運命の出会い(適当)



これこれの出会い編。
ご要望がありましたゆえがんばってみたよ!


俺も立派な下忍だから、毎日毎日地道任務をこなして、同じスリーマンセルの仲間はイイヤツばっかりで、一緒に頑張ったり馬鹿やったりして、いつかはもっと強くなりたいと思ってたんだ。
でも、時々。
…父ちゃんと母ちゃんのとこに帰っていく仲間が羨ましくて、ちょっと泣ける日もあった。
そう、丁度今日みたいに。
任務は順調で、でもちょっと疲れるやつだったから、ぐったりしながら仲間たちが母ちゃんが作った飯の話をしてた。
…途中で俺のことを見て口をつぐんだのが却って苦しくて。
こんな日は、真っ直ぐ帰らないことにしていた。
誰もいない空っぽの部屋で、ひとり膝を抱えて過すのが流石にちょっと辛いから。
でももう俺も大分でっかくなったし、先生にはまだまだチビだって言われるけど、あともうちょっとしたら…もしかしたら中忍になるかもしれないし、まだまだその先だって。
だから、その日の俺は、日が沈みかけて真っ赤な川辺を、ふらふらしていた。
そんな自分に負けないように。
川のせせらぎは何とかって言う心を和ませる音なんだって、むかーし母ちゃんが言ってたし、父ちゃんとも昔ここで魚とかとって…。
ああだめだ。今日の俺はおかしい。
母ちゃんも父ちゃんも大好きで、でももう英雄になったから会えない。
いつまでも誇りに思ってるけど、どうして側にいてくれないんだなんて思っちゃいけないのに。
「うー…」
伸び放題の草の海にしゃがみこんで、涙が零れるのは煌くせせらぎが眩しいせいだと思い込もうとしていた。
…視界の隅に、もっとずっと綺麗に輝く物を見つける前は。
「あ…!」
女の子だ。変わった格好してるけど人形みたいに綺麗ですっごく可愛い。
俺と同じに一人で膝を抱えて、少しずつその色を闇色に変えていく川を見つめている。
左目を覆うみたいに包帯をしているのが、痛々しかった。
「ねぇ。大丈夫?」
思わず駆け寄って声を掛けたら、結構唐突だったのに俺の方に顔も向けずに応えてくれた。
「んー?そうね、そこそこ」
声もかわいい。ちょっと低いけどなんかこう…胸がぎゅーってなる。
ちょっと影のある表情は、見てるだけで悲しいのにどきどきした。
…これが噂に聞く一目ぼれってヤツだろうか。
「でも、さ。それ…」
ひょっとして聞いちゃいけないのかなとも思ったけど、血の匂いがしないその包帯の奥が、酷く痛そうに思えて仕方がなくて、そう言った。
「別に怪我はしてないよー?それより、アンタ帰んなくていいの?こんな所に子どもがいたら危ないでしょ」
返事はそっけないけど優しい。
なんだか随分変わった受け答えをする子だけど、ぞんざいな仕草もその無表情さも気にならなかった。
「でも君の方が危ないよ!」
だって、この子はこんなにも綺麗で…可愛いのに!
「…ふふ…そうね?」
はじめて見たその笑顔がなんだか泣いてるみたいに見えて。
「ね、ねぇ!名前、なんて言うの?俺、うみのイルカ!下忍なんだ!」
後は…何て言ったらいいだろう?俺はこの子を一人にしたくないし、もっと言うなら…ずっと一緒にいたい。
湧き上がる初めての感情に振り回されそうになりながら、ひきつけられたままの視線は外せなかった。
「はたけ、カカシ。…帰んないならちょっとだけ一緒にいる?」
「うん!」
ちょっとだけじゃなくてずぅーっと一緒にいたいと思ったけど、ソレは最初から飛ばしすぎかなって思ったから我慢した。
二人して座り込んで、夜が来るまで一緒に川を見てただけなのに、隣のキラキラ輝くみたいな子が、すっごくすっごく可愛くてドキドキした。
…それが、最初の出会い。
*****
「カカシちゃん!」
「んー?」
それから。
俺は毎日川辺に通うようになった。
任務がある日は無理だったりもしたけど、お互い何の約束もしてないけど、それでも会えればずーっと一緒にいた。
その間にちょこっとずつ距離を縮めて、どさくさにまぎれて「カカシちゃん」って呼ぶことには成功した。
ちゃんづけって…なんだか特別な感じがするよな!…次は…「カカシ」かな!
ちなみにいずれは「あなた」なんて呼んで欲しいなぁなんて夢も抱いている。勿論。
「あのさあのさ!今日はこれ!」
「…そ?」
差し出したのは俺の大好きな和菓子屋の一押しの逸品だ。女の子は甘いモノが好きだって言うから、いろいろリサーチして選んでみた。
…久々にあったじいちゃんは、にこにこ笑って俺でも買える値段のを教えてくれたから、今度お礼をしなくては。
俺がよく知ってる店だったのが意外だったけど、確かにここのは美味いもんな!
「美味しい?」
「んー?俺あんまり甘いの好きじゃないけど、これはいいかもね」
「へへ!そっか!よかった!」
女の子には甘いモノ大作戦…!成功だ!
心の中で快哉を叫びつつ、次は…やっぱり手を繋いで、それからデートの約束だろうかとか考えてたら、可愛らしく小首をかしげたカカシちゃんが、サラッと言った。
「で、一応いっとくけど、俺、男よ?」
「え?」
衝撃の発言が聞こえた気がした。信じられない言葉だ。
だってこんなに可愛くて綺麗で優しいのに!
「あ、やっぱり?…ほら、ついてるから」
そういうなりカカシちゃんは俺の手を無造作に己の股間に導いた。
「きゃー!?そ、そんな!はしたない!」
好きな子の…そ、そんなところを!?
思わず叫んだのに、カカシちゃんは淡々と呟く。
「…面白い悲鳴だねぇ?」
そんな所も好きだ。じゃなくて!
「…ついてた…!」
「そ。だからもうこんなのは…」
…カカシちゃんのそれ以降の言葉は、真っ白になった頭にあんまり入ってこなかったけど、間近で見る光をはじく長い睫や、綺麗な瞳や、ほっとしたようでいて、ちょっとだけがっかりしたみたいな顔にはドキドキした。
俺にできるだけ理解させようとしているのがよく分かる。それからやっぱりカカシちゃんが好きだってことも。
「びっくりしたなぁ!でもさ、そんなの関係ないよね!」
だって、それでも好きなんだし。
ドキドキするし、目が離せないし。
びっくりはしたけど…とりあえず一緒にいてもらう分には問題ないもんな!
結婚って、確か他の国だと無理だったりするらしいけど、木の葉なら男同士でもできるはずだ。
「…ま、イルカがいいならいいけど」
「え!?」
今、初めてカカシちゃんが俺の名前を呼んでくれた。
最初に自己紹介して以来名乗ってないし、ずーっとアンタとかねぇとかだったのに!
「あらら?どしたの?ほら、こっち見て?大丈夫?」
「う、うん!い、今俺の名前…!」
「イルカじゃなかったっけ?」
「イルカ!イルカだよ!…うわぁ…すっげぇ…!」
胸がふわぁって温かくなった。それからほっぺたが熱い。
嬉しすぎてくらくらする。
「…なんだかわかんないけど、楽しそうね?」
「うん!…ね、ねぇ!また俺と一緒に…」
このチャンスを逃さないと、俺は一気に畳み掛けようとした。
「んー。いいよー?」
…相変わらずカカシちゃんの返事はそっけない。
でも、了解してくれた。
「そ、そっか!へへ!ありがと!これから、宜しくな!」
できれば、ずっと一生。
…今はまだびっくりさせちゃうだろうから、言わないけど。
「そうね」
夕焼けに赤く染まったカカシちゃんの表情はよくわからなかったけれど、なんだかちょっとだけ照れてるように見えた。


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にーずがあったのでさらにーつづきーつづきー!
で、真っ直ぐなお子様は、これからうっかり鴨葱になるのでした。
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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