聞こえなかった。けれど、彼をよく知ってからその考えは間違っていたと思い知る。あの時彼はすぐに殺すことを仄めかして人間として生きるように仕向け生き伸びさせたのだ。
 しかし、会ったばかりの頃の自分がそんなことに気づける訳もなく。渡された研究レポート読み込み早く完全な人間として認識してもらわなくては、と焦っていた。けれど、いざ開こうとした書類はぱっと取り上げられてしまう。

「え?あの……」
「先に飯だ」
「はぁ……」
「ろくに栄養の行き渡ってない頭じゃ効率が悪いだけだぜ。おら、食え」
「……はい」
「好き嫌いはねぇだろうな?」
「な、ないです」

 ずいっと皿を押し付けられて渋々受け取る。真っ白な陶器の上には色とりどりの野菜や薫製品を使ったカナッペが並べられていた。久しぶりにありつける食事に喉が鳴り、更に腹までなり始める。受け取った皿を一端、膝の上に下して合掌をした。そうしてようやく食べ始めると、じっと様子を見ていたJOJOが窓辺の椅子へと腰掛ける。胸ポケットから箱を取り出すと中から煙草を取り出して吸い始めた。
 視界の端にその姿をとどめつつ、食事に集中する。最初に取り上げたチーズと生ハムのカナッペは舌に乗せるとその香ばしさがふわりと広がり、食欲を刺激してきた。
 さほど時間もかからずに食べ終えると紅茶を渡された。食後に飲む紅茶は喉を潤し、じわりと内部から体を温めて心地よい。けれど何か物足りないような感じに訝しく思う。

「腹は満たされたか?」
「は、はい……」
「すぐばれるような嘘をつくな」
「すいませんっ……その、お腹はいっぱいなんですけど……」
「何かあるならはっきり言え」
「えと……喉が渇くような感覚が消えなくて」

 ほんの少し言葉に詰まっただけなのに、彼は見逃さなかったらしい。
 感じた違和感を必死に探り言葉にすると考え込んでいるようだ。じっと黙って腕組みをし、顎に手が添えられている。

「昨日は満月だったな……そういうことか」
「え?」
「少し待て」

 一人納得したように頷くとさっさと部屋から出てしまった。さほど待つことなく戻ってきた彼の手にはナイフが握られている。その鈍く光る刀身に思わず後ずさった。

「え!?な、なんですか?」
「黙ってろ」

 ベッドの端に座るその近さから壁に背を押し付けるところまで逃げてじっと縮こまる。殺さないと言ったのに、と裏切られたような気分に陥っていたが、そのナイフがこちらに向けられることはなかった。それどころか、刃がJOJOの指の上を撫でていく。途端に滲み出る血にジョルノは青褪めた。

「ッ!?何やって!!?」
「舐めろ」
「え?!」
「早くしろ。血が固まる」

 ずいっと突き出される指先は見る間に赤く染まっていく。早く手当をしなくてはならないのでは、と焦るが彼は手を引っ込める気はないらしく、更に突き出してきた。

「……はい」

 困惑気味にその指先を舐める。傷口が沁みたのだろう、小さく跳ねたが構わずに舌を這わせた。いっそ自分が手当してやるのだ、と言わんばかりに。舌にじわりと広がる温い液体を喉の奥へと流し込んでいく。しばらくその状態が続いていたが、次第に血が止まり指が引かれていった。

「喉はどうだ?」
「……さっきの感覚がなくなってます」
「やっぱりな。そいつはヴァンパイア特有の禁断症状だ」
「!?」
「生態系はまだよく分からないが、満月の夜は吸血衝動が強くなるらしい。もし血にありつけなけりゃ枯渇症状がずっと続く」
「そう、ですか……」
「まぁ、この程度で済むあたりは純血種と違うとこだな」
「……はぁ」

 本来ならば人一人分全身の血をほとんど吸いださなくては収まらないらしい。もし自分もそうだったら彼はどうするつもりだったのだろう?ヴァンパイアであると言っておきながら無防備すぎではないのだろうか、とジョルノは一抹の不安を湧きあがらせる。けれど、当人はいたって飄々としており、用が済んだといわんばかりにナイフを近くにあったテーブルに放り投げると窓へと近寄っていた。

「おい」
「は、はい!」
「太陽は大丈夫なのか?」
「えと?日光浴ですか?温かくて気持ちいいから好きですけど」
「なるほどな」
「え?」
「このあたりは人間って事か」

 勢いよく開かれたカーテンの向こうから明るい日差しが差し込んでくる。目の前にあるレポートを広げるとヴァンパイアは日光によって灰となり消滅してしまう事が書かれていた。しかしジョルノは日光を浴びてもなんともない。つまりJOJOが言っていた相違点ということだ。
 先ほど少なからず自分がヴァンパイアなのだと再確認して受けたショックが緩和される。

「ま、半分ヴァンパイアってのはちょっとした身体障害のようなもんだと思えばいい」
「そ、そんな程度でいいんですか?」
「お前自身、そんな程度で済んでるだろうが」

 ずいぶん投げやりな言葉だとは思うが彼自身も自分のようなハーフと会ったのは初めてのことだろう。そう考えれば仕方ないことだ、と思えて、彼の言う言葉にも賛同できるし、と素直に頷いてしまった。すると手がぽんと頭の上に置かれる。突然の事でびっくりして顔を上げると逆光の中でも分かる柔らかい笑顔がみえた。


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