贈り物4
気がつけば見知らぬ部屋の見知らぬベッドの上で見知らぬ男に覗き込まれていた。
「うわー!ぎゃー!!!うぇええあお!!!」
とっさに起き上がり、訳のわからぬ悲鳴をあげるが、気にも留めずにに輝くような笑顔を向けて男は言った。
「ごめんね。イルカ先生は中忍なのについ思いっきりスピード出しちゃった。気分は大丈夫?」
なにげに中忍を馬鹿にする言動に一瞬
(なんだこいつ中忍で彼女いなくてもてなくて悪かったなっ!)
と一瞬ムカッときたが、 目の前の顔があまりにも整っていたので、
(うわぁ良く見るときれーな顔してんなぁ。ここまで綺麗だと逆に腹もたたないもんなんだなー。 いいもん見たかもー。)
などと思いっきりじろじろとみつめてしまった。
「イルカ先生?やっぱりきつかった?今お水もってくるからね。」
子供に対するように頭をなでられながら話しかけられ、やっと意識が戻った中忍はあわてて問いかけた。
「えっと。あのー助けていただいて大変失礼なんですが。…どなた様でいらっしゃいますか?」
ついつい下手に出てしまう中忍根性を物悲しく思いながら、恐る恐る男を見上げると、男は目を丸くして驚いた。 (うわぁ美形って驚いた顔もきれいなんだなぁ…)とあさってな感動を覚えていたイルカに、男は少し困ったような笑顔で
「イルカせんせ。わかんないかなぁ。カカシです。あなたの。」
と微笑んだ。
(びっ美形ビームが全方位照射されているっ…。)
素顔のカカシはとにかく美しかった。覆面をしていたときには判らなかったが、 シャープな顔のラインも鼻筋の通った顔も作り物のめいて見えるほどだ。キラキラと光をはらむ銀髪と透き通るよう肌。色違いの瞳が妖しく輝き 、左目をまたぐ傷が更に男の色気をかもし出している。
…しかもなぜかバスローブ姿であるため、ちらちらとのぞく鍛えられた肢体が野生の獣の ようなしなやかさを伺わせていた。
その笑顔でイルカは再び目を眩まされ、うっかり普通でない状況と服装、そして不穏な語尾を聞き逃した。
「どうしてここに!ってその前にここはどこなんでしょうか?」
言い募る中忍に対し、
「ここは俺のへやですよー。ちゃんとしっかり結界・トラップその他完備で防音も完璧です。庭には忍犬もいますしね。 ありんこ一匹は入れませんよー。」
とうれしそうに答えた。
上忍は大変だなぁと思い、その防衛体制に感心していて、またしてもうっかり事態を忘れそうになったが、笑顔の上忍を見て本題を思い出した。
「悪魔はどこへ???というかカカシ先生が悪魔に取り付かれていたのでは?!もう大丈夫なんですか!」
やわらかく微笑んだ男はイルカに向かって覆いかぶさるように身をかがめると、耳元に口をよせ、色気が零れ落ちるような低い声で囁いた。
「ええ大丈夫ですよ。もちろん。あなたのおかげで。」
なぜか耳元で、しかも息まで吹きかけられて首をすくめるイルカ。その様子をニコニコと見つめるカカシ。
イルカはなぜか急に息苦しさを感じた。なかなか話せずにいた上忍とやっと話す機会を得られたのは、喜ぶべきことのはず。 しかし、状況が飲み込めない、その上妙に話す距離が近い。近すぎる。いい年した男同士(しかも大して親しくもない)がこんなに身を寄せて話す 意味がわからない。
結界を張っているということは、もしかして上忍が機転を利かせて悪魔から逃がしてくれた?のだろうか?
しかし自分を中忍になるまで生かしてくれた第6感が、今すぐここから逃げろと告げているような気がする。不安感が足元から這い上がり、 今すぐ走れといっている。イルカは自分の直感に従うことにした。
(三十六計逃げるにしかず!)
「すみません!助けていただいてありがとうございます!感謝の気持ちはあふれんばかりですが、今ちょっと急ぎの用事を思い出したので! それでは後日改めてお礼に伺います!申し訳ありませんが今日のところは失礼致します!!!」
立て板に水の如くまくし立て、焦燥感に駆られるままに一気に玄関と思しき扉まで走った。はずだったのだが。
「お礼なんていいんですよー。それより…。今日はイルカ先生にプレゼントがあるんです。」
いつの間にかしっかりとつかまっており、ベッドの上に逆戻りしていた。相変わらず笑顔が美しい。美しいのになんか怖い。なんでだ。でも。 …恐ろしい。パニックを起こし、やや震えながらもイルカはとにかく家に帰して貰おうと口を開こうとした。…が、体が全く動けないことに気付いた。
「うぇあ?」
うろたえている間に、笑顔のカカシがせまってくる。(綺麗だ。怖い。)相反する感情にとっくに冷静さを失ったイルカはしっかりとカカシの 腕の中に閉じ込められていた。
「かーわいーなー。怖いの?だいじょうぶ。やさしくしまーすよvvvだって今日はイルカせんせの誕生日でしょう。だ・か・ら・お祝いです。 お誕生日おめでとうございます。力いっぱいお祝いしますからねー。ほらちゃあんとさっき隅から隅まで綺麗にしておきましたから。 安心してくださいねー!」
輝くような笑顔がゆっくりと視界いっぱいに広がっていった。 「プレゼント、受け取ってくださいね。」

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ぐだぐだですよ。
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