かわいくてかわいくて仕方がないから。 「お願い!大きくなったら俺と結婚して!」 「いいけどー?」 キラキラ輝く銀髪の初恋の人は…ちょっと真剣みが足りない反応だったけど、ちゃんと約束してくれた。 俺との、未来を。 「い、いいの?ほんとに?あとでダメって言わない?」 「ん。いいよー」 コクリとうなずくその仕草もかわいらしくて、胸が高鳴る。 それに、結婚してもらえるって事は…俺が大きくなったらお嫁さんになってもらえるってことだ。今でも十分かわいいけれど、大きくなったらきっともっとかわいいに違いない。 ってことは…俺の人生、ばら色決定だ! 河原でたたずむ姿に一目ぼれして…それから実は男の子だったことが判明して驚いたりもしたんだけど、なんだかんだ言いつつ好きなのは変わらなかったので、俺の幸せな未来はこれで約束されたってことだ。 勇気を振り絞ってみて良かった…! 「えへへ!カカシちゃん大好き!」 「んー?そうね。俺もイルカのこと好きよ?」 いまいち表情の読めない未来のお嫁さんは、それでもそうやっていつだって…俺のこと好きだって言ってくれるもんな! 幸せの予感にウットリしてる間に、未来のお嫁さんがぼそりと何か言ってたんだけど、俺はすっかりソレを聞き逃した。 「もう下忍だしねぇ?…食うならいつかなー?」 ***** 犬みたいにぴょこぴょこした頭に、あけっぴろげな笑顔。 俺だけに懐いて、俺だけをその瞳に映して、いつだって真っ直ぐで素直で一生懸命でちょっと馬鹿で。 いいなー。これ。俺のにならないかなぁ?って思ってたら、自分から俺の手の中に飛び込んできた。 結婚…いずれは里に用意された女と適当に番わされるんだろうと思っていたが、こんなに美味しそうな婚約者ができたんだから、そんなどうでもいいものは断固拒否だ。 …今はまだ上忍になったばかりだけど、いずれはさらに功績を挙げる予定だ。 里を守る…失った人たちとの約束を果たすためだけのつもりだったそれが、今はばら色の人生を手に入れるための重要な計画の一部になった。 実力があればいい。それは発言力になる。 それがあれば…面倒なことも増えるが、大抵のコトに口を出されないで済むのだから。 そういうのが上手かった人と、致命的にへただった人を思い出して、不思議な物だと思った。 「父さんは、そういうのダメだったけどね」 呟きに、傍らでにこにことご機嫌な笑顔を振りまく俺の婚約者が抱きついてきた。 「大丈夫!俺、がんばって認めてもらえる男になるもん!いつか!…カカシの中のお父さん…いや、お義父さんにちゃんと許してもらうんだ!」 鼻息も荒くそう宣言して、俺にくっ付いてはなれない。 一瞬軋んだ胸には、気づかなかったフリをした。 「んー?そうね」 そうだな。きっと中忍になってからがいい。 今どうこうしようにも、イルカは子ども過ぎるから。 「まっててくれな?」 「うん。待ってるよー?」 勿論。美味しく育ったイルカを頂く日を。 …で、それから結構な年数待たされたけど、ちゃんと中忍になったイルカは、可愛い可愛い俺のお嫁さんになったんだけど。 「え?あれ?な、なんかこう…予定が!?」 「んー?そう?いいんじゃない?…だって、幸せでしょ?」 相変らずちょっと馬鹿で素直で可愛い。 鳴き声も仕草もたまらなく俺をそそった。 「そういえば…そうだよな!幸せ…うん…!幸せ…!」 俺から誘って顔真っ赤にしてついてきたのをさっさと頭の先からつま先まで美味しく頂いて、今はもうすっかりとろんとろんになっている。 痛むのか腰を撫でながら、それでもうっとりと目を細めるイルカに畳み掛けるように愛を告げた。 「じゃ。…末永く宜しくね?」 「うん!…へへ…!これで名実共にってやつだもんなぁ…!」 幸福感溢れるオーラにほくそ笑んだ。 「…これからもちゃんと逃がさないようにしないとね?」 その呟きを、恥ずかしそうに悶えて、ついでに痛みにも悶えているイルカは気付かなかったけれど。 当然、これからもずーっと、この可愛いのを俺のモノにしておくために手段はえらばないだろうなぁなんて思った。 ********************************************************************************* 適当にしてしまいますー…。 秋なのでなんだかこう…甘酸っぱい感じの思い出にしようとして失敗してみたり。 ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー! |